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奉納舞もパンダで踊る!シュールな「パンダ宮司」に突撃

  • 2022年12月21日
  • Walkerplus

パンダの被り物をした宮司さんがいる!と瞬く間にSNSで話題となった「パンダ宮司」。神奈川県海老名市にある由緒正しき「有鹿神社」(あるかじんじゃ)に爆誕したシュールな「パンダ宮司」について、中の人に話を聞いた。なぜパンダ?被り物はお手製?いつもどんな活動を?教えて!「パンダ宮司」さん!

■「パンダ宮司」とは?
「パンダ宮司」が活動するのは神奈川県最古の神社である「有鹿神社」。海老名市の総産土神(ソウウブスナガミ)で、命を生み育み厄災を清める「神奈川のへそ」として名高い。そんな歴史ある神社に突如現れたのが「パンダ宮司」。参拝者への挨拶や神事の「舞い」を行う神社のキャラクターとして大躍進。2022年11月発売の「増刊flowers(フラワーズ)冬号」(小学館)では大野潤子「ネギの羽衣」にも登場し、コミックの世界にまで進出した。さらに、日本はもとより、ドイツやイギリス、中国などのメディアからも取材を受ける、世界に名の知れた人気者へと大成長。地元の学校での特別授業や観光行事などにも積極的に参加中だ。

神事の「祭祀舞奉納」は大人気で、わざわざ足を運ぶファンも多い。そのため、練習も欠かさない。

■「パンダ宮司」の「中の人」ってどんな人?
「パンダ宮司」が誕生したのは、2017年6月10日放送のテレビ神奈川の「あっぱれ!KANAGAWA大行進」で有鹿神社が紹介されたときのこと。「実は私の父である宮司が色白でたれ目、メガネをかけていることから『パンダ宮司』という愛称だったんです。パンダは親しみやすい動物でもあるので、SNSにはパンダのパペットを使っていたのですが、テレビ取材の時に、父のかわりに神社の案内をすることになり、『パンダ宮司代理』としてパンダの被り物をしたのが最初です」と言うのが「パンダ宮司」の中の人、禰宜(ねぎ)の小島実和子さんだ。
また、広報担当の小島さんは以前、SNSにイカとタコのキャラクターがUFOで有鹿神社を参拝する絵ばかりをアップしていたことで、父である宮司からタコと呼ばれることに。「時にはSNSで『タコ禰宜』と名乗ることもあります」と笑う。

■パンダ姿の始まりは小さなパペット
元祖「パンダ宮司」のパペットは、100円均一ショップで買ってきたもの。テレビ取材のスタッフは中に人が入っていると思い込んでいたそうで、打ち合わせの際に実物を見て困惑してしまったそうだ。そこで、小島さんは思わず「当日までに大きなものを用意する」と断言。それが、現在のスタイルになったきっかけだ。
取材当日に被った手作りのパンダヘッドは「前から見ても、後ろから見ても、横から見ても、斜め下から見てもかわいく出来上がりましたが、目の穴や口の位置が人体にあっておらず、前が見えにくい上に、声がこもってしまって『音声でガイドができないぞ⁉』と思いました」と振り返る。

パペットは、今でも、SNS用に登場している。「私たちは『パンダ宮司の小さい方』と呼んでいます。複数制作して、境内のそれぞれの建物に置いたり、私が携帯しています。ほかにもイカやタコ、干支の歳神様の『小さい方』が存在しているんですよ」と小島さん。
テレビで紹介された後、街中で声を掛けられたり、参拝者の撮った「パンダ宮司」の写真がSNSで拡散され、存在が全国に広まった。「近くから遠くから『パンダ宮司』に会いたいという方がご参拝にみえますし、有鹿神社にお参りに行きたいとも言われます。嬉しいことですよね」と話す。

■全長3.4メートル以上!「ネギ禰宜」も実は…
「パンダ宮司」のほか、SNSで大注目を浴びたのが、毎年6月に開催される「茅の輪くぐり」。茅で編んだ輪をくぐり、無病息災を祈願する神事だ。「パンダ宮司」がくぐることもあるが、SNSで話題となったのはネギの被り物=ネギヘッド姿の「ネギ禰宜」だ。ネギヘッドの長さは2メートル。お辞儀をしたまま茅の輪をくぐる姿がSNSで大拡散!パンダ宮司と並ぶ人気キャラクターとなった。



「ネギ禰宜」の中の人も、実は小島さん。前出の「タコ禰宜」のほか「レッサーパンダ宮司」も担っている。

■パンダヘッドはお手製!中に扇風機を装着し夏も快適!
テレビ取材をきっかけに、急遽パンダヘッドを作ることになった小島さん。「中華街で売られている大頭面をネット通販で購入し、100均の紙粘土を盛って形を作りました。顔は、アクリル絵の具で塗装してカスタムしています」

「最初にパンダヘッドを作った時は、5日間もかかりました。自分には絵が描けると思っていなかったので、顔はいつでも綺麗に修正できるように、パーマセルテープ(カメラ撮影用のマスキングテープ)を切り貼りしました。自分で修理ができるので、ちょっと欠けたり汚れたりすると、粘土や塗料でこまめに補修しています」
一年中被るため、パンダヘッドの中には、取り外し出来る小さな扇風機も付いているというからびっくり。さらに視野を広げたり内側を削ったりして改良を重ね、メガネをかけて舞いが踊れるほどしっくりはまる現在のパンダヘッドになったそうだ。

■「パンダ宮司」の1日
「パンダ宮司」のスケジュールを追ってみよう。授与品や御朱印の対応をしたり、趣味の園芸のお世話をしたりと大忙しだ!ただし、これは一例。出張や仕事によって社務所にいない日もある。

★朝★
事務仕事からスタート。有鹿神社は境内には神職が常駐しておらず、朝のお仕事は、境内から2㎞離れた事務所で行う。
★昼~夕方★
・神社で御祈祷準備、御殿清掃、受付、御祈祷などを行う。記念撮影に対応するため「パンダ宮司」に変身。ほか授与品や御朱印なども「パンダ宮司」でお渡し。社務所には「パンダ宮司」の絵馬やお守り、御朱印帖などいろいろな授与品があるのでぜひチェックして。
・庭園作業~こちらは「レッサーパンダ宮司」が担当。黒い植物だけを集めた「厨二病庭園」やレモングラスなどを育てる庭「権檸檬草」で趣味の園芸に勤しむ。

・境内清掃~「ネギ禰宜」が草刈りをしたり、ブロワー(送風機)で落ち葉などの清掃を実施。「境内は広いので清掃に時間がかかりますが、社務所や御殿内、舞台といった屋内はロボット掃除機を駆使して屋外の清掃時間を作っています」と「ネギ禰宜」さんは語った。

その他、「祭祀舞」の奉納や練習をする日もあり、多忙な日々だ。

■「パンダ宮司」さんに必ず会える「祭祀舞奉納」がすごい!
では、「パンダ宮司」と会うにはどうしたらよいのか。有鹿神社は奥宮・中宮・本宮の3か所に分かれており「パンダ宮司」が登場するのは本宮。しかし、神職は境内に常駐しておらず、出張などで不在の場合もあるので、確実に出会える日を知っておきたい。それが「祭祀舞奉納」の日だ。

「祭祀舞奉納」とは、神楽殿で行われる舞いのこと。小島さんが「パンダ宮司」、「レッサーパンダ宮司」、「ネギ禰宜」に早変わりし、種類の異なる舞いを奉納する。

時には「ネギ禰宜」が得意とするファンベールを借りて「パンダ宮司」が舞う、というレアな場面を見ることもできるので、わざわざ足を運ぶファンも多いのだ。
幻想的な「ライトアップ祭祀舞奉納」や本番さながらの公開稽古もあってとにかく楽しい。スケジュールは公式サイト内「行事・イベントカレンダー」やTwitterで随時発表されるので、予定を確認して会いに行こう。


「境内のいろんなところに小さなパンダが隠れています。神楽殿の舞台の前にお手製のパンダ宮司のパネルがあります。記念撮影にどうぞ」と小島さん。

最後に「パンダ宮司」は、どんな存在でありたいですか?と聞いてみた。

すると、「ネットの海で『パンダ宮司』を見かけた時に、クスッと笑ってホッとできるキャラクターになれていればうれしいです。久しぶりに近所の神社にお参りしてみようかな、というきっかけになればいいなあと考えています」と語ってくれた。

取材・文=田村のりこ

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