サイト内
ウェブ

本を愛する“旅の匠”がおすすめする祭りとアートな富山旅

  • 2022年8月22日
  • Walkerplus

富山湾を抱くように平野が広がり、三方を山に囲まれた富山県。風光明媚なこの土地は、夏になるともっと旅が楽しくなる祭りがたくさんある。

「7~9月の1カ月半ほど、毎週何かしら祭りが開催されています。観光をしつつ祭りも楽しむ、そんな旅ができるのが夏の富山です」とは、オンライン旅行代理店・ブッキング・ドットコム・ジャパンの芝原麻矢さん。仕事柄、さまざまな土地を巡る「旅の匠」だ。仕事で訪れたことをきっかけに、“富山県の美しさ”にどっぷりはまってしまったという芝原さんおすすめの過ごし方を聞いた。

■美しいものに囲まれる富山市。ゆっくり、のんびり、時間を過ごす
夏の富山県は夏祭りが熱い。富山湾を舞台にした海上花火大会、街が華やかに飾られる七夕まつりなどが県内各所で開催される。また、ユネスコ無形文化遺産に指定され、300年以上前から続く魚津市の「たてもん祭り」(8月第1金・土)など伝統的な祭りも残っている。

芝原さんのおすすめは、300年続く「越中八尾 おわら風の盆」だ。三味線や胡弓、太鼓、唄に合わせて踊り歩く祭りで、「富山市八尾町で毎年9月1~3日にかけて行われている優美で儚げな夜祭です。笠で顔を隠した口元しか見えない女性がスローに踊る姿は幻想的で、血気盛んな元気が出るほかのお祭とはまた別モノです。一生に一度は見てほしい」と言い、夜のしっとりつややかな雰囲気に包まれるところもお気に入りだと言う。
※新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、イベントは中止・延期となる場合があります。


これらの祭りに出かけたなら、「できれば2泊3日でゆっくりと富山県を旅してほしい」と芝原さん。「ものづくりの技術で発展してきた富山県は、ゆったりとした街のつくりや美しい建築物により、特に北欧の旅行者から人気が高い土地なんですよ」

本やアート好きな芝原さんは、旅先で公民館に併設された図書室や独立系の書店を訪ねることが多いそう。1泊なら富山市で、「富山市ガラス美術館」と「富山市立図書館本館」が併設された複合施設「TOYAMAキラリ」に訪れてほしいという。「隈研吾氏が設計を手掛けています。市民に開かれた施設でこんなに機能美溢れる建築物って本当にすごいなぁと思います。ガラスと木材の組み合わせとか、建物を見るだけでも楽しい。ここは市民の憩いの場所になっていて、私も富山へ行くと地元の人たちに交じって図書館でゆっくり過ごしています」

図書館のラインナップも個性的で見逃せないという。「図書館によって司書さんの好みがあるのが面白いんです。ここは教養系の本や洋書も多く、世界の国ごとに整理された棚があるなど見せ方も独特※。“この本、年に1回も手に取ってもらえるのかな?”っていうマニアックなものもあったりして、目的を持っていなくても本棚を眺めていると手に取りたくなる、受け身で情報が入ってくるようなラインナップです」
※期間限定の企画展示のため、現在は行っておりません。

併設のガラス美術館は「6階の常設展は写真撮影OKなのがうれしいんですよね。カラフルな色合いのとても大きなアート作品が、全部ガラスでできています。美しさに感動して写真を撮っている方が多いです」と芝原さん。

「北陸でアートっていうと金沢のイメージがあると思いますが、富山も美術館が多いですし、海外からのコレクションや所蔵物の展示にも精力的です。そして金沢ほど観光客が多くないので巡りやすいというのもいいんですよ」

そして芝原さんが富山市で決まって訪れるのが「富岩運河 環水公園(ふがんうんがかんすいこうえん)」。この公園は、かつての港と街をつないだ富岩運河の旧舟だまりに整備された公園。散策路が整備され、運河にはシンボルの天門橋がかかる。

「何があるって聞かれると…芝生と石造りの階段と、ウッドデッキとカフェ(笑)。でも、雪深い冬、桜が美しい春、緑豊かな夏、どの季節に行っても本当に景観が美しいなぁと思います。地元の方の散歩コースになっていて、のんびりできる。本を読むのもいいし、友達とお話するのもいいし、ぼーっとして心を落ち着かせるのもいい」

■富山市から足を延ばし、星付き寿司や海外から注目される工業製品に出合う
2泊できるなら、ものづくり文化を五感で楽しめる高岡市へ。高岡銅器に代表される鋳物が盛んな街で、高岡駅前にはこの地出身の藤子・F・不二雄氏にちなんだドラえもんのキャラクターの銅像が並ぶ。

「高岡は日本のクラフトマンシップが感じられるエリアとして海外からの注目が高い街です。ハイエンドユーザーに手に取ってもらえるような美しい工業製品に出合えます」。芝原さんイチオシは、鋳物メーカー「能作(のうさく)」だ。

「能作は錫100%の製品で有名で、コロナ禍前は中国や台湾、アメリカなど各国から観光客が訪れていました。本社工場は製作の様子を見学したり、鋳物製作体験したりでき、カフェも併設。ここだけのために高岡に足を運ぶ価値があります」とお気に入りだ。能作の錫製品は土産にもおすすめで、芝原さんも自宅にぐい飲みなど3種類の能作のアイテムがあるそうだ。

そして旅でやっぱり気になるのは、地元グルメ。「立山連峰から流れ出る清らかな水とおいしい米、米と水がおいしければお酒もうまい。全部そろうのが富山の食の良いところです」と芝原さん。おすすめは富山湾の恵みを堪能できる「寿司」だ。

「あるホテルの支配人の方が北海道・函館でいちばんおいしいというお寿司屋さんに行った時のお話ですが、店の大将に富山から来たと伝えたら、“富山の人に食べさせられる寿司はない”って言われたそうなんです(笑)」と、北海道の寿司職人が認めるくらい富山の海の幸はおいしいようだ。

富山市内にももちろん寿司店は多いが、時間が許せば電車で30分ほどの魚津市へ。「魚津市はミシュランの星を取っているお寿司屋さんもあって、カウンターで前菜とお任せの握りを食べても1人5000円ほどと、破格でおいしいお寿司が食べられるんです」。なんでも最近では、おいしい寿司を求めて金沢から富山市へと人が訪れ、逆に富山市の人は魚津市へ足を運んでいるのだとか。「評判が上がると富山市では値段が張ってしまう。魚津は時間と交通費をかけても行く価値ありですよ!」

最後に、ブッキング・ドットコム・ジャパンのコーポレートカラーの青色にちなみ、芝原さんにとってこのエリアの印象的な「青」を伺った。すると「立山連峰」だという意外な答えが。山って青いの?と思うが「山、青いんですよー」と芝原さん。「県内のいろいろな場所から立山連峰が見えますが、特に北陸自動車道からの景色が圧巻です。富山から魚津方面へ向かうと、立山がどんどん大きく迫ってきてかっこいいんです!」

富山の祭りに街散策を加えた2泊3日の旅。宿泊先もホステルからラグジュアリータイプまで、旅の匠おすすめの場所を教えてもらったので、プランづくりの参考にしてみては。

■いるかホステル
富山駅から徒歩5分。共有のキッチンやダイニングがある、ドミトリータイプの宿泊施設。

「ホテルではなくホステルで、旅慣れた自前主義の素敵な旅人が集まるお宿です。旅行中は食べて見て触れてと五感が総動員しているので、私はお宿では程よく放っておいてほしいタイプ。そんな人にはうってつけ。複数のデザイナーさんのアートがあしらわれた素敵な空間で、さらにライブラリーでは気ままに過ごしつつ、私蔵・寄贈の村上春樹氏の書籍が楽しめるので本好き・ハルキストにはたまりません」

■天然温泉 剱の湯 御宿 野乃富山
富山駅から車で10分弱、ドーミーイングループの一つで、全館畳敷きの和風ホテル。大浴場は半露天風呂やサウナを完備。

「ドーミーイングループのなかでもこのお宿が一線を画す理由は、露天風呂付き大浴場などのサービスはそのままに、全室に檜風呂! そして白海老の一品や海鮮丼が朝食で楽しめること。同グループのほかの支配人様に聞いても『富山はね~別格だよね!(笑)』と返ってきます」

■リバーリトリート雅樂倶(がらく)
富山駅から車で30分ほど、神通峡(じんずうきょう)を圧巻のパノラマで楽しめるスモールラグジュアリーホテル。

「2021年のミシュランガイドでは4赤パビリオン(最上級の快適さで、特に魅力的である)、レストラン『Trésonnier(トレゾニエ)』は1つ星を獲得。アートと建築、そして美食を楽しみたい方に強くおすすめします。客室ごとにデザインが異なるので、お部屋を変えてリピートされる方も少なくないです」







※新型コロナウイルス(COVID-19)感染症拡大防止にご配慮のうえおでかけください。マスク着用、3密(密閉、密集、密接)回避、ソーシャルディスタンスの確保、咳エチケットの遵守を心がけましょう。

あわせて読みたい

キーワードからさがす

gooIDで新規登録・ログイン

ログインして問題を解くと自然保護ポイントが
たまって環境に貢献できます。

掲載情報の著作権は提供元企業等に帰属します。
Copyright (c) 2024 KADOKAWA. All Rights Reserved.