開会式を彩った東京2020大会の日本代表選手団公式服装、作製を担当したAOKIの“知られざる苦悩”とは

  • 2021年11月4日
  • Walkerplus

東京2020オリンピック・パラリンピックを支えたパートナー企業の“知られざる裏側”を紹介するWEB動画『THE BACKGROUND』に、スーツ専門店のAOKIが登場。商品戦略企画室執行役員・本田茂喜氏が出演し、日本代表選手団が着用した公式服装について語った。
■公式服装 作製の苦悩。その在り方を考えた

日本代表選手団が着用した公式服装の作製を担当した同社。しかし、作製までに数々の苦悩があったという。

「まず大きなコンセプトに『日本を纏(まと)う』というものがあったのですが、ただ日本製なら良いのか、ただ日の丸が入っていれば良いのか…という、考え方のところで悩みました。そこで頭に浮かんだのが、『今回で東京大会は2回目』というところ。そんななか、57年前の東京五輪から大切に公式服装を保管しているという選手がいらっしゃったので、見せていただいたのですが、そこで『こんなに想いの深いものなのか』とか、生半可に『ちょっとこうしたら格好良いかも』とか、そういうものではないということが分かりまして。“公式服装の在り方”というものについて考えました」と本田氏。

ちなみに、1964年の東京大会はジャケット赤・ボトム白のデザイン。「あのときの、まさに“日本全体を纏った”ような日本代表選手団の行進のパワーに対して、今回の2020大会はどう在るべきなんだろうと。そこにまず、オマージュがありました」と、公式服装を作製する前の考え方について明かした。

さらに、コンセプトの解釈だけでなく、使用する季節についても考えなければならなかった。「1964年の東京大会の季節は秋で、今大会は真夏。当然、暑さ対策も考えなくてはいけないのですが、赤というのは太陽光で熱くなりやすいといわれているので、太陽光を反射する白でジャケットをデザインしたんです。さらに、“選手の顔が映えるように”という意図もあり、上半身を爽やかな白に。情熱の赤をボトムに持っていくことで日の丸カラーを表現しました」と本田氏は話す。

■暑さから選手を守るジャケットに凝らした工夫

他にも、暑さを回避できるよう、ジャケットには工夫が凝らされている。本田氏は「ただの半袖のTシャツと、ジャケットを着たのを比べると、明らかにジャケットを着た方が暑いのですが、その暑さを制御するためにはどうしたら良いのだろうというのは、産学協同で研究しました。涼しさ、通気性の部分は徹底的に。プラス、中は半袖のシャツの方が良いと思っていたので、ベタベタしないよう、袖口の肌触りなども考えて。裏地はサラサラとしたメッシュ素材で通気性を上げました」と説明。

「もう1つ、開会式では最後の206番目に日本が入場行進をするので、待ち時間、ジャケットは着ないで手に持たれるだろうということを想定して、『軽さ』や『シワになりにくい作り』も目指しました」と、こだわった部分を詳しく解説した。

また、オリンピック・パラリンピックで、初めて同一デザインを採用した今回の公式服装。全選手の体形や要望に応えられるようにオーダーで製作した点も注目ポイントに。「トップアスリートには、筋肉で腕だけが太い、体脂肪はないのに腿だけが太い…といったように予想外の体型の方もいらっしゃいますし、車椅子だとここのポケットや袖が邪魔になる、といったご要望もあります。ですので、選手たちからもさまざまなアドバイスをいただきながら作っていきました」と振り返り。
「フィッティングも、通常ですと30~40分かけてゆっくり採寸していくのですが、選手の方々には短時間でご対応しなければと考え、全国に5000名いるスタイリストの中から、オーダーですとかスーツの販売に長けているメンバー150名を選抜させていただいて、ロールプレイングをしながら、最終的には5分とか6分でなんとかご対応できるようにしました。今回の2020大会で言うと、お客さまは選手。今までご協力をいただいてきた工場、知り合いの方々にもサポートしていただきながら、なんとか私たちなりには『日本を纏う』という部分を表現できたかなと思います。また、オリンピアン・パラリンピアンの活躍を見て、もっと私たちも頑張らないとなと思った大会でした」と、本田氏は今大会を総括しつつ、抱負を語ってくれた。

映像提供:NewsPicks Studios 
素材提供:AOKI

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