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「お遊戯会の配役って残酷…」白雪姫で鏡役になった娘と、それを応援する父を描いた漫画が話題

  • 2021年10月22日
  • Walkerplus

地球侵略にやってきたラビー星の王女・リリンと、ひょんなことから彼女の“親代わり”となった会社員の川北理(オサム)。そんな二人に巻き起こるハートフルでユーモラスな日常を描いた漫画「人類を滅亡させてはいけません」(ヤングアニマル/白泉社※最新3巻10月29日発売)が、マンガファンの間で話題となっている。

そこで今回、ウォーカープラス編集部では、同作の原作者・高畑弓さんと、作画を手掛ける蒲夕二さんにインタビューを実施。理とリリンのドタバタ“新米家族コメディ”が誕生した経緯や、子供をリアルに描くことの難しさなど、漫画制作の舞台裏について話を聞いた。

■分業制の魅力とは?「自分が描きたいことを“より忠実”に伝えられる」

――本作「人類を滅亡させてはいけません」の連載が決定するまでの経緯を教えてください。

【高畑弓】以前連載していた「死なないで!明日川さん」(週刊少年マガジン/講談社)が完結するタイミングで、担当さんに「次作をヤングアニマルでやりませんか?」と誘ってもらったのがきっかけです。そこからネームなどのやり取りをして「人類を滅亡させてはいけません」が誕生するのですが、その際「作画は別の方に」とお願いして、蒲さんを紹介させていただきました。

――高畑さんが蒲さんを紹介したとのことですが、お二人の接点は?

【蒲夕二】高畑さんとはもともと、絵本奈央先生の所でアシスタント仲間だったんです(※「進撃の巨人」諫山創氏のもとでのアシスタント経験も持つ)。その後、高畑さんが連載をする度にアシスタントとして呼んでいただいていて、仕事をご一緒するなかで「人類を滅亡させてはいけません」の作画依頼をいただきました。

――分業制については、お二人とも今作が初ですか?

【高畑弓】前作では原作作画ともに一人でこなしていました。蒲さんにはアシスタントとして入ってもらっていて、その頃から「アシスタントでは勿体ない逸材だなぁ…」と感じていました。

【蒲夕二】いやいや、やめてください(苦笑)。

――蒲さんが描く「絵の魅力」というのは?

【高畑弓】蒲さんが描くキャラクターや背景は凄く繊細で上手かったので、自分で描くよりも“自分が描きたかったことが忠実に伝わる”と思ったんです。それが作画を依頼した理由であり、蒲さんの魅力です。

■作為的にリリンを動かそうとしていた?“5歳の幼女”を描く難しさ

――作画依頼があって、蒲さんはどう思われましたか?

【蒲夕二】私にはありがたい話すぎて…。ずっと“漫画家になる夢”はありましたが、以前は自分の作品を持ち込んでも、担当の方からは「話がわかりづらい」「読みづらい」という意見をもらったり、もちろん、賞なんてとったこともないし「このまま大きな人生のイベントもなく…終わるのかな」と、半ば夢を諦めかけていた時期でもありました。

高畑さんのアシスタントとして活動させてもらった際、毎回、お話を見るたびに「読みやすい」「わかりやすい」「これは誰が見ても面白い!」と感じる要素が多く詰まった作品だと思っていて、アシスタントとして作品とじっくり向き合うことで、いろいろと勉強させてもらいました。なので、尊敬する高畑さんにお声をかけていただくことは、本当に恐縮極まりないお話でした!

――連載開始前、乗り越えないといけなかった壁はありましたか?

【高畑弓】ネームを作っている段階で編集長からは「子供のリアルさ」について指摘をされました。自分には子供がいないので、実際の子供たちの“思考”や“行動の読めない部分”を理解しきれていなくて、作為的にリリンを動かそうとしていたんです。なので、どこか子供っぽくなかったり、逆に型にハマった子供の表現などが当初はありました。なので、「リリンは5歳の幼女なんだ」っていう本質の部分を掴むまで苦労しました。

――その「子供のリアルさ」を掴めるようになったのはどのようなキッカケでしょうか?

【高畑弓】幼稚園へ取材に行かせてもらい、園長先生にお話を聞いたり、子供たちを実際に観察させてもらいました。それによって、自分の頭の中で考えていた“子供の幻想”と、現実の子供にはギャップがあることに気がつきました。

――現実の子供というのは?

【高畑弓】行動の予想がまったくできない(笑)。女の子もリリンみたいにパンツ一丁で園内を駆け回っていたりして、「子供ってこんなに自由で元気なのか…!!」という気づきと発見だらけで、とにかく勉強になりました。

■リアルすぎても、淡白すぎても“日常感”は伝わらない

――私は姪っ子の面倒を見ていた経験があるので、リリンの描写にリアリティを感じていました。それは、実際の子供たちの行動をしっかりと観察されていたからなんですね。蒲さんは、子供を描く際に注意している点はありますか?

【蒲夕二】私が気をつけているのは、連載している「ヤングアニマル」がコメディ色の強い媒体なので、リアルになりすぎず、淡白になりすぎない中間点を模索することです。どちらかに寄りすぎると“日常感”が伝わりづらいと感じていたので、その点に関しては何回か描き直したりしました。

【高畑弓】確かに、初期に描いてもらったリリンと今のリリンは全然違いますね。頭身も高かったし、細かったです。

【蒲夕二】ヘアスタイルも金髪ロングは変わらないんだけど、当初はサラサラヘアで、もみあげの“クリンッ”ていうのもなかったです。もみあげに関しては、1話入稿直前に付け加えたので、本当に直前まで改良を続けていました。持田郁乃さん(リリンが通うカピバラ幼稚園の先生)の髪型も10パターンぐらい作って、そこから高畑さんに良い点を抽出してもらって完成させていった感じです。なので、そのデザインの擦り合わせに苦労した思い出があります。

――貴重なお話をありがとうございました!

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