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コロナ禍に需要が増えた「おっさんレンタル」とは?使い方や安心面を聞いてみた

  • 2021年9月6日
  • Walkerplus

1時間1000円でおっさんを借りて、人生相談をしてみたり、雑務をお願いしたりもできる「おっさんレンタル」の需要がコロナ禍で伸びている。CEOの西本貴信さんによると、「人と繋がりたいとか、そういう人が多い気がします」とのことで、リモートでおっさんとの会話を楽しむユーザーが増加している様子。

普段はファッションプロデューサー、スタイリストとして活動している西本さんに、サービス開始の経緯や今後の展望などを根掘り葉掘り聞いてみた。度重なる自粛に疲れている人は、一度レンタルしてみては?

■現在、67人のおっさんが在籍。目指すはおっさんの地位向上!
「仕事柄外見を応援するのは得意なんですけど、内面もサポートできないかなあと考えたのがサービス開始のきっかけです。それと、おっさんの地位向上。周りのおっさんを見て、軽視されているなって感じたんですよね。おっさんが近付いて来た時の反応って『うわ~…』でしょ? 若いイケメンだと『キャ~ッ!』なのに。おっさんって小汚いし口うるさいイメージだから当然と言えば当然なんですけど、ちょっと変えていかなあかんなあと。で、おっさんレンタルはひと味違うよと。世の中には若い子に寄り添えるおっさんもおるんやでって」

2012年に1人で細々と活動を開始。2016年にはテレビドラマ「ゆとりですがなにか」のモデルになるなどで知名度が上がり、今では気軽に利用する人も増えた。しかし当初は、病気の相談といったヘビーな依頼が多かったそう。

「病気で余命が短いとかね。変なアドバイスをしてしまうと取り返しのつかないことになってしまうので、そんな時は基本聞くだけ。意見を求められたら、『おっさんはこう思うけど』って感じで答えていましたね。テレビ番組に呼ばれ、ネットニュースでもいっぱい取り上げられたので、知名度は割とすぐに上がったかも。1人では手が回らなくなり、SNSで募集して徐々におっさんを増やしていきました」

■ユーザーの安心のためにも、「面談」と「加盟金」はマスト
現在、北は北海道から南は九州まで67人のおっさんが在籍。平均年齢は47、8歳で、上は70歳手前のおっさんたちが活躍している。ユーザーに安心してレンタルしてもらえるよう、メンバーになれるのは西本さんの面談を通過したおっさんのみ。身分証の確認なども徹底しているのだとか。

「面談では志望動機も聞いています。最初のころはご丁寧に履歴書を持ってくるおっさんも。『真面目か!』みたいなね(笑)。エロいことをせず、人の話をしっかり聞けて普通に動けるおっさんであれば、基本的にOKです。おっさんとの契約は1年更新で、仕事として真面目に向き合ってもらうために月5000円の加盟金をもらっています。無料にするとノリだけの変なおっさんが集まってくると思ったので。加盟金はユーザーさんの安心の担保にもなっていると思います」

■関係性が遠いから素直に話せる。将来的にはおっさんがワンチームになっての社会貢献も!?
「人気があるのは優しそうなおっさんで、月30件ほどレンタルされています。普通の会社にいるような、安心感があるんですかね。依頼は相談系と作業系に分かれるのですが、人気のおっさんはどっちも積極的に行っています。相談系はもちろん、作業系も内容はいろいろ。そう言えば昨年、IKEAの家具の組み立てをお願いされて。電動工具もないから全然うまくできなくて、ヘルプで別のおっさんを呼びましたからね。ヘルプのおっさんの代金は僕のレンタル料をそのまま渡し、依頼が終わったあとにはごはんをごちそうしました。クッタクタになったおっさんが、クッタクタのおっさんに奢る地獄絵図。おっさんの天敵はIKEAかもしれませんね(笑)」

「組み立ては2度とやりたくない」と言いながらも、「女性が困っていたらなあ。助けたいもんなあ。やるかなあ」とポツリ。なんだかんだ面倒見の良いところも、おっさんの魅力の1つかも。

「ウチのユーザーさんは8割が女性です。そして皆さん、おっさんを扱うのがうまいんですよね。ちょっと褒めればウッキウキになるのを分かってる(笑)。ユーザーさんは問題が解決し、おっさんは鼻毛を抜くなどファッションにも気を遣うようになる。それを繰り返すことで、おっさんの地位向上に繋がっていくんじゃないかなと思っています」

相談内容にもさまざまなエピソードがあり、過去には音信不通になるほど関係がこじれていたユーザーと実家の仲を取り持ったことも。自粛が続くコロナ禍では、切羽詰まった相談も徐々に増えているのだとか。

「今は人恋しくてただお話がしたいというユーザーさんも多いですが、転職など真剣な相談も増えてきていますね。どんな相談でも同じですが、遠い関係だからこそ素直になれるんですよ。利害関係もないし、カッコつける必要もないんで。思っていることを吐き出せる。僕は前向きな人間なんで、基本的にかけるのは明るい言葉ばかり。人の目とか、みんないろいろと気にし過ぎなんですよね。誰も人のことなんて、それほど興味ないんですよ。自分が気にしているだけだよって話すうちに、暗かった人もだいたい明るくなりますね。リモートだとより気軽に話せるので、今の環境は『おっさんレンタル』には合っているのかも知れません」

昨年、とある企業から東京2020オリンピック・パラリンピックのサポート、アテンドの依頼も。延期になって流れてしまったが、今後はおっさんを引き連れての社会貢献も視野に入れているとかいないとか。

「おっさんがワンチームになって、何かできると良いんですけどね。おっさんって集まるとダメなんですよ、マウントの取り合いになるから(笑)。僕は参加しなかったんですけど、メンバーでオフ会をした時なんて、『オレは先月これだけの依頼をこなしたし』とか、自慢大会になっちゃったみたいで。おっさんって嫉妬深いし、寂しがり屋だし、ややこしい(笑)。『おっさんレンタル』のメンバーだけじゃなくて、世の中のおっさんがワンチームになれたら、もっと世の中のためになることやおもしろいことができると思うんですけどね。とりあえず寂しがり屋のおっさんに向けて、テーマパークでも作りましょうか?ガンダムパビリオンとかキン消しの館とか。フリーパスを持ったおっさんが毎日ワラワラ集まってくるような(笑)。それは冗談ですけど、これ以上おっさんの居心地が悪くならないように。ワンチームになるのは難しいかもしれませんが、自分のことをイケてると勘違いしているメンバーと力を合わせて10年、20年と続けていければと思っています」

取材・文=兄弟エレキ

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