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キモイ男子は超美声。スクールカーストを描いた漫画が心に刺さる

  • 2021年7月12日
  • Walkerplus

心の機微や片思い特有のきらめきを描いた漫画を、SNSで投稿しているイララモモイさん(@iroiro_kangae)。4月に、見た目も中身も高校時代とは別人のようになっていた友人に再会する話をウォーカープラスで紹介したところ、「情緒を感じる」「同様の経験がある」など、大きな反響があった。

今回もイララモモイさんの漫画の中から、心に刺さる作品をピックアップした。

■カースト底辺の男子がソロに抜擢。「合唱コンクールの話」
まずは、中学校の不条理なスクールカーストを描いた「合唱コンクールの話」。「キモイ」と言われる本町くんは、クラスの底辺に位置付けられていた。そんなのは嫌だと思いながらも怖くて何もできない郡山くんは、合唱コンクールの練習中に本町くんの美声と歌唱力に気付き、彼をソロに推薦する。しかし、教室という小さな世界に築きあがった目に見えない序列は、そう簡単にどうにかなるものではなかった。

イララモモイさんに、この話を描くきっかけや思い入れについて聞いてみた。

「思春期の愛らしくて不安定な生徒たちの人間模様が渦巻いている『中学校』という場が、元々大好きで。特に合唱コンクールはそんな人間関係の様相が色濃く浮き彫りになる場だと考えていたので、漫画にしてみました」

練習に一切参加しない生徒や、どうにかまとめようとする生徒など、合唱コンクールを通じてクラスメイトの内面までもが見えてくるよう。漫画には、イララモモイさん自身の思い出が投影されている部分もあるのだろうか?

「私自身、合唱曲や合唱コンクールへの参加はとても好きでした。ただ、姉のクラスでは、練習中ずっとふざけていた女子が当日だけ身なりを整えたことで、すごく評価されていたらしく。もちろん本番で歌える訳はなく、口を閉じた生徒が目立つ合唱でした。しかし、優等生の男の子によるソロが評価されて、そのクラスは最優秀が取れたらしいんです。とても印象的なエピソードでした。この漫画を描くにあたり、その話をかなり参考にしたところがあります」

■登場人物に共感したとの声が多数
残酷なほどリアルな人間関係を描いていたこの作品に、フォロワーからはたくさんの反応があったそう。

「最も多かったのは、中学校のスクールカーストを経験した方々による共感の声です。最後に郡山くんが本町くんに投げかけたメッセージについての反応も多かったですね。『郡山くんと本町くんのことを好きになった』という声や、幸せを願う声もたくさんいただいて、そのことは純粋にとてもうれしかったです」

本町くんと郡山くんへの共感やエールが多かった一方で、漫画で表現することの難しさや自身が大切にしていることについて、改めて考えるきっかけにもなったそう。

「『郡山くんの行為やスタンスは本当に善なのか』といった声や、『(カースト頂点の)松野くん側をありありと悪く描くのは、松野くんとやっていることが同じ。いじめではないか』といった、私への批判もいただきました。そういった声を受けて私自身いろいろと考えたのですが、漫画という限られた表現を行うにあたり、ある種の視野の狭さはどうしても必要だと考えていて。表現の未熟さは受け止めつつも、この漫画を通して伝えたかった内容を否定したくはないと、今では考えています」

■大好きなキャラクターなので、続きも描きたい
内容はもちろん感情移入ができる登場人物たちの魅力も、多くの反応が寄せられる理由の1つだろう。

「この漫画のキャラクターたちのことは皆すごくすごく好きなので、いつか絶対に続きを描きたいです」

続きがあるなら郡山くんとバンドを組み、教室という小さな世界に捕らわれず、思いっきり熱唱する本町くんをぜひ見てみたい。カースト頂点の松野くんがその後どのような大人になったのかも、個人的には気になるところだ。

■個人の思惑が複雑に絡み合う三角関係の話
前回イララモモイさんにインタビューした際に印象的だったのが、「三角関係が好きなんです」という言葉。なかでも「生徒会が舞台の三角関係の話」は、一筋縄ではいかない展開が魅力的だ。

「これは、私が高校時代に書いていた小説が元になっています。小説の内容としては、とある姉弟が入れ替わり、姉は弟の姿を借りて弟に思いを寄せる隣人に迫り、姉の姿をした弟は必死に止め、最終的には流血沙汰に…という雑なサスペンスでした。大学生になった今でも気に入っている話だったので、漫画にリメイクしよう!と思い立って描きました。大好きな三角関係ですし、合間に入れた小ネタのようなものも気に入っているので、今でもたまに読み返すお気に入りの一作です」

現在は1か月に1作くらいのペースで漫画を投稿しているイララモモイさん。学業が忙しいこともあり今後のことはわからないといい、自身の負担にならないペースで好きにやっていけたらと語る。最後にフォロワーへのメッセージももらった。

「いつも温かい感想を言ってくださる方々のおかげで、漫画へのモチベーションがずっと高いままでいられています。本当に感謝です。これからもよろしくお願いいたします!」

時に胸を締め付けるようなストーリーで読み手の心を揺さぶる、イララモモイさんの漫画。人間の内面をどのように描き出すのか、これからも楽しみだ。

取材・文=石川知京(関西ウォーカー編集部)

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