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もし李徴がイケボだったら?新解釈すぎる「山月記」パロディ漫画が話題に

  • 2021年7月9日
  • Walkerplus

国語の教科書でもおなじみの中島敦『山月記』。題名を忘れていても、「虎になってしまう李徴」と聞けばピンとくる人も多いはず。そんな名作を現代風にアレンジした漫画がTwitterで話題となっている。

作者は漫画家の安堂友子(@tomokoandou)さん。「思わぬ素質があった世界線の李徴の漫画」というタイトルで投稿された4コマ漫画は、「その声は我が友李徴子ではないか」と呼びかける有名な場面からはじまる。声だけで自分の正体に気付いたことに「離れて何年も経つというのに声を覚えていてくれたのだな」と涙を流す李徴だが、「だってきみすごく良い声で有名だったし」という返答にびっくり。人気声優に肩を並べるほどの声だと伝えられ、「言ってよ!!知ってたらそっち進んだよ!?」と、原作とは異なる理由で自分の過去を後悔してしまうというパロディとなっている。

同作には1.4万を超えるいいねがつき、リプライ欄には「その声聞きたい!」という声や、「山月記はなぜこうも人々の創作意欲をかき立てるのか」と名作の懐の深さに感心するなど多くの反響が寄せられた。

作者の安堂友子さんは、ツルの恩返しや桃太郎といった、昔話・おとぎ話を新解釈した『マチ姉さんのポンコツおとぎ話アワー』を連載するなど、名作のパロディを数多く執筆。今回は安堂さんに、名作をパロディとして仕立て直すアイデアの源や創作のこだわりを聞いた。

■パロディのコツは“もしも”妄想、原典へのリスペクトも忘れずに
――安堂さんが古典や昔話のパロディを描くようになったきっかけを教えてください。

「新作4コマ漫画を考えていた時にたまたま童話パロディネタがたくさん出たので、昔話しばりで一作分にまとめたところ、それを見た当時の編集さんが『これで連載を始めましょう』と決定してくれたので続きました。お仕事でなかったら、これだけ本数は出せなかったと思います」

――名作をパロディする上でのコツはありますか?

「よくあるツッコミどころの背景を膨らませるようにしています。例えば『シンデレラ』のガラスの靴だと、『国中で探して1人しか履けないワケないじゃん!』で済ませるとそこで終わってしまうので、『シンデレラにしかサイズが合わない理由』や『探し方に問題があった可能性』などを想像していくと、ネタにつながりやすいです。他には、脇役がこんなことを考えていたとしたら、描かれてない裏事情があったとしたら、季節や小道具が違っていたとしたら、の“もしも”妄想が多めです」

――パロディを描く際に気をつけていることを教えてください。

「パロディ作品にはどうしても元ネタありきの面があるので、独自の解釈や展開をたくさん加えて換骨奪胎が成立する内容にしたいと思っています。それも踏まえて、原典の粗探しや揚げ足取りの展開には陥らないよう注意しています。

あとは教訓が含まれた昔話の『バチがあたって不幸になりました』な終わり方にシュンとなるタイプなので、できるだけ(たとえ力技でも)後味の悪くないギャグのオチがつくよう心がけています。特に動物は贔屓します。動物は幸せにします」

安堂さんはパロディギャグの4コマ漫画をはじめ、エッセイ漫画も執筆するなど幅広く活躍中。思わず笑ってしまうそのユーモアに惹かれた人はぜひチェックしてみよう。

取材協力:安堂友子(@tomokoandou)

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