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シングルマザーを熱演、高畑充希「自分にとって大きなチャレンジ」

  • 2021年5月28日
  • Walkerplus

映画『ヲタクに恋は難しい』や、ドラマ「同期のサクラ」「にじいろカルテ」、ミュージカル「ウェイトレス」など、幅広い作品で活躍中の高畑充希。最新出演作の映画『明日の食卓』では、困窮するシングルマザーを見事に体現している。同じ「石橋ユウ」という名前の小学5年生の息子を育てる、3人の母親たちの生活が崩れていくさまを描いた本作。撮影秘話や役への思い、今後チャレンジしたいことなどを語ってくれた。

■10歳の子を持つ母親役は「大きなチャレンジになると思った」
――本作のどのようなところに惹かれて出演を決められたのでしょうか?

【高畑充希】これまでは、時々母親の役をいただいても、子供を産んだばかりとか幼い子供の母親役だったんです。ですが、私が演じた加奈は10歳の子供をもつ母親なので、親子関係を10年間築き上げてきたという役柄が自分にとって大きなチャレンジになるのではないかと思いました。それから、本作は“母とは?”“子供とは?”というテーマをしっかりと描いているところと、大阪で暮らす加奈のルーツが大阪出身の私自身のルーツに似ている感じに惹かれてオファーをお受けしました。

――高畑さんが肝っ玉母ちゃんを自然に演じられていたのが印象的でしたが、お芝居だけでなく加奈の服装や家、勤め先の工場など全てのカットにリアリティがあって引き込まれました。

【高畑充希】加奈の家の小物をよく見ると、“こういうもの置くよね!”と思うものがたくさんあるんです(笑)。現場ではそういう細かいディテールにいちいち感動していました。加奈の生活しているシーンもクリーニング屋さんの工場の作業を実際に教わって、加奈が手際良く働いているように見えるにはどうしたらいいんだろう、とかいつも首にタオルをかけていたり、いろいろとこだわって監督やスタッフさんたちと丁寧に作り上げていきました。実際に現場に行くと、台本では感じられなかった独特の空気があって、そこも演じる上で大きく助けられたと思います。

――本作で初めてご一緒した瀬々敬久監督の現場はいかがでしたか?

【高畑充希】監督はとてもシャイな方なのか、現場ではほとんどお話しなかったんです。それで、瀬々監督の『糸』の主演を務めた菅田将暉さんと『キャラクター』という映画でご一緒した時に、「こないだ瀬々組の現場に参加したんだけど、監督があまりしゃべってくれなかったんだよね。わたし嫌われてるのかな?」と聞いてみたんですね。そしたら「瀬々監督は女優さんに話しかけるのがあまり得意じゃないみたい。だから嫌われてるとかじゃないと思うよ」と言ってくれたのでホッとしました。

――『糸』で小松菜奈さんにインタビューした時も「瀬々監督とあまり話せなかった」とおっしゃっていました。

【高畑充希】やはり監督はシャイな方なんですね。監督との会話で覚えていることと言えば、子供と2人のシーンの撮影をしている時に、なんとなくしっくりこなくて監督に「あまりうまくいってないんですよね」と言ったら「そうですね。雰囲気かな…なんか違うからもう一回やりましょう」といった抽象的なやりとりぐらいで(笑)。撮影期間が1週間だったのですが、とってもタフな現場で、気付いたら終わっていました。そのあと菅野美穂さんと尾野真千子さんのパートをそれぞれ1週間ずつ撮ると聞いて、監督もスタッフさんも“なんてパワフルな方々なんだろう”と思いました。

――各パートそれぞれヘビーな内容ですが、それを1週間×3というのは確かにハードですね。

【高畑充希】加奈のパートもたいがいカオスでしたけど、おふたりのパートは登場する子供の人数も多いので、あと2週間大変だろうなと想像していました。というのも、監督はなかなかカットをかけない方なので、加奈が絶叫するシーンの撮影後に少しだけ声を潰してしまったんです(笑)。だから絶対におふたりも大変だったんじゃないかなと。もちろん、3つのパートを撮った監督とスタッフさんが一番タフですよね。今回、瀬々監督やスタッフの皆さんを見ていて、“映画の現場が好き”という気持ちがものすごく伝わってきたので、そこに自分も参加できて良かったなと思います。

■「会話劇でご一緒してみたい」菅野美穂、尾野真千子への思いを語る
――完成した本作をご覧になってみていかがでしたか?

【高畑充希】ひとつの作品として成立しているのにも関わらず、パートごとにそれぞれ受ける印象が違ったので驚きました。加奈のパートは実際に現場が蒸し暑かったのもありますが、ぐちゃっとした大阪の空気と、働いてる人たちがみんな少し汗ばんでいる感じが合わさって湿度が高いなと思いましたし、尾野真千子さん演じる専業主婦の石橋家のパートは、割と裕福な家庭を描いていてサラッとした質感の印象を受けて、菅野美穂さん演じる主婦のパートは、どこにでもある家族を描いているのでおそらく共感性が一番高いんだろうなと思ったり。それぞれのパートがものすごく濃いので、まったく違う映画を観ているような感覚にもなりました。

――今回、お三方の共演シーンがないのが残念でしたが、取材などでおふたりにお会いになりましたか?

【高畑充希】お仕事ではまだお会いできてないのですが、実はおふたりともお会いしたことがあるんです。何年も前ですが、尾野さんは偶然プライベートでお会いする機会があって、その時に少しお話しさせていただいたのと、菅野さんとは撮影現場でお会いしたことがあって、それが初対面でした。おふたりとも明るくて素敵な方々なので、本作のキャラクターとのギャップがすごいなと。それに、私にとってはテレビや映画でずっと観てきた大先輩でもあるので、今回3人のうちのひとりに混ぜていただけたのはとても光栄でしたし、これから番宣や舞台挨拶でお会いするのが楽しみです。

――もし、今後お三方でガッツリとした共演の機会があるとしたらどんな作品を希望しますか?

【高畑充希】シニカルなコメディとかおもしろそうな気がします。菅野さんや尾野さんのコメディ作品が大好きで。私自身もコメディが大好きなので、ドラマ「最高の離婚」のような会話劇でご一緒してみたいです。

■今後チャレンジしたいのは「重めのラブストーリーとアクション」
――今年の12月に30歳を迎えられますが、今後やってみたいことは何かありますか?

【高畑充希】これまで王道のラブストーリーやキラキラした作品をあまりやってこなかったので、そういった作品に興味があります。周りの俳優さんはそこを通ってきた方が多いので、もし可能であれば自分も挑戦してみたいです。

――近年ですと『オタクに恋は難しい』はラブストーリーですよね?

【高畑充希】あの映画はどちらかというとコメディなのかなと。過去の作品でいうと『植物図鑑 運命の恋、ひろいました』でラブストーリーに挑戦しましたが、それ以外は少し重めの社会派作品か、“ぶっとんでる役”が多いなと自分では思っていて(笑)。とはいえ、そういう作品を自ら選んでいたりもするのですが、今後は30歳前後の恋愛を描いた、重めのラブストーリーをやってみたい気持ちがあります。もうひとつ挑戦してみたいのが、たったひとりで一度に何十人と倒す無敵の役(笑)。

――あまりアクションのイメージがないので驚きました。

【高畑充希】ミュージカル「ピーター・パン」に出演していた頃は、結構アクションをやっていたんです。でもそういったお仕事のオファーがまったくこないので、どんくさそうに見えるのかもしれませんね(笑)。ギリギリまだ動けるので、瞬殺で大勢を倒すみたいな、映像作品だからこそできる強さを表現してみたいです。

――話は変わりますが、昨年インスタグラムに映画「ストーリー・オブ・マイライフ」を観に行かれて、この映画のフライヤーを玄関に貼っていると投稿されていましたが、シアーシャ・ローナンがお好きなのでしょうか?

【高畑充希】シアーシャは私より年下ですけど、キャリアの積み方が素敵だなと憧れているんです。彼女は自立した女性の役が似合うし、これからの女性像にも自然にフィットしている感じがするというか。女優さんは映画の中で“ヒロイン”という立場を担うことが多いのですが、シアーシャに関しては堂々と主演として作品の真ん中に存在していて、男性キャストはあくまでもシアーシャの相手役という見え方になるのがおもしろいなと。『ストーリー・オブ・マイライフ』でシアーシャが演じたジョー役とか最高ですよね。ああいう役にも挑戦してみたいです。

――最近はどんな作品をご覧になりましたか?

【高畑充希】『ミナリ』を観たのですが、想像と全然違って驚きました。ご覧になりましたか?

――主演のスティーヴン・ユァンのファンなので拝見しましたが、彼が出演している『バーニング』という作品と似ているシーンがあってモヤモヤしました(笑)。

【高畑充希】わかります!ネタバレになるのでどういうシーンかは言えませんが、私も同じことを思いました(笑)。『ミナリ』は先日行われたアカデミー賞で計6部門ノミネートされていましたが、“こういう作品がいまアメリカで高い評価を得ているのか…”と、いろいろな意味で勉強になりました。あと、劇場には観に行けてないのですが、フランシス・マクドーマンドがすごく好きなので『ノマドランド』は鑑賞する予定で、邦画は『アズミ・ハルコは行方不明』という映画でご一緒した松居大悟監督の『くれなずめ』が気になっています。

――幅広いジャンルの映画をご覧になっている高畑さんが挑戦する、“重めのラブストーリー”と“超絶アクション”をぜひ拝見したいので、いつか実現することを祈っております。

【高畑充希】ありがとうございます。実現できるように、これからも体力をしっかりつけて準備しておこうと思います(笑)。

取材・文=奥村百恵

◆スタイリスト:Shohei Kashima(W)
◆ヘアメイク:根本亜沙美

衣装=ビスチェ、スカート/すべてパブリック トウキョウ(パブリック トウキョウ 渋谷店)、ピアス/ユーカリプト(ユーカリプト)、リング(人差し指) /ガガン(ガガン)、リング(中指) /ソワリー(ソワリー)、その他スタイリスト私物

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