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人気ボーカロイド曲にもイラストを提供!心地良い違和感と美しい色使いが織りなす作品がTwitterで話題に

  • 2021年6月7日
  • Walkerplus

「引き込まれる世界観」「色使いと細部がすばらしい」と、Twitterで人気を集めているイラストレーターの白咲まぐるさん(@maguru_white)。人気ボカロP(ボーカロイドプロデューサー)・Kanariaによる再生回数200万回を超えたヒット曲『百鬼祭』をはじめ、数々のボーカロイドPのミュージックビデオにもイラストを提供しており、活躍の場を広げている。

今回は美麗なイラストを描き続ける白咲さんに、作品の制作裏話について聞いた。

■子供の頃の純粋な発想が生み出すイラストたち
白咲さんのイラストが知られるようになったきっかけは、2018年にTwitterに投稿されたトマトがテーマの「とまれ」という作品だったという。フォロワーの反響も非常に大きく、白咲さん自身もこの作品を描きあげてから作品の方向性が固まったと話す。

「とまれ」はトマトと標識の赤色や遮断機の黄色などのビビッドな色合いが目に付く一方で、どこか不穏さを抱かせる人物の目線とモチーフに、なぜか心惹かれてしまう一作。美しさの中に潜む陰鬱さが白咲さんのイラストの魅力の1つだ。

白咲さんのお気に入りは、「三毛猫とオランジェット」という作品。猫と少年を中心に描かれたこの作品は、レトロな雰囲気が魅力。それは少年が着ている学ランのような衣装だったり、少しくすんだ色使いによるものだろう。Twitterでの反応にも、「色合いがおしゃれ!」や「絆創膏や瞳、招き猫などの細かいところまで素敵」といったコメントが寄せられている。

「『三毛猫とオランジェットの色が似ているなぁ』と思って描き始めたんです。毛糸は、猫がよく遊んでいるイメージなので描いてみました」と白咲さん。

「鼻血が甘いソースになったらいいな」という発想から生まれた「あまい」は、赤色がメインのおいしそうなスイーツが描かれている。

鼻血をきっかけに発想された作品ながらバイオレンスの方向ではなく、“スイーツ”というかわいらしいモチーフを使用して、意外性を加えている。見ている人はそのギャップに惹かれているのかもしれない。

「子供の頃にふと思ったことを思い出して描くのが1番うまくいきます。子供の発想は強いですから」と白咲さん。たとえば「とまれ」は、白咲さんが小学生の頃に「『トマト』と『止まれ』が似ている」と思っていたことを思い出して描いたという。そのせいか白咲さんのイラストは違和感がありながらも、幼い頃にぼんやりと考えたことのあるような、どこか懐かしく不思議な世界が描かれていることが多い。

「幼い頃からイラストを描くのが好きだった」という白咲さん。しかし、当時描いていたのはサンリオキャラクターやゆるキャラなどがほとんどで、中学生になってから人物を描き始めたそうだ。そのきっかけは、ライトノベル『僕は友達が少ない』(平坂読著)のイラストを担当していたイラストレーターのブリキさんの作品と出合ったこと。ブリキさんに憧れた白咲さんは大学生の時に本格的に絵を描き始め、Twitterで作品の発信を始めたという。

■ボカロPとのコラボで人気急上昇中!
白咲さんは気ままにイラストを描くだけでなく、ボカロPに作品提供もしている。なかでも香椎モイミの楽曲『偏食』と、Kanariaの楽曲『百鬼祭』に提供してできたミュージックビデオには特に思い入れがあるそう。

『偏食』では、グレーとイエローが基調となっている中で食器や人物の舌にくすんだ青が使われており、描かれている人物の目線にぞわりとさせられる奇妙な雰囲気を纏う。その一方で、髪をパスタに見立てるなど白咲さんらしい遊び心も満載。

『百鬼祭』はKanariaの処女作であり、再生数は現在200万回を超えてVOCALOID殿堂入りとなった大ヒット作品だ。イラストを依頼された白咲さんは、「より多くの人の目に止まるように心掛けたため、いつも以上に慎重になりました」と振り返る。

「本来なら『曲をイメージして描いてください』と言われる時点で1つ枷が付きますけど、ほとんどの人が『曲を聴いた白咲さんのイメージで好きなように描いてください』と言ってくださるので、ある程度好きに描いて楽しく制作しています」

もともと白咲さん自身もボーカロイドが好きで、「いつかイラストを使ってもらいたい」と思っていたため、コラボできることをうれしく思っているそう。Twitterでの作品の発信は一時的に消費されるが、ミュージックビデオに提供されたイラストは何度も繰り返し再生されるため、宣伝効果が強いことを知ったという。

今後は、小説など書籍のカバーイラストを描くのが目標だそうだ。イラスト制作や楽曲への作品提供に加え、より広い分野での活動にこれからも注目していきたい。

取材・文=織田繭

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