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駅弁・ひっぱりだこ飯の「蓋だけ販売」が大ヒット!人気の理由や開発の裏側に迫る

  • 2021年5月7日
  • Walkerplus

たこ壺を模した陶器に真だこや穴子を詰め込んだJR西明石駅の名物駅弁「ひっぱりだこ飯」(1080円)。2021年1月、壺に合わせた陶器製の蓋「ひっぱりだこの蓋」が440円で販売され、「待ってました!」と言わんばかりに大反響を巻き起こした。初回分の3500個はわずか4日で、追加で販売した1500個も数日で完売し、生産が追い付かないほど人気を集めた。

なぜ蓋を単体で発売することにしたのか?これほどまで人気が出た理由とは?疑問が尽きないので、企画・デザインの中心人物である「株式会社 淡路屋」常務取締役の柳本雄基さんに、詳しく話を聞いた。

■弁当屋なのに、なぜ蓋だけを発売?
そもそも「ひっぱりだこ飯」は、1998年に明石海峡大橋の開通記念として誕生した、累計生産数1400万個超えを記録するロングセラー駅弁だ。壺は明石の伝統的な「たこつぼ漁」を伝えるべく、現社長の指揮のもとデザインされたそう。

――蓋を単体で販売されることになった経緯を教えてください

「壺はしっかりとした作りなので、旅の記念に持ち帰る方もいらっしゃるようです。しかし、お弁当についている蓋が紙製のため、『壺とセットで使える陶器製のものがほしい』という声がたびたび寄せられていました。そのようなご要望に応える形で、2019年1月に数量限定で『蓋つきひっぱりだこ飯』を販売したのですが、すでに壺を愛用されている多くの方から『蓋だけがほしい』とのご意見をいただきました。以来、量産化に向けて試行錯誤を繰り返し、蓋単体の販売に至りました」

――満を持して販売された蓋に、込められた思いなどはありますか?

「当初この蓋は、2021年4月10日に『弁当の日』記念商品として発売する予定でした。しかし、2度目の緊急事態宣言が発令されて駅の利用者が激減。駅利用者の減少は駅弁文化の衰退に直結することから『駅弁に関する話題を作り、業界の支えになりたい』との思いで、予定より約3か月前倒しにして1月20日に発売しました」

■二度見間違いなしの斬新なデザイン
――デザインで工夫されたところはどこですか?

「蓋は『ひっぱりだこ飯』の壺と同じ陶器製で、腕を広げて鎮座しているタコの頭をつまんで持ち上げます。2019年版の蓋はこのタコの頭がぺたっと寝ていたのですが、社内から『ちょっとつまみにくいね』という意見も。そこで、今回は頭をにょきっと持ち上げているデザインに変更しました。前回のデザインを踏襲しながら、さらに持ちやすくてユーモラスに。我ながらいいものが完成したと思っています」

するどい目やくちばしのような漏斗(ろうと)、腕の吸盤も見事に表現され、陶器のつるりとした質感と相まって、まるで本物のタコのよう。玄関や部屋に飾っておけば、二度見してしまいそうなインパクトのある蓋が440円で手に入るとあれば、数日で完売したのも納得できる。

■箸立てに漬物入れ…利用法は無限大!
――みなさん、どのように利用されているのでしょうか?

「壺単体では、小物入れにしたり、お箸立てにしたり、魚を飼っている方は水槽に沈めて魚の隠れ家にしたり…と、さまざまに工夫を凝らして利用してくださっているようです。蓋があれば『漬物入れにも使える』というご意見もありましたし、さらに用途が広がると思います」

「ひっぱりだこ飯の蓋」の反響を受け、今年4月には「ひっぱりだこのお猪口」(500円)を発売。壺とお猪口、さらに2018年に発売した「ひっぱりだこの珈琲カップ」(1230円)を重ねた「タコリョーシカ」なる画像をSNSにアップして、楽しい利用方法を広めている人もいるそう。

「ひっぱりだこ飯の蓋」は、淡路屋各店(新神戸店、神戸店、西明石店、西神中央店、神戸阪急店、神戸大丸店など)のほか、同社オンラインストアからの注文で地方発送にも対応可能。2021年5月下旬には約5000個の再販が予定されている。

■蓋に続いて、壺と同デザインのお猪口もヒット中
――4月に発売した「ひっぱりだこのお猪口」について教えてください

「『ひっぱりだこ飯』の壺をサイズダウンしながらも、可能な限り忠実に再現した、たこ壺風のお猪口です。昨年に続き、今春もお花見や外食が制限されてしまったので、コロナ禍のおうち花見や家飲みが少しでも楽しいイベントになればと、開発しました。気分が沈みがちな時期ですが、オンライン飲み会などで使用して多くの人に少しでも笑顔になっていただけるとうれしいです」

「ひっぱりだこのお猪口」は公式オンラインストア限定で1日100個限定、総数約5000個の販売を予定。連日売り切れているものの、毎日午前10時から販売。販売開始時間を狙って公式オンラインストアにアクセスし、ぜひ入手したい。

■今後もアイデア商品から目が離せない
コロナ禍の今「崖っぷちの駅弁屋」を掲げ、「ひっぱりだこ飯」の蓋とお猪口のほかにも、飛沫感染防止シールド付き弁当箱を使用した幕の内弁当「令和の嗜(たしな)み弁当」(1000円)など、さまざまなアイデア商品を打ち出している同社。柳本さんは「緊急事態宣言が解除されて落ち着いたらまたユニークな新商品を発売したい」と話す。

現在発売中の「伊右衛門版ひっぱりだこ飯」(1200円)やピンク色の「ハローキティ版ひっぱりだこ飯」(1400円)のような新バージョンの「ひっぱりだこ飯」なのか、蓋やお猪口のような弁当屋らしからぬグッズなのか…現在企画中だという新商品の詳細は不明だが、どんな商品が完成するのか今から期待が高まるばかり。

また、5月中旬には夏限定の「夏のひっぱりだこ飯」(1200円)を発売予定。蓋と共に購入し、改めて名物弁当を味わってみてはいかがだろうか。

取材・文=吉田英子

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