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オシャレでファンキーなマダムのイラストが話題!作品に込めた「明るい未来」とは

  • 2021年4月13日
  • Walkerplus

明るくポップなタッチで描いたファッショナブルなイラストや、スケボーをするファンキーな「マダム」シリーズなど、自由な発想で描かれたカラフルな作品が話題を集めている、東京在住のイラストレーター・seko kosekoさん。

「こんな素敵なファッションがしたい!」「こんなおばあちゃんになりたい!」と大きな反響を呼んでいる、イラストの数々がいかにして描かれたのか直撃インタビュー。彼女のこれまでを振り返りながら、作品に込めた想いを聞いた。

■「絵が好きだった。けど、絵で食べてくのは難しいと諦めてた」
sekoさんがイラストを描きはじめたきっかけは、幼稚園の頃にまでさかのぼる。「どうして絵を描き始めたのか記憶がないくらい昔で、物心ついたころには絵を描いていました。『上手だね』と言われるとうれしくて、褒められたくてまた描くようになり、小学生の頃は授業中もずっと絵を描いていて先生に怒られたことも。勉強もできず、ピアノを習ったりしていましたが上手くいかず。『やっぱり自分には絵しかないのかな』といつしか思うようになっていました」

今でこそイラストレーターとして、雑誌の挿絵やアーティストのグッズ製作、商業施設のイメージイラストなど様々なフィールドで活躍しているsekoさんだが、当初は絵を仕事にすることを諦めていたという。

「美術の成績も良くなくて、美大にも行けず。絵を描く職業につきたいと思っていましたが、『イラストだけで食べていくのは難しい』とどこかで諦めてたんです。なので、まったくの独学で好きなものを趣味で描きながら、SNSのアカウントでアップするぐらいでした。それがある日、1万いいね!以上いただけて。今のアカウントではないのですが、たくさんの方に見ていただけたことがうれしくて、『ダメ元でチャレンジしてみようかな』と決心しました」

初めてSNSで大きな反響があったイラストは、今の明るくポップなイラストとは異なる、暗いテイストだったそう。「SNSを始めた当時は、小さい頃に想像してた未来とギャップがあった違和感みたいなものを、少し暗いタッチで描いていました。好きな服を着ていると、いろいろ心無いことを言ってくる人がいたり。大人になってからの生きにくさがあまりにも衝撃的で、『もっと自由になればいいのに』という想いを絵にしていました。それが思いのほか反響があり、たくさんの方に見ていただけた。ありがたい反面、暗い気持ちを与えてしまったことが心苦しくて…。それから3年ほど前にアカウントを作り直すことにして、今の明るいイラストを描くようになりました」

■もっと自由になれる、「明るい未来」への願いをイラストに
sekoさんのイラストには、変わらず「もっと自由に」という願いと、「イラストを見た人には、明るい気持ちになってほしい」という想いが込められている。象徴的ともいえる作品が、より多くの人に知られるきっかけとなった「マダム」シリーズだ。「私もそうですが、歳をとることへの不安だったり暗いイメージがある人もいるかと思います。そういったシニアへのネガティブなイメージを払拭したくて、『歳をとっても自由でいいんだ』という明るい未来への願いを込めて描いたシリーズです」

「きっかけは、自撮りをしているマダムのイラストなんですけど、海外のおばあちゃんが自撮りをしている画像を見た時に衝撃を受けて。自分の将来が彼女ぐらい自由で、なおかつ周りもその自由なスタイルを受け入れてくれる将来だったらいいな思って描くようになりました。特に反響の大きかったスケボーをしているマダムは、運動神経がいいマダムと、そうでないマダム、普通のマダムの3人に分けて描いています。できる人もできない人も、自分なりに楽しめているならいいんだということが、伝えられたらなって」

「ほかにも、花札をモチーフにしたドレスのイラストでは、口紅を塗った真ん中の人を男性として描いていたりします。『花の歌を歌って』というイラストは女性同士のカップルだったり、他にもおそらく元男性なんだろうなという人物をさりげなく描いてみたり。ファッションも恋愛も性別も体型も、もっと自由であればいいのにと思うので、イラストを見て同じように感じる人が多くなればなるほど、きっと自由な生き方や考え方が広がるんじゃないかと信じて描いています。今後はプラスサイズの女性や、可愛いおじさんなど、さまざまな人の自由に楽しむ姿を描きたい。とはいえ、あくまでも作品を見て楽しんでいただきたいので、私の思想だとかメッセージみたいなものは隠し味ぐらいにしていますね」

■「非日常な日常」に素敵な小物やファッションを凝縮
また、ポップなカラーで細やかに描かれたファッションや小物、背景などのイメージは、sekoさんがワクワクする素敵なものにインスピレーションを受けているのだそう。「街でみかけた、素敵だなと感じたものは写真に撮って残したり。写真に残せないものは、目に焼き付けるようにしています。イラストのファッションで注目していただけることが多いのですが、私自身は普段服に無頓着でこだわりがありません。代わりにイラスト内の人物に自分が良いと思った服を着てもらったり。日常の中で見つけた、私自身が見ていて明るい気持ちになったり、ワクワクする『素敵なもの』を自分なりのイラストに昇華して詰め込んでいます」

イラストができあがる瞬間が、何より楽しいと語るsekoさん。「花札で遊んでいる2人の過去と未来を描いたイラストのように、部屋っぽい細々とした小物を描いている時は、ときめくしドキドキするんですよね。服のシワを入れたり、完成に近づくにつれて『我ながら素敵だなぁ』と楽しみながら描いています。あとは、『夜のブティック』を描いてから色を考えるのも好きになりました。色を入れるときは最高潮ですね。ピンクが好きで得意なんですが、最近は観葉植物を買ってから、限りなく黄色に近い緑にハマっています!」

背景やシチュエーションについてのこだわりも教えてくれた。「細々とした小物の他にも、背景を書き込むのも好きです。魔女のイラストなんかは、たくさん詰め込んでいて。もっと非現実的に描けると思うんですけど、現実でもありそうなぐらいにしています。ケーキ屋さんみたいなお花屋さんとか、お風呂に入っている『スプリングレイニーデイ』とか、非日常だけど日常でもあるようなイラストが好きなんですよね。ある意味、シュール。正装してスケボーするマダムも見たことないし。だけど、こういう人がいたり、こういうシチュエーションがあったら素敵だなと」

今後の展望について聞いてみた。「ファンキーなマダムの絵をきっかけにたくさんの方に知っていただけて、『私もこんな風に軽やかにスイスイと生きたい』といったコメントや『年をとることに落ち込んだりしたけれど、イラストを見て頑張ろうと思った』と支えになるメッセージをたくさんいただきました。私も大好きなシリーズなので、これからも素敵なマダムを描いていきたいなと思います。今は彼女たちを主人公に『もっと自由でいいんだ』というメッセージを込めた漫画に初チャレンジしていて、SNSで発信してみようと思っています」

「他にも、アニメーションにチャレンジしてみたり、書籍や雑誌のイラストをもっと描きたい。CDアルバムを手がけるのも素敵だなと思うので、色々な活動ができるように頑張りたいなと思います。何より、たくさんの方にイラストを見ていただいて、『素敵だな』『こんな風に自由になりたいな』と思っていただけたらとてもうれしいです」

取材・文=大西健斗

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