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「根強い“性のタブー”に挑戦」TENGAが生み出した女性用アイテム『iroha』が大ヒットしたワケ

  • 2021年4月2日
  • Walkerplus

「性を表通りに、誰もが楽しめるものに変えていく」をコンセプトに、おしゃれでスタイリッシュなセルフプレジャーアイテムを展開する株式会社TENGA。男性用の「テンガオリジナルバキューム・カップ」を看板に据え、近年では百貨店への出店や、69カ所の国と地域で販売されるなど大躍進中だ。

今回は、TENGAをはじめとしたセルフプレジャーアイテムの魅力や商品開発の秘話などを広報チームの橘涼太さんと西野芙美さんに聞いた。

■「TENGA」誕生秘話。赤×シルバーに込められた思い
TENGAの代名詞といえば、「テンガオリジナルバキューム・カップ」。なめらかな赤いボディにシルバーの5本ラインが有名だが、なぜこのようなデザインになったのだろうか。

株式会社TENGAの創業者で代表取締役社長の松本光一氏は、もともと車の整備士をしていたという。「モノづくりをしたい」という思いから資金を貯めて脱サラし、家電量販店やホームセンターなどさまざまな店に足を運びながらどんな製品を作ろうかと考えた。そんな中、偶然訪れたアダルトショップで当時のセルフプレジャーアイテムを見た時に、ブランド名や会社の情報が記載されていないものや、卑猥な絵が描かれたパッケージに違和感を覚えたそうだ。

そして「性欲は食欲や睡眠欲と同じく根幹的な欲求。人間の根幹の欲求に応えるものなんだから、一般的なプロダクトとして提供するべきだ」と考えた松本氏は、セルフプレジャーアイテムの開発に乗り出したという。

そこで最も重視した点は「スタイリッシュさ」。セクシュアルアイテムを一般的な商品として販売したいという思いから、誰もが手に取りやすいデザインに特にこだわったという。橘さんは「かっこよさやスポーティーさ、そしてひと目で『TENGA』だとわかるシンボルを意識してデザインし、1番良かったのが赤いボディにシルバーのラインでした」とデザインの成り立ちを教えてくれた。

■「“あっ”と言わせる革新性を」生み出されるヒット商品の数々
セルフプレジャーアイテムの“当たり前”を塗り替えたTENGAの商品は、どのようなところにこだわって開発されているのだろうか。橘さんは商品の企画について、「当社はお客様から『想像してなかったけどこういうものが欲しかった』と思っていただけるような、“提案型”の製品開発を意識して行っています」と語る。

株式会社TENGAのコアバリューの1つが、『“あっ”と言わせる革新性を それがなければ世の中は変えられない』だ。顧客に寄り添うだけでなくニーズに先回りをし、世間を驚かせることを常に試みる。そして新技術の開発や研究にも努力を惜しまないのがTENGA流だそうだ。社員で試作品の使用試験を何度も行い、何十回もの改良を繰り返して製品化するのだという。

社員の血のにじむような努力と試行錯誤によって作られた製品は、セクシュアルアイテムだけで約170種以上。洗って繰り返し使える「ホールシリーズ」や、携帯に便利な薄型の「ポケットシリーズ」など、多種多様な商品が販売されている。

また、シーズンならではの楽しみ方を提案するアイテムも多い。 橘さんは「暑い夏の日にぴったりの冷感成分が入った『COOL TENGA シリーズ』や、4月頃には新生活をスタートする人を応援する『PREMIUM フレッシャーズカップ』などが人気です。TENGAの商品で季節の移ろいを感じてください」とおすすめを教えてくれた。

そして橘さんイチオシの人気商品は、創業10周年を記念して限定販売された「PREMIUM TENGA シリーズ」。高級ウレタンフォームや専用に設計された贅沢な内部ディテールなど、TENGAが長年培った熟練の技術によって生まれたワンランク上のアイテムだ。一度は販売終了となったが、ファンからの熱い要望によりレギュラーアイテムになった。

■女性の悩みに寄り添う「iroha」も大ヒット!
TENGAのラインナップは男性向けばかりだと思われがちだが、女性向けのセルフプレジャーアイテムの企画開発にも力を入れているのはご存知だろうか。それが「iroha」だ。

「女性らしくを、新しく。」をコンセプトに、和モダンなデザインでやさしい色やフォルム、ぷにぷにとした触り心地、長い爪でも簡単に操作できる仕様など、女性にとっての使いやすさと安心感を追求した商品を展開している。

「女性にとって心地良い製品は女性が中心に開発すべき」という思いから、女性社員のみで企画立案や使用試験を行い、製品開発を行っているそうだ。女性の手で世界中の女性のためにirohaを開発しているが、世間において女性の「性」をタブー視する傾向は現在でも根強く残っている。

「女性のセルフプレジャーは、『恥ずかしいこと』や『寂しいこと』と思われたりする。世間的にそのような傾向があるため、女性が自分の体について知ったり体を守るための知識を得る機会が少ないのではないかと考えています。irohaによってセルフプレジャーを“心地良いもの”と思っていただければうれしいです」と西野さん。「性をごく自然なこととして捉えてほしい」というのが、irohaの最大の狙いであり願いだ。

最近では、女性が抱える健康の課題をテクノロジーで解決する商品やサービスを指す「フェムテック」という言葉が注目され、女性目線の性のグッズや通販サイト、WEBメディアなども増えている。

「自分の体や心地良さなどについて、正確な情報にアクセスでき、誰もが安心安全な状態でセルフプレジャーを楽しめる環境を整えていきたいです。今後は性に関する包括的なケアを提案できる“フェムケアブランド”として、さまざまな女性に寄り添えるirohaを目指しています」と、西野さんは今後のirohaが目指す将来を語ってくれた。

■かわいくて清潔!irohaが選ばれる理由
女性の悩みに応えるべく開発されたirohaだが、まだ出合ったことがない人も多い。初めてでも使いやすい「iroha stick」や、「iroha RIN+」などの定番商品に加え、2021年新発売の「iroha petit」が現在大人気だそうだ。

「iroha petit」 は、irohaブランド初めての使い切りアイテム。みずみずしく滑らかな使い心地が特徴だ。デリケートゾーンに沿わせてみたり、押し当てたりとユニークな刺激を楽しむことができる。手で温めたり冷蔵庫で冷やしたりとお好みの温度に調整が可能で、初心者もファンも気軽に楽しめる商品だ。

西野さんは「手のひらに収まるサイズで、一見セルフプレジャーアイテムとはわかりにくく、かわいらしいパッケージも人気のポイントです」と話す。

■百貨店やデザイナーとコラボも!カジュアルな存在になるTENGA
TENGAやirohaは百貨店とのコラボを行うなど、勢いが止まらない。現在、TENGAは「TENGA STORE TOKYO」を阪急メンズ東京に、「iroha STORE」を大丸梅田店に構えている。

「『TENGA STORE TOKYO』は、阪急メンズ東京より『ムーブメントやカルチャーの先にファッションがある。ストリートで性カルチャーを牽引してきたTENGAに出店してもらいたい』というお話をいただき、常設店の出店が決まりました」と橘さん。店舗で1番人気なのが「TENGA SVR(スマートバイブリング)」。「パートナーとの性交渉をもっと楽しみたい」という思いに応えるカップル向けのシリーズで、累計出荷数は20万個を超えている。
 

また、「iroha STORE大丸梅田店」は、「もっとお客様に寄り添ったソリューション提供ができるのでは」という百貨店側の思いから声がかかったそうだ。「月のみちかけのように、あなたのリズムに寄り添う」というコンセプトをもとに、女性のバイオリズムを4つの周期に分けて捉えた女性向けの新フロア「michikake(ミチカケ)」がオープンする際、そのコンセプトを体現する店舗の1つとして「iroha STORE大丸梅田店」の出店が実現した。

そのほかにも、業界や業種を越えてTENGAのビジョンやモノづくりへの思いをより多くの人々に伝えるため、アパレルアイテムにも力を入れている。最近では“Tシャツ界の悪童”と呼ばれるブランド「ハードコアチョコレート」や、“イケてる薄毛のためのスタイルメディア”と謳う「NOHAIRS」とのコラボアイテムが注目されている。

このようにさまざまなコラボが実現した理由として、橘さんは「『性を表通りに、誰もが楽しめるものに変えていく』というTENGAが掲げるビジョンへの共感をいただけたからです」と話す。

■タブーに挑戦し続けて、世界中を自由に
最後に橘さんは、「ハイクオリティなセクシュアルアイテムを作るだけではなく、モノそのもののあり方を変え、誰もが性を楽しめる世界にしていきたい。それがTENGAの目標です」と、将来の展望を語ってくれた。

「愛と自由とTENGA」を掲げて根強い性のタブー視に挑み、すべての性の悩みに応えるべく試行錯誤を繰り返している。私たちの「性」のこれからは、TENGAによってよりオープンに、よりカジュアルなものに明るく変わっていくのかもしれない。

取材・文=福井求

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