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薬師寺保栄氏の愛弟子が“世界”を射程に。名古屋ボクシング界のホープ・森武蔵選手

  • 2020年12月10日
  • Walkerplus

2020年11月28日、後楽園ホール(東京)でWBOアジアパシフィック・フェザー級タイトルマッチが行われ、名古屋の薬師寺ジム所属である森武蔵選手が、溜田剛士選手(大橋ジム)の挑戦を11回TKOで退け、3度目の防衛を果たした。今回はスポーツ写真家・中村康一氏によるこのタイトルマッチのレポートをお届けしつつ、来年はいよいよ世界を見据えた戦いが期待される名古屋ボクシング界のホープ、森選手を紹介したい。
■想定外の展開となった序盤戦
試合の冒頭は、派手に突っ込んだ溜田選手がつまづいて転倒するという、いささかオーバーアクションな入りとなった。ただこれは、溜田選手としてはおそらくインファイトに持ち込むための仕掛けだったのだろう。本来ならば序盤は足を使ってのアウトボクシングを展開する予定だった森選手は、「ムキになってしまった」そうで、相手の間合いでの打ち合いに付き合うこととなった。4回までは完全に溜田選手のペース。森選手自身は「効いていなかった」というが、手数において勝っていた溜田選手の印象が良く、ジャッジペーパーを見ても4回終了時には、3人のジャッジの採点は2対1で溜田選手に軍配が挙がっていた。
■5回以降は華麗なフットワークを披露
テンポが変わったのは5回。「この試合のために、足を使ったアウトボクシングの練習をしてきた」と語る森選手が、本来やりたかったはずのボクシングに転じたのだ。そして7回、「パンチをまとめて倒そうというラウンドを作った」との言葉通り、溜田選手をKO間際まで追い込んだものの、溜田選手の粘りの前に倒すことができなかった。この時点では判定にもつれ込むことを覚悟したそうだ。
溜田選手の素晴らしかった点は、スタミナが苦しくなった終盤においても、打たれたら必ず打ち返し、採点を優位にすべく努力を続けたことだ。実際、7回の森選手の猛攻をしのいだ直後の8回は反撃に転じ、ジャッジも2対1で溜田選手のリードと取ったほどだった。しかし反撃もそこまで。9回以降は完全に森選手のペースとなり、11回に溜田選手を追い詰めたところでレフェリーが試合を止めた。
■世界を見据える来年の戦いに期待
これで森選手の戦績は12戦12勝(7KO)。試合後、2021年5月13日に清水聡選手(大橋ジム)と対戦することが決定した。ロンドン五輪で銅メダルを獲得した、経験豊富なベテランだ。森選手にとっては過去を含めた対戦相手の中でも屈指の実力者であり、森選手が世界を目指す上で重要な試金石となるだろう。本人が「巡り合わせもある」というとおり、世界タイトル挑戦は簡単な道のりではない。特に現在はコロナ禍の影響でマッチメイクにもひときわ苦労する状況だが、一つ一つの試合を確実にクリアすることで世界へ視界を広げてもらいたいものだ。
井岡一翔選手のトレーナーを務める名指導者、イスマエル・サラス氏の下でトレーニングを積んできたこともあり、「ラスベガスのリングに上りたい」と夢を語る。ラスベガスに限らず海外でのタイトル挑戦となるとどうしても厳しい戦いが予想されるが、それは覚悟の上の発言だ。名古屋にゆかりがある新進気鋭のアスリートとして、これからも応援を続けたい。



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