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去る「としまえん」、来る「ハリポタ」 練馬区の新旧“顔”への惜別と期待

  • 2020年8月31日
  • Walkerplus

東京都練馬区の遊園地「としまえん」が2020年8月31日、94年の歴史に幕を下ろす。その跡地には、映画『ハリー・ポッター』シリーズの体験施設「ワーナー ブラザース スタジオツアー東京 ‐メイキング・オブ ハリー・ポッター(以下:スタジオツアー東京)」の2023年開業が予定されている。練馬区は人気作品の新スポットに期待をかけるとともに、同区に根ざしてきたとしまえんの閉園に寂しさをのぞかせる。

■「ハリー・ポッター」の世界観が楽しめる新施設がとしまえん跡地に開業予定

スタジオツアー東京は、ロンドンに次いで世界で2番目となる映画『ハリー・ポッター』シリーズと、そのスピンオフ『ファンタスティック・ビースト』シリーズの体験型エンターテイメント施設。施設の規模は約3万平方メートルで、映画『ハリー・ポッター』シリーズの製作者が実際に設計し制作した映画セットを探索したり、映画で使用された衣装や小道具などの室内展示を行うとしている。また、入場口前の広場スペースには、映画に登場する魔法動物の彫刻が置かれた造園エリアも計画しており、こちらは施設来場者以外も自由に楽しめるエリアとなる見込みだ。

2020年8月18日に、ワーナーブラザーススタジオツアーズとワーナーブラザースジャパン、西武鉄道、伊藤忠商事、芙蓉総合リースの4社が、としまえん跡地の一部敷地でスタジオツアー東京の開発に関する契約の締結を発表。オープンは2023年前半を予定している。

■4時代を駆け抜けた「としまえん」 94年の歴史にピリオド

新施設オープンに期待がかかる一方で、94年の歴史に幕を下ろすのが遊園地・としまえんだ。としまえんは1926年(大正15年)に景勝地「豊島園」として開業。1907年にドイツで製作され、としまえんに1971年に復元され設置された回転木馬「カルーセルエルドラド」をはじめさまざまな人気アトラクションを有し、毎年夏季にオープンするプールも都内有数のスポットとして親しまれてきた。

1957年のインドアスキー場オープンや、1965年の「流れるプール」スタートなど、世界に先駆けての施設やアトラクションも数多く取り入れるなどの意欲的な施策を打ち出し続けてきたが、同園敷地を中心としたエリアが練馬城址公園として整備されることから2020年8月末での閉園が決定。新型コロナウイルス感染症拡大防止のため臨時休園していた同園の閉園発表は大きな話題を呼び、営業再開後は別れを惜しむ多くのファンが同園を訪れるなど、大正・昭和・平成・令和の4時代に渡って愛された遊園地だった。

■練馬区、ハリポタ施設は「大いに歓迎」も…としまえん閉園「さびしい」

行楽施設として長年人気を集めてきたとしまえんは、同園のある練馬区の人々とも密接な関係を築いてきた。練馬区の成人式「成人の日のつどい」や、区内最大級の祭り「練馬まつり」の会場としても使用され、区民の交流の場としても機能してきたのだ。

また、1967年にとしまえんが毎年夏に実施していた打ち上げ花火は、2004年の中止まで夏の恒例行事として知られていた。2017年に規模を縮小しとしまえんの花火が13年ぶりに再開すると、2018年からは練馬区主催の花火大会「練馬区花火フェスタ」も同園を会場とするなど、練馬区の花火文化にも大きくかかわってきた。

練馬区企画課の三浦康彰課長は、「練馬まつりをはじめ成人式、花火フェスタ、練馬こぶしハーフマラソンなどの区のイベントに多大なご協力をいただき、感謝している。多くの方々に長年親しまれ、区民にとって極めて大切な場所である遊園地・としまえんが閉園することは寂しい」と、閉園を惜しむ。

一方、スタジオツアー東京の開業には「練馬城址公園の段階的整備に合わせ、としまえんの跡地に、ワーナーブラザースによる世界的な施設が整備されることは区として大いに歓迎したい」(三浦課長)と期待を寄せる。同区では開業に向け、練馬城址公園の西側に計画されている道路の早期整備を東京都へ要望しており、スタジオツアー東京が練馬区の街づくりにも大きな影響を与えそうだ。

単なる遊園地の枠を超え、練馬区に深く根差してきたとしまえん。同区の顔とも言える代表的スポットの跡地に開業するだけに、スタジオツアー東京にかかる期待は大きい。

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