Vol.10　今、地球上で一番シアワセなのは、先進国の田舎町？
山形県産ワイン認証委員　青山克己さん

1955年山形市生まれ 山形県産ワイン認証委員会：認証委員、山形県カクテルフルーツワイン研究会：プロジェクトコーディネーター。NPO宝さがしから地域デザインを考える会：監事。(株)昭文社「サーベイ山形」：やまがた観光サーベイ委員会監修委員。(株)小島洋酒店：企画開発事業部長。 LOHASコンシェルジェ(NPO ローハスクラブ認定) 趣味：四季を通しての山野遊びいろいろ。音楽鑑賞やギター演奏。料理やクラフト。

今回ご紹介するのは、ボールダーと姉妹都市でもある山形のさまざまな地産の発掘に意欲的な青山克己さん。偶然がかさなるLOHASとのつながりも・・・

Uターンを決意したとき

　20代前半、青山さんは都会で仕事していました。奥様のおなかに小さな命が宿ったことがきっかけで、先の生活を考えるようになったそう。

趣味の一つがフライフィッシング。写真上のバンブーロッドはお手製。グリップ部分はなんとシャンパンのコルク。写真下：こちらも手作りのネット。

　「折りしも、近所で傷害事件があったり、夜な夜な○○族が走り回ったり、人材教育よりも目先の利益・・・学校や地域社会がなんとなく荒れ始めているのかな？と感じた頃で、今後の暮らしを考えるようになったんです」。

　そもそも、青山さんにとっての心地良い原風景は、「春の暖かい日に、独りで草っぱらに寝転んで、ヒバリが晴れた空に向かって垂直上昇したり、ホバリング（空中停止）しつつ囀っているのを眺めていたこと」。そんな時間を過ごした幼少時代の記憶が、父親になる自覚とともによみがえったのかも知れません。

　「だから田舎にでも帰って、地元産の美味しい味噌や醤油を自分達なりに見つけたり、のんびり手作りをしたり、家族で釣りやキャンプ、冬はスキーなんかをして暮らすのも良いかなって・・・でも、そんな当り前な事をちゃんと実現する事って、けっこう難しいんですけどね」。

　それにしてもこの時点で青山さんはまだ24歳という若さ。その10ヶ月後、この世に誕生して今や立派に成長されたご子息が、「父の長所は、けっこう先見性があるところ」と評価されているのですが、この話をうかがうだけでも納得です。

新しい仕掛けで話題を提供

　現在の青山さんの活動をご紹介する前に、Uターン後の経歴に少し触れてみると、まずは地元資本のファストフードショップでの本部企画を担当。当時この業界はベンチャーの様相で、客数：全店合計20万人／年という数字をあげていたとか。地元の元ヤング（笑）であれば、青山さんが考案したオリジナルの巨大なハンバーガーや何種類ものシェークに、胸を踊らせた思い出があるはず。「イベント限定で作った、チーズとレモン、隠し味に白ワインをミックスしたシェークなんかも評判よかったですね」。その後、ワインや吟醸酒、輸入食品などをフューチャーした『L.Bazzar（エル・バザール）』という名のショップを企画。これもまた当時は画期的な業態開発で県内の業界で注目され、「以降、お酒業界とのご縁がより深まったという感じです」。

偶然がかさなるLOHASのつながり

　「LOHASのことを調べていたら、その聖地がなんと山形県と姉妹州県のコロラド州。しかも山形市と姉妹都市のボールダーですから、これも何かの縁なのでしょうかね」と、話す青山さん。接点はこれだけではありません。息子さんが高校生の時に、山形県国際交流協会を通して、ボールダーの高校生を自宅にショートスティ受入れをしたことがあったそうです。そして、今年７月、LOHAS研修にボールダーを訪れました。

写真左がホームステイに訪れた子がお土産に持ってきてくれた、ママお手製のベア。右は今回のボールダー研修で買ってきたベア。「友達ができた方がいいなと思って（笑）」

　「このとき通訳などでお世話になったグッドマン夫妻（ボールダー在住）が、なんと、私と同じ山形県産ワイン認証委員会の認証委員をやってらっしゃる文化人類学研究者の山口吉彦先生夫妻とのお知り合いで、今年３月に山形県を訪問したそうなんです。その折に、蔵王や朝日連峰、月山、鳥海山などの自然環境やその麓に広がる街の姿を見て、（もちろん規模や木々の植生こそ違うが）ロッキー山脈やそれに抱かれているボールダーに感じがとても似ている気がしました、と話してくださったんです」。

　初対面のご夫妻と山形の話題で盛り上がり、すぐにうちとけることができたそうです。

　「こんな事って、やはりすごく稀だと思うし、この縁と機会を大事にして、姉妹州県・姉妹都市の交流が、LOHASをキーワードにして更に深まって行って欲しいと願っていますし、また今後はその様になっていくのではないかと直感しました」。