想定される降灰の影響範囲 / (C)荒木 健太郎/KADOKAWA
子どもはもちろん、大人も手に取って「その時」に備えたい。
正しい知識によってさらに防災意識を高める!
近年の日本は毎年のように「異常気象」と言われ、豪雨や台風、大雪による災害が頻発しているうえ、猛暑も災害級と称されるまでに。さらには2024年の能登半島地震につづき、南海トラフ地震、首都直下地震、富士山の噴火など今後大きな災害が起こることも想定されています。
そんな現象を、気象学者の荒木健太郎氏が科学的かつわかりやすく説明! 正しい知識を身につけたうえでどう対応したら良いのかがしっかりわかるので、いざというときの心構えに役立ちます。
※本記事は荒木 健太郎著の書籍『すごすぎる天気の図鑑 防災の超図鑑』から一部抜粋・編集しました。
もしも富士山が噴火したらどうなる?
じつは富士山も活火山のひとつです。もし富士山が噴火したらどうなるでしょうか。
富士山は直近だと1707年(宝永4年)に大噴火があり、現在の東京都や千葉県にまで降灰がありました。富士山はいつ噴火するか予測が難しく、宝永大噴火に準じたハザードマップが作成されています。それによると、宝永大噴火と同程度の規模の噴火が起こった場合、東京都心を含め2cm以上の降灰が想定されています。噴火の規模や風向きなどによって変わるものの、富士山に近いと50cm以上の降灰の想定も。
このような降灰が起こると、首都圏では鉄道や航空に影響し、運行・運航の見合わせや滑走路が閉鎖されます。また、火力発電ができずに停電が多発し、長期の停電が発生。水質悪化のため広域で断水の可能性も。物流は混乱して生活物資や食料が不足して孤立が発生し、灰の除去に時間がかかるため都市の機能が停止して経済活動も止まります。
もしものときに備えて、降灰対策について考えてみてください。
■防災の豆知識
大規模噴火発生時 、成層圏に達した噴出物が長期間落下せず、太陽光を散乱して地上気温が下がることも(日傘効果 )。1991年のピナツボ火山噴火では地球の気温が約0.5度低下、日本で冷害が起こって米不足に。
想定される降灰の影響範囲
想定される降灰の影響範囲 / (C)荒木 健太郎/KADOKAWA
※内閣府『富士山ハザードマップ検討委員会報告書』をもとに作成。
線は外側から降灰量2cm、10cm、30cm、50cmを結んだもの。宝永大噴火と同程度の噴火を想定。一度の噴火でここに塗られた範囲のすべてに降灰が広がるわけではない。
首都圏で起こりうること
鉄道の影響 / (C)荒木 健太郎/KADOKAWA
鉄道の影響
降灰量0.5mm以上で運行見合わせ
航空の影響 / (C)荒木 健太郎/KADOKAWA
航空の影響
降灰量1mm以上で航路の閉鎖
長期の停電 / (C)荒木 健太郎/KADOKAWA
長期の停電
火力発電ができず停電が多発
広域で断水 / (C)荒木 健太郎/KADOKAWA
広域で断水
取水制限が起こり広域で断水
孤立 / (C)荒木 健太郎/KADOKAWA
孤立
物流が混乱、生活物資や食料が不足して孤立
経済活動停止 / (C)荒木 健太郎/KADOKAWA
経済活動停止
火山灰の除去に時間がかかり都市の機能が停止
著=荒木 健太郎/『すごすぎる天気の図鑑 防災の超図鑑』