大きくてハデなほうがいい?神様も喜ぶしめ飾りとは【年末から年始のマナー】 / hide88 / PIXTA(ピクスタ)
玄関などに飾るしめ飾りにはいろいろな種類があるので、選ぶのに迷ってしまいますよね。
「干支が入ったもののほうが縁起がいいのか」とか、「大きなものを飾るほうが年神様は喜ぶのかもしれない」とか。そこで、「現代礼法研究所」主宰の岩下宣子先生に、しめ飾りを選ぶ際の注意点について教えてもらいました。
神聖さや清潔感を表現するならシンプルなものを
神社がしめ縄を張り巡らせているように、かつてはその家の行事を取り仕切る家長が、正月になると家の入り口などにしめ縄を張っていました。
その風習が、時代が下るにつれて簡略化されていき、今では玄関などに、しめ縄に縁起物などを飾り付けたしめ飾りを飾るようになったのです。
「しめ飾りは、キレイ好きな年神様に『ここは清潔で神聖な場所です』と示すための印です。清潔感やすがすがしさを表現するなら、シンプルなデザインのほうがいいでしょう」(岩下先生)
先生がよく飾っているのは、伊勢地方に伝わる「蘇民将来」。
蘇民将来 / m.Taira / PIXTA(ピクスタ)
須佐之男命(スサノオノミコト)を助けたとされる「蘇民将来」という人物に由来する飾りで、年神様をお迎えするという意味のほかに、邪気を払うとか無病息災の意味も含まれているそうです。
このため、伊勢地方では1年中飾っている家もあります。
しめ飾りにひとつ加えるとしたら、だんぜん松!
「松には神様が降りて来るためのアンテナの役割があるので、本物の松を使っているしめ飾りは玄関にぴったりです。インテリアとして見ても美しいしめ飾りが増えているので、お正月が終わったら、室内の壁にずっと飾っておくのもいいと思いますよ」(岩下先生)
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お正月には華やかさも大事。ですから、前垂れ(わらの垂)をつけたり、裏白、譲り葉、橙などの縁起のいい植物とか、扇や海老などの縁起物で飾ったしめ飾りも、もちろんOKです。マンションの玄関ならモダンな洋風のリースタイプも似合いそうですね。
岩下宣子先生
教えてくれたのは…
▶岩下宣子先生
「現代礼法研究所」主宰。NPOマナー教育サポート協会理事・相談役。30歳からマナーの勉強を始め、全日本作法会の故・内田宗輝氏、小笠原流・故小笠原清信氏のもとでマナーや作法を学ぶ。現在はマナーデザイナーとして、企業、学校、公共団体などで指導や研修、講演会を行う。『40歳までに知らないと恥をかく できる大人のマナー260』(中経の文庫)、『相手のことを思いやるちょっとした心くばり』(三笠書房)など著書多数。近著に『77歳の現役講師によるマナーの教科書 本当の幸せを手に入れるたったひとつのヒント』(主婦の友社)。
文=高梨奈々