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【増え続ける特殊詐欺】あなたの親は大丈夫?離れて住む親の家に備えるべきモノとは?

  • 2023年12月21日
  • レタスクラブニュース


2023年は、改めて特殊詐欺の被害がクローズアップされた1年でした。年末になると経済が活性化して、その資金を狙う犯罪や詐欺事件が増えるそうですが、とくに高齢者が狙われるのが特殊詐欺です。離れて暮らしている親や義父母がいる方は、心配になりますよね。そこで、パナソニックが行った防犯セミナーに参加して、特殊詐欺の現状から注意点、撃退に効果的なグッズまで、詳しく聞いてきました!

▶お話を聞いたのは
防犯アドバイザー 佐々木成三さん


元埼玉県警察本部刑事部捜査第一課の警部補。これまで数多くの捜査本部で、被疑者の逮捕・取り調べや捜査関係者からの情報収集、被害者対策、遺族担当に従事し、数多くの実績をあげてきた。現在、スクールポリス理事として中高生を対象としたデジタル危機管理の指導を行う。

防犯アドバイザー、犯罪予知アナリスト 京師美佳さん


トータル防犯アドバイザーを目指し、セキュリティ企業へ就職。2002年防犯設備士取得後、防犯ガラスメーカーに勤め、防犯アドバイザーとして、防犯診断や電話での相談受付、セミナーなど、幅広く活動を行う。2009年、一般社団法人 全国住宅等防犯設備技術適正評価監視機構 理事に就任。

特殊詐欺は増えている。狙われやすいのは高齢女性!

コロナ禍の間は経済が停滞していたので、特殊詐欺も認知件数、被害総額ともに減っていました。しかし、新型コロナウィルス感染症の流行が収まり、経済が回り出したとたん、特殊詐欺の被害も増加。2022年(令和4年)の被害総額は361.4億円、2023年は370.8億円と、400億円に迫るほどの金額となり、詐欺グループの規模も大きくなっています。


とくに狙われやすいのが高齢者です。その理由のひとつが、固定電話の保有率の高さ。パナソニックが、親と離れて暮らしていて、親が65~89歳の男女500人に「親がお持ちの電話をすべて教えてください」とアンケートで聞いたところ、固定電話の保有率が76.0%とスマホの68.6%を上回っていました。


警察庁組織犯罪対策部の調査によると、2022年11~12月に認知した特殊詐欺事件のうち、被害者側の通信手段の約97%は固定電話だったそうです。固定電話は電話帳などから番号が出回りやすく、契約者は高齢者が多いうえに、携帯と違って発信番号が表示されないこともある、と犯罪者にも知られています。このため、詐欺の入り口として使われやすいのです。

なかでも標的にされやすいのが、高齢の女性です。下の「高齢者(65歳以上)被害の認知状況」のグラフを見るとわかるように、女性の被害者は男性の約3.2倍にのぼっています。


京師美佳さんはこう言います
「犯罪者たちから、女性は力が弱いから襲っても抵抗しないだろうと思われているのです。さらに、高齢女性は家にいる時間が比較的長い。インターフォンが鳴るとまず対応するのも女性です。そして、高齢女性はやさしいんですよ。私なら、迷惑な電話は通話途中で強引に切ってしまいますが、高齢女性は悪徳訪問販売でも詐欺の電話でも、最後まで聞いてしまう。そこにつけこまれるんです」

とはいえ、特殊詐欺の被害に遭うのは大都市の人が多いから、地方に住む親は大丈夫でしょ?と思うかもしれません。確かに、認知件数を見ると、東京を中心とした一都三県や大阪は件数が多いです。ですが、右側の「人口1000人あたりの認知件数」の表を見てください。2位は大阪を抑えて静岡、4位は長野、7位は富山、9位は宮城です。じつは、どの地域にもまんべんなく特殊詐欺被害は広がっているんです。


「SNSでは今でも闇バイトの募集が行われています。そこに『#運び』として、仙台とか大阪とか福岡などの言葉が入っているんですが、これは『宮城弁がしゃべれるかけ子』『福岡弁がしゃべれるかけ子』を募集しています、という意味です。方言が話せるかけ子を使うことで、被害者が詐欺電話に油断する確率は上がる。特殊詐欺は地方でも、身近に起きている事件なのです」(京師美佳さん)

フェイク画像や音声などテクノロジーの進化が犯罪被害者を増やす

2023年の特殊詐欺の傾向について、佐々木成三さんはこう言います。
「いわゆる『ルフィ事件』を例に取るとわかりやすいのですが、あの事件ではルフィを名乗る犯罪者グループが、闇バイトで集めた人々に、フィリピンから指示を与えて日本で強盗をさせていました。このように、通信技術が向上したおかげで、犯罪は非常に巧妙化しています。テクノロジーの進化が犯罪被害者を増やす、という皮肉な状況になっているんです」

犯罪者は、ある詐欺の手口に対策を取られるようになると、まだ知られていない新しい手口に移行するなど、常に進化しています。一方、被害者はこうした手口の進化に追いついていけないので、これだけ特殊詐欺が広く知られるようになっても、被害が減らないのだそうです。


京師美佳さんが続けます。
「新しい手口としてはAIを使った『なりすまし』に要注意です。みなさんSNSに気軽に動画を投稿していますが、じつは3秒以上の動画があれば、フェイク画像や音声がつくれます。つまり、娘、息子、孫そっくりの声で、なりすまし詐欺ができるようになった、ということです。実際に、海外ではフェイク画像を使った詐欺で数百億円の被害が出ています。日本でも来年あたりからこの手の詐欺が増えるでしょう」

顔が同じ、声が同じでも本人とは限りません。有名人の画像なども本人とは限らないのです。日本でも多くの女性がだまされて問題になっているロマンス詐欺などは、ハリウッドの有名俳優を騙り、海外でも大きな被害が出ているそうです。

「攻める防犯」で犯罪者を撃退。親にプレゼント作戦も効果的

では、どうすればこのような特殊詐欺が防げるのでしょうか。
おふたりからいくつかの提案がなされました。
・性善説は捨てて、まずは疑う
・ナンバーディスプレイを必ず導入し、知らない番号、海外からの電話は取らない。できれば、すべての電話を取らずに、必要なものだけ折り返す。
・迷惑電話防止機能のついた電話機を導入する。
・家族しか知らない合い言葉を決めておき、電話の際には必ず確認する。













最後に、佐々木さんはこう提案しました。
「僕は『攻める防犯』が大事だと思っています。犯罪を『受ける』のではなく、犯罪者を『攻める』。そのためには、わが家や家族のどこが犯罪に対して脆弱なのかを知り、犯罪者に先んじてその脆弱性を埋めていくことが必要です。離れて暮らす親がウィークポイントであるとすれば、親にあれこれ言うよりも、帰省の際に迷惑電話防止機能のついた電話機を買っていき、親に代わって設定をしましょう!私も実家の父にそうした電話機をプレゼントしたんですが、父は『早く詐欺電話がかかってこないかな。それを録音すれば、お前の仕事の役に立つだろ』と言いました。この心の余裕が大事なんですよ」

高齢者は機械の設置が苦手なことも多いので、子どもや孫が防犯アイテムの導入をサポートしてあげることはとても効果的。さらに、設置しながらコミュニケーションを取り、心配事を聞いたり、合い言葉を決めたりすれば、さらに防犯レベルは大きくアップするはず。高齢の親を守るために、できることから始めてみましょう!


文=高梨奈々

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