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Vol.85 AWSの活動はインディーズ・レーベルか!?

  • 2011年11月10日

 みなさん、こんにちは。ゴスペラーズの北山陽一です。
 今年も早いもので、もう11月です。この時期になると取材などでは年末的なやりとり、たとえば「今年を振り返ってください」みたいなことがあるわけですが、今年はやはり「年の初めに考えていた通り」というわけにはいかないですよね。僕自身のことで言えば、「今年中になんとか農業に取り組める環境を作りたい」と書きました(Vol.65)。そのことは忘れてはいないのですが、正直に言って、現在の僕の気持ちのなかでの優先順位が2番目になっていますね。今はまさにAWSを作っていく過程なので、僕が何をどう考えてやっているのかということを学生たちに伝えるということだけでもすごく時間がかかるんです。僕の中でも組み立てながらの作業だからみんなの負担も大きくて、でもみんな真剣について来てくれるので本当に感謝しています。枠組みが出来上がってしまえば、あとは任せてしまえると思っています。AWSの銀行口座も一応開いたんですが、まだ広く寄付など求められるような状況ではありません。AWSがお金を何に使ったかということは全部公開していくつもりですが、そのための体制もまだ整っていなません。「北山を信じてるから」と言ってポンとだしていただける奇特な方がいらっしゃれば、それはすごくありがたいことですが、それにしてもどういうことに対してどれくらいのお金がどんなふうに使われたかという情報を広く伝えることは大切なことだと思っています。

募金イメージ

 これは自分が払う場合の戒めという意味も含めて書くのですが、自分が払ったお金が何に使われるのかということにはしっかり関心を持つべきですよね。いちばんがっかりしなくて済む可能性が高いのは「東日本大震災のために」みたいな大きな枠組みのところにお金を払うパターンで、それなら何にどういうふうに使われても多分嘘にはならないんだろうと思うので、払うほうも細かいことを考えなくていいでしょう。でも、それよりは例えば「この間は南三陸の○○さんにお金を払ったんだけど、ピンチは脱したみたいだから今回は気仙沼の△△さんに払ってみよう」とか、そういうふうに細かく自分で考えてみるのもありだと思うんです。誰を、あるいはどの団体を信じるにしても、結局は自分でリスクをとることになるわけじゃないですか。で、それで終わりというわけじゃなくて、お金を払ったんだから、そのお金が有意義に使われているか見届ける義務があると思うんですよね。その後の継続性と関連する感覚ですよね。

 ただ、ここで難しいのは、無前提に文句を言う権利があるわけではないというところだと思うんです。「お金を出してるんだから文句も言っていいだろう」という話とはちょっと違う。お金を払ったからと言って、「オレが思う通りに活動しろ」というのはおかしな話ですよね。

 そこまで考えて気づいたんですが、ある人が、ある目的のために、その人なりに動いている、ということに対してお金を払うっていう、その有り様は音楽作品にお金を払うのと同じだと思うんです。だから、僕がボランティアの人をサポートしようとしてるのは、インディーズ・レーベルがアマチュア・ミュージシャンをサポートしているのに近いんじゃないでしょうか。その地域で重要な役割を担っているにもかかわらず、手持ちのお金がどんどん減っていく人たちをあぶり出していくということもアーティスト発掘をやってるのに似てるじゃないですか。ということは、AWSというのはインディーズ・レーベル的な存在なのかもしれないですね。“この人のこの活動だったら賛同が得られるはずだから、お金を払いたいという人はいるはずだ”というところから始めて、その人の支援の体制を整えていくっていう。

 というわけで、AWSの活動に目処が立つのはまだまだ先のことになりそうですが、地道にやっていきたいと思っています。


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