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Vol.76 連載3周年企画「みなさんの質問に答える」その1

  • 2011年7月7日

 みなさん、こんにちは。ゴスペラーズの北山陽一です。
 今回は、みなさんから寄せられたなかからスタッフがピックアップした質問に3回連続でお答えしていく企画の第1回です。早速、最初の質問です。

Q:【「外(環境)」と「中」では圧倒的に「外」の方が強いと思います。それを「中」から変えて行きたいと思った時に、北山さんが『もっとも必要だ』と考えられている事は何でしょうか?】

抽象的な質問となってしまって申し訳ありません。詳細を以下に書いていこうと思います。これまで何度か「環境」と「身体」と「精神」とを関連付けたお話をされていらっしゃいますが(比較的最近ではVol.7071 がそうですね)、それぞれ外と中をどこで線引きするか?といった切り口をもって語られていた印象があります。当然、それぞれが相互に干渉し合っているので色々な切り口で物事を提示されるのは新たな一面が見れて面白いと思っておりますが……どういった切り口であろうと、やはり「環境」側に相当する方が圧倒的に強いパワーバランスの様に感じてしまうのです。それぞれの回で、「これを変えるにはこうしたらどうだろう?」といった個々の提案が掲載されている場合もありましたが、テーマとしてもっと大きく捉えた時に、パワーバランスの小さい側が大きな側を変えて行こうとした時、様々な問題を乗り越えるために何か共通のものがあるのでは?と個人的には感じています。それが『継続』なのか、『気付き』なのか、『対話』なのか、『体験』なのか……自分でも色々と考えているのですが、北山さん自身はどのようにお考えか、一度お聞かせいただければと思います。

A:まず、僕自身は圧倒的に外が強いとは思わないんですね。それがひとつの前提になりますが、そのうえで「中」である自分が何かやりたいと考えた状況における「外」=環境が圧倒的に強い、つまり環境が要因となって自分がやりたいことができないという状況にあるなかで「中」から変えるというのはどういうことですか?ということだとこの質問を解釈すれば、それはもっぱら「中」の問題、「中」である自分の視点の問題だと僕は思います。「外」だと思っているものは、じつは自分がそういうふうに見ているものなんです。だから、自分の見方が変われば、その「外」は変わるはずなんですよ。

二人  日妄研の話をしたときにも出てきましたが、誰かが問題を抱えているときに、別の誰かがその答えを持っているかもしれないということが多々あるわけで、その二人が出会うだけで問題は解決することになります。それは、問題を抱えていた当人にとっては世界が変わったと感じられると思いますが、何が変わったかと言えば、本当はその人自身が変わったんですよね。だから、まず“世界”を見ているのは自分だということ、そしてその“世界”について受け取っている情報を自分は十分に客観的に、正確にとらえているわけじゃないということを自覚することが大事なんじゃないかと思うんです。

 脳というものは、すごいバイアスをかけて色眼鏡で“世界”を見ているんです。大きい/小さいで言えば、自分が見ている“世界”は本当の世界よりも小さいはずで、でもそれは変えようのないものではなくて、単純に切り取り方を変えただけで全然違うものが見えてくるんです。で、その切り取り方を変えるというのはどういうことかというと、自分が変わるということなんですよね。自分が変わるだけで、“世界”は変わるんです。

 この人が抱えている状況というのは、例えば部屋がグチャグチャになっていて、どこから片付けていいかわからないという状態であるようにも思えます。そういう場合に、まず足元にあるものから片付けようとか一度全部を外に出してしまおうとか、そういう具体的な道筋が見えるかどうかの分かれ目は、自分が変わるかどうかです。自分のやりたいこと、自分が望んでいる状況を漠然と考えているだけでは“世界”は動きません。具体的にしっかり考えて何が問題なのか、自分にとって解決しなきゃいけない問題は何なのかということを具体的な形ではっきりさせるということがじつは解決の糸口なんじゃないでしょうか。それがはっきりすれば、その問題の解決までの道筋がはっきりしてきて、そのいちばん近いところから手をつけていけばいいということがすごくはっきり見えてくると思います。


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