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Vol.142 マイファームという会社を知っていますか?

  • 2014年3月13日

 みなさん、こんにちは。ソロ・ツアーを終えて、AWSで女川に行ったりバタバタしながらも無事にグループに戻ったゴスペラーズの北山陽一です。

 前回の最後に、「大人同士のコミュニケーション、さらには大人自身が社会で生きていくための知恵や体験の絶対量が足りていないのかもしれないと感じる現状に対して、独自の発想と手作り感覚でチームを組織して、いろんな体験や知恵を提供していこうとしている人たちが増えていることに注目し期待している」と書きました。そういう人たちが本当にいろんな分野で活動していて、その活躍ぶりに刺激を受けることが最近は多いのですが、そのなかでもマイファーム(http://myfarm.co.jp/ )という会社の取り組みを知ったときには“この人たちは僕が妄想していたことを見事に実践している!”と驚いたり感動したりで、次の瞬間にはスタッフに「この人たちを取材しましょう」と相談していたほどです(笑)。マイファームの事業の詳細についてはオフィシャル・サイトを参照してほしいのですが、僕がまずピンと来たのは耕作放棄地の活用に取り組んでいることです。休耕田、休耕地の利用ということについては以前この連載でも少し話題にしました(kitayama_66.html)が、マイファームの取り組みがいいなと思ったのは、耕作放棄地の活用方法として、「農業に興味を持っている人、やりたいと思っている人」とのマッチングを進めているところです。これも、この連載で折にふれて書いてきたことですが、ある人が探している答は、意外と身近なところや身近な人が持ち合わせていることが多いし、その一方でその答を持っている人も自分が持っているものの価値に気づいていないことが多いので、そうした人やものをマッチングさせることはすごくクリエイティブなことだと僕は思っています。だから、マイファームの取り組みは、耕作放棄地の活用とマッチングという二重の意味で、僕の妄想を現実化していると言っていいでしょう。

 今回お話を聞いたのは、同社の代表・西辻一真さんです。話していくと、じつは共通の友人がすごくたくさんいることもわかってきて、そういう意味でもすごく親近感を感じたのですが、それ以上に僕が興奮したのは「俺とオマエはやっていることは違うけど、その根底にある考え方はいっしょだね」と共鳴し合っている喜びをすごく感じられたことです。歌っている歌は違うし発声や発音の仕方も違うけど、“なんで歌うの?”とか“歌ってなんなの?”というところの考え方がほぼ一致している、という感じです。

 まずは、この西辻さんのプロフィールを、彼自身の言葉で紹介しましょう。

西辻:僕が起業したのは2007年で、それは高校時代からずっとやりたかったことです。耕作放棄地を前にしたとき、栄養素が足りないとか消費地から遠いとか、マイナス面を指摘される方が多いんですが、僕からするとそうした誰も使っていない土地というのは魅力満載に感じられるんです。僕も妄想することが多くて、生物が他の水田よりもたくさんいるとか、あるいはその土地の未来を考えたときに、たくさんの人がその風景を絵に描いたり虫を追いかけたり、そういう情景が思い浮かびます。だから、耕作放棄地をあらためて使うようになっていけば、きっといい日本になっていくということを高校の頃から夢見ていました。僕は元々、福井県三国町という、人口2万人弱のすごい田舎で生まれ育ったんです。そこに住むほとんどの人が農家の人か猟師さんだったんですが、僕の父親は会社員で、だから友達はみんな休日には畑作業を手伝ったり猟を手伝ったりしてるのに、僕だけヒマなんですよ(笑)。それで、ウチでも家庭菜園をやるようになって、そこで経験したことがすごく良かったんです。それは僕が幼少期のことなんですが、野菜というのはしっかり手間をかければきちんと育つものですから、子どもでも毎日一生懸命やっていれば親に勝てるんですよね(笑)。親は忙しいから、それほど手間をかけられませんから。それ以外の、ゲームをやってもスポーツをやっても親に勝つことは難しいですけど、作物作りなら親に勝てて、しかもそれを自分たちで食べて「おいしい」と言ってもらえるっていう。こんな幸せな遊びはないなと思ったんです。だから、その頃からずっと野菜作りをしてて、ずっと楽しい思いをしていたんですが、中学に進んで学校に通う途中、使っていない農地がいっぱいあることに気づきました。そこで、“僕は楽しい経験をしているのに、この土地の持ち主はなぜ楽しい経験をしないんだろう?”という素朴な疑問を感じたわけです。出荷が大変だとか農業は儲からないとか、そういうことは大人になって知ってくるわけですが、それ以前は純粋に“あの人たちが楽しい経験をしないなら、僕はもっとしよう”と思い、高校1年生のとき、先生に「僕、農業やります」という話をして以来ずっと農業の勉強を続けて、今に至ります。だから、僕はまさしく家庭菜園出身で、「楽しむことから農業を始めよう」というテーマのもとにビジネスを始めて、のべ100カ所以上の農園を開設しました。

 素晴らしい! 感動です。なんて気持ちのいい動機!

 こういう西辻さんと、限られた時間のなかで、本当にいろんなことを話し合いました。次回は、そのなかから一部を紹介します。どうぞ、お楽しみに。

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