Google(グーグル)の開発者向けカンファレンスGoogle I/Oで発表されたGoogle Beam。次世代動画通話であり、VR/ARグラスをかけずとも通話相手をスクリーン上で3Dで見ることができます。HPと連携して今年後半には商品化を予定。
以下、Google I/Oのデモ体験に参加した米Gizmodo編集部の体験談を翻訳しました。
ここ数年Googleがトライしている、3D動画通話プロジェクトStarlineの商業版・コンパクト版であるGoogle Beam。前に、プロジェクトStarlineを体験した人から、MRグラス・ヘッドセットなしに通話相手が画面上で3Dになっているのはすごかった!という話を聞いていたので、この体験をとても楽しみにしていました。実際に試してみると、なるほどすごい。感動します。ただ、これ商業化してどれほど成功するのかなとも思いました。まるで目の前に人が!という体験とは程遠いからです。
通話相手の3D映像と言うと語弊がありますね。正確には、AIを活用して相手の2D画像を繋ぎ合わせ3Dアバター映像を生成しています。
私が体験したデモでは、商業化が予定されているHPコラボ版ではなく、プロジェクトStarlineのセットアップが使用されました。通話相手は、ジェロームという男性(一応書いておくと、ジェロームは2人目の通話相手。最初はライアンという男性と通話したのですが、一瞬でクラッシュしてしまい変更となりました。この安定しなさはプロトタイプあるある)。シアトルから通話しているとのこと。彼が手にするリンゴを差し出したときは、反射的に受け取ろうとしてしまいました。デモ終わりにジェロームからハイタッチを求められたときも、ついハイタッチしそうになりました。たった1、2分の会話でしたが、目線を合わせ、会話し、笑い合う、そんな通話でした。つまり、自然だったのです。
短いデモだったのには理由があります。現時点での技術的限界ってやつですね。まず、ジェローム登場すぐから気になったのは、彼の動きに連動して横方向に残像・ブレが見えること。
次に、角度の問題。真正面から見ないと3Dが上手く機能しません。会話中にちょっと椅子を左右にズラして座ろうものなら、3Dエフェクトは見えなくなります。スクリーンの映像は8K画質でしたが、それでも画面の端に若干の荒さを感じました。
最後に違和感を覚えたのは、体が途中で消えていること。通話相手を捉えるカメラは前方にしかないので、写っていない部分(背中の方)は3D再現のしようがありません。なので、よくみると3Dなんだけど体が途中で消えているように見えるのです。
デモでは問題なかったものの、照明事情も気になりました。これ、少し暗めの部屋だと画質がめちゃくちゃ悪くなるのでは? ノイズがかなりでそう。
私が体験したのは、あくまでもプロジェクトStarline設定状態での通話。カメラやスピーカーが別途スクリーン横に設置されている状態です。Google Beamでは、これらはスクリーンに内蔵されているのでしょうか。商品化にあたって、どこまでハードウェアが洗練されているのかも気になるところ。
自分でも驚いたのは、このデモ体験でびっくりしなかったこと。新しいテクノロジーに触れると大騒ぎするタイプなのですが、デモ中ずっと平常心でした。よく言えば、3Dが自然で、通話というコミュニケーションの邪魔をしない、邪魔になるようなマイナスはないということ。ネガティブにとらえれば、驚くようなパンチがないということになりますね。