Apple Vision Proや、Meta Quest Proに似ているところはさておいて、ですね。
2025年現在、VR/XRヘッドセットの中心軸となっているのはMeta Quest 2/3。Steamのハードウェア&ソフトウェア 調査: April 2025のVRヘッドセットランキングも
1位:Meta Quest 2 29.84%
2位:Meta Quest 3 23.20%
とワンツーフィニッシュを決めています。なおMeta Quest 3Sも4位にランクイン。強い。
つまり、VR/XRヘッドセットを遊び目的で使っている方々の基準値は、ココ。ディスプレイ解像度でいったら片目1832×1920〜2064×2208ピクセル、両目で4K級ということになります。
ならばこそこれから出てくるモデルは、Meta Quest 2/3を超えるものであってほしい。そんな気持ちを抱きながら、日本では2025年中に発売される「Play For Dream MR」をテストしてみました。
なんだこれ、デジタルクラウンか?(答え:名称は違うでしょうけど、同じようなものです)
それはさておきPlay For Dream MRは、Meta QuestシリーズやPICOシリーズのように、Apple Vision Proのように単体で使うことができるXRヘッドセット。外装はかなり高級感があり、そしてご覧のようにApple Vision Proのような雰囲気を漂わせています。
とはいえ、一番のトピックはやはりディスプレイパネルの解像度ですね。
片目3840×3552ピクセル。両目で8K級。Meta Questシリーズはもちろんこと、数値上はApple Vision Proをも超えています。
SoCはXRデバイス用に開発された、Snapdragon XR2+ Gen2を搭載しているところも見どころです。Snapdragon XR2 Gen2の高クロック版かつ、片目4.3Kのディスプレイパネル、12機までのセンサーのコントロールを可能としています。量産モデルで採用されるのは、Play For Dream MRが初めてかな?
OSはAndroidベース。独自開発とのことですが、Meta QuestアプリやPICO 4アプリからの移植がしやすい環境が整っていたらいいなあ。
Photo: 武者良太左右のバンドは固定式で、本体部をフリップして上げることができないのがちょっと残念。でも剛性は高く感じられるので安心感がありますね。
本体上部・下部には大きな通風孔が備わっており、使用時には常時といっていいほど電源ファンの音が聞こえてきます。ディスプレイパネルもSoCも熱々になっちゃうんだろうなあ。
Photo: 武者良太スピーカーは開口部が広く、ボリュームも大きめ。ただし、本体側にボリュームボタンはついていません。メニューから設定画面を開いて調節する必要があります。
Photo: 武者良太本体各部に備わるセンサーは、カラービデオパススルー用のカメラ、ハンドトラッキング用のカメラ、アイトラッキングカメラなどなど、11台。なおレンズやカバーレンズ(ガラスではなくアクリル)が汚れていると、如実にトラッキング精度が下がったので、使用前・使用後にメガネレンズ拭きお掃除するとよさそう。
Photo: 武者良太充電・通信用のUSBポートは装着時左側・下向きに備わっています。もちろんコネクタはType-C。PC VR時、画質優先なら積極的に使うべき。でもWi-Fi 7対応ルーターがあれば、ワイヤレスでも高ビットレート伝送が可能です。
Apple Vision Proと違うのは、ハンドコントローラーが付属していること。
主に空間コンピューティング主体であればアイトラッキング&ハンドトラッキングでもいいし、ハンズフリーでどれだけ操作がしやすいかを重視するべきですが、Play For Dream MRはPC VR(SteamVR)環境でも使えるXRヘッドセットゆえ、ハンドコントローラーの存在は重要ですね。
Photo: 武者良太近年のトレンドであるリングレス形状で、ボタンレイアウトはMeta Questシリーズのコントローラと一緒。しかも軽い。乾電池駆動ではなく、USB充電式のバッテリー駆動なんですね。
お借りした実機にインストールされているアプリのなかで、両目8Kの解像度をフルに堪能できたのは、高ビットレートのVR180や360度全天球映像が楽しめる動画SNSのDeoVRくらい。他のアプリはそのCG/映像クオリティから、Play For Dream MRである必要が感じられなかったのは事実です。ま、ま、ま、まあ海外での販売が始まったばかりの機体なので、高品質な専用アプリは今後増えていくことに期待しましょ。
キヤノンのEOS VR SYSTEMを持っている、EOS VR SYSTEMで撮影した映像ファイルがあるなら話は別だ! 8K、3D、180度のVR映像を見るためのビューワーとしては控えめにいって最高。現実そのものを半球状の空間に閉じ込めた映像をできるだけ綺麗に見たいという気持ちを、高いレベルで満たしてくれます。
Photo: 武者良太だからこそPlay For Dream MRは、強いゲーミングPCと接続して、PC VRアプリを試してほしい。お気に入りのDVDをBlu-Rayボックスに買い替えたときって、もう一度その作品を見たくなるじゃない? XRヘッドセットも同じ。視力が上がった!?と勘違いできるほど画質がいいので、クリア済みのゲームも、何度もいったVRChatワールドも、また遊びたくなってきますよ。
ただし全域にわたって高画質とは言えないのが残念。Play For Dream MRは、Meta QuestシリーズやPICOシリーズ、Apple Vision Proよりも広い視野をもたらしてくれるヘッドセットですが、周辺視野のクオリティがいまいち。色収差はあるし、暗い場所ではゴーストやグレアが目立つ。デジカメでいう、オールドレンズのような見栄えとなることがあるんです。
なんじゃこのビューティフルすぎる画質は、と圧倒されるのは中央部分に限定。と言ってもいい。
とはいえ、今の技術ではこれが精一杯なのかなと思うところもあります。XRヘッドセットで求められる軽量薄型のパンケーキレンズって、収差やコントラスト比が高いシーンでのグレアが出やすいんだよね…。めちゃくちゃ明るいディスプレイパネルを使えばチューニング次第でなんとかなるかもしれないけど、現在調達できる片目4KのマイクロOLEDと、本体を重くしすぎないレンズの組み合わせでは、これが1つの限界点かもしれません。
事前予約価格は25万4,900円。一般販売予定価格は35万8900円。Apple Vision Proほどではないけど、高価なXRヘッドセットのPlay For Dream MR。今まで紹介してきたように、さすが!と思えるポイントと、惜しい…と感じる性能の両面がありました。
オールマイティなXRヘッドセットと捉えると、割高だなーと感じるとは思います。でもスタンドアローン機で、しかもOSを横断して使える高画質なXRヘッドセットとして見ると、現時点では唯一無二。狙ってみる価値はあると思いますよ。