細部まで再現されたデジタル版タイタニックでわかったこと

  • 2025年4月25日
  • Gizmodo Japan

細部まで再現されたデジタル版タイタニックでわかったこと
Image: Atlantic/Magellan

2022年、深海でのマッピングを行なう会社Magellanが、2台の遠隔操作車両を大西洋の水深3,800m地点へと送り込みました。ミッションは、沈没したタイタニック号のスキャニング。この時撮影された71万5000枚もの画像を集約し、タイタニック号の非常に正確なデジタルツインが制作されました。細部まで再現されたデジタル版タイタニック号の調査で、100年以上前の豪華客船、失われた1500人以上の人たちの知られざる当時の状況が解明されています。

史上最大規模の水中3Dスキャンプロジェクト

Magellanのタイタニック号撮影・デジタル再現は、『デジタル・レザレクション:崩れゆくタイタニックの記録(Titanic: The Digital Resurrection)』として、ナショナルジオグラフィックがドキュメンタリーを制作(日本では4/28日放送予定)。

ナショナルジオグラフィックによれば、今回のタイタニック号デジタルツインは、史上最大の水中スキャンプロジェクトの1つ。収集された総データは16TB(電子書籍に換算すると600万冊ほど)。

水中で撮影した2台の機器の名前はロミオとジュリエット(ローズとジャックにすればよかったのにって思った人も少なくないはず)。水中でタイタニック号を撮影するとともに、何百万というレーザー計測を実施。そのデータをもとにしたタイタニック号のデジタルツインは、細部まで非常に正確な作りで、プロジェクトのリサーチャーたちは、まるでバーチャルで沈没船の中を歩いているような感覚だといいます。

沈みゆく船の中では…

BBCの取材では、タイタニック号のアナリストParks Stephenson氏が

タイタニック号は、あの大惨事を目の当たりにした今も残る最後の目撃者です。彼女(船)にはまだ伝えた話があるでしょう。

と語っています。

タイタニック号のエンジニアチームは、少しでも長く船の灯りを灯し続けるため最後まで奮闘していたことがわかりました。生存者による「灯がついたまま沈んでいった」という証言と一致します。デジタルツインのボイラー室を調査した結果、ボイラーに凹凸があることが判明。これは、船が完全に海に沈む直前まで動いていたことを示唆しているといいます。また、船尾で見つかったバルブが空いていたことも、最後の最後まで蒸気で船の電気系統を動かしていたことを表しているといいます。タイタニック号の乗組員たちは、最後の最後まで自らの命を犠牲にしつつ戦っていたのです。

これらの詳細を発見し記録していくのは、実際に海に潜って見に行ったとしても(ライトを持っていたとしても)暗い海中での作業になるため、非常に難しいといいます。

デジタルツインでさらなる調査、解析を進める一方、同時にコンピューターシミュレーションでの氷山との衝突についての研究も行なわれています。シミュレーションでは、氷山との衝突時間はわずか6秒。衝突によってできた致命的と思われる船の傷はA4紙たった2枚程度だとわかりました。その傷は、海底の堆積物に埋もれデジタルツインでも再現できていません。

今回の海底タイタニック号のスキャンによって、物理的に人間が訪れ調査できない場所もテクノロジーの力で大きくサポートできることもわかりました。

Source: BBC, National Geographic

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