車のダッシュボード、気がつけばタッチスクリーンが急拡大しています。スマホやタブレットに慣れている人間からしたら、操作性に馴染みがあります。Android AutoやCarPlayで、スマホとの連携もスムーズで楽ちん。
各自動車メーカーが、車内のさまざまな機能・操作をダッシュボードのタッチスクリーンに詰め込んでいましたが…、この流れ、終わりそうです。
ダッシュボードのスクリーン化が始まったのは、2010年代中頃。TeslaがiPadのようなスクリーンを採用し、大きく注目、人気となりました。今日では、新車の97%で採用されています。また、その4分の1は、11インチ以上の大きめスクリーン。
各社さまざまな操作をここに集約させており、中にはメッセージアプリからNetflixなどの動画サービスの操作ができるタイプもあります。
一般的になったダッシュボードのスクリーンでの操作。自動車メーカーがここにさまざまな操作を集約していく一方で、実際のドライバーからはやや逆風が吹いています。2024年のある調査では、フルディスプレイがいいと答えた人は、回答者のわずか15%のみ。ドライバーがディスプレイへの機能集約に使いにくさを感じるのは、安全性と不便さから。
機能を1箇所に集約するのは、一見効率よく感じます。タブレットみたいで使いやすいでしょ?と思います。しかし、車載スクリーンとスマホ・タブレットには大きな違いがあります。それは、車の中のスクリーンは運転中にも使用すること。つまり、画面をしっかり見られないときも多いのです。だって、前見てなきゃだもん。
では、スクリーンの代わりは何があるのか。それはオールドスクールな物理ボタン。実際、フォルクスワーゲンは、スクリーンに機能を集中させたモデルが不人気だったことをうけ、物理ボタンへの回帰を発表しています。CEOのThomas Schäfer氏は、タッチスクリーンにシフトしすぎたことで、ブランドの評判を著しく損なったと語っています。
一方でスクリーンにコミットし続ける自動車企業もあります。BMWはスクリーン継続・展開拡大なものの、ドライバーによるカスタマイズで使いづらさを軽減させていく作戦。よく使う機能、ほしい情報だけを、ドライバーが設定して表示できるようにします。また、ハンドルに物理ボタンをつけて、そっちでも操作できるよというダブル戦法もとっています。ヒュンダイやキアもこの方向で、ハンドル物理ボタン搭載で、手はハンドルに置いたままを強調。
異なるアプローチを試しているのは、メルセデス・ベンツ。ChatGPTを搭載し、スクリーン操作と並行して、音声操作も可能にして対応する作戦です。
スマホの消音モードや音量クリックでも感じますが、物理的に指・手がひっかかるボタンの需要は、なくなることはないのでしょう。前方から目が話せないならなおさらですね。