GalaxyのAI「Bixby」が日本語対応。ジェミニとの役割分担でスマホがさらに便利に

  • 2025年4月12日
  • Gizmodo Japan

GalaxyのAI「Bixby」が日本語対応。ジェミニとの役割分担でスマホがさらに便利に

Samsung(サムスン)独自のAIエージェント Bixby(ビクスビー)が今年2月のアップデートで日本語に対応。これでGalaxy S25シリーズはGoogle(グーグル)のGemini(ジェミニ)とSamsungのBixby、2つの日本語AIアシスタントを搭載したスマートフォンになったというわけですね。

「Bixby」の強みはGalaxy本体の操作

日本語に対応したBixbyが使えるモデルは記事執筆時点でGalaxy S25シリーズとGalaxy A25 5Gのみで、その他のデバイスに関しては今後のアップデートで対応予定とのこと。

サイドタン長押しでBixbyを起動させることも可能ですが、単体アプリから音声入力または文字入力でリクエストを送ることもできます。

Bixbyがサポートしているタスクですが、主に電話やメッセージ、設定などのデバイスの機能呼び出しと、特定アプリのサービス呼び出しに分類されます。

実際に試した感触としては、Samsung純正のAIアシスタントということでGalaxyスマホの設定に関するリクエストをスムーズにこなしてくれる印象を受けました。

ちなみにBixbyのほとんどのコンポーネントはオンデバイスではなく、クラウドで動作するとのことです。

BixbyとGeminiではこんな違いが確認できました

まずは文章生成作成機能を試してみます。どちらのAIアシスタントにも「有給休暇申請の文章を考えて」と伝えたところ、Bixbyでは文章生成がうまく機能しなかったのに対し、Geminiでは件名や本文に加えて上司に送るためのかしこまった文章を生成してくれました。

また、画像生成機能に関しては「りんごの画像を生成して」と伝えたところ、Bixbyでは「こちらがインターネットで検索した結果です。」のメッセージに続きChromeアプリが立ち上がりGoogleで検索されたりんごの画像が表示されました。

一方、GeminiはImagen 3でりんごの画像がきちんと生成されました。

また、入力方法についてBixbyは基本文字と音声入力のみ対応ですが、別のアプリ『Bixby Vision』を使ったところカメラをかざしたり画像を読み込ませることで翻訳、シーン説明、対象物の認識などの機能が使えました。

それに対してGeminiは入力方法のオプションがたくさん用意されています。サイドボタン長押しからはカメラ、ギャラリー、ファイル、ドライブのコンテンツを読み込ませることができ、単体の『Gemini』アプリを使用することでDeep ResearchやCanvasも選択することができました。

GeminiではできなくてBixbyならできることはなんだろうと試してみた結果、「古い携帯のデータを転送する。」とそれぞれのAIに伝えたところ、Bixbyではデータ転送アプリの『Samsung Smart Switch』が起動したのに対し、Geminiはこれに関してはサポートできない旨を確認できました。ここはSamsung純正AIの強みを感じます。

いわゆる普段づかいのAIアシスタント的なものならGeminiが便利ですが、スマホ本体の機能にアクセスしたいならBixbyを使う、というのが使い分けになりそうですね。

AIの日本語対応は日本研究所で開発

株式会社 サムスン日本研究所 Mobile Solution Lab Artificial Intelligence Part長の赤迫貴行(あかさこ たかゆき)さん

このようにリリース当初から自然な日本語に対してもしっかりと受け答えしてくれたBixbyですが、そのAIソフトウェアの開発は他国の言語と比べて日本語独自の難しさがあったそうです。

実は日本には大阪と神奈川の2箇所に生活家電やディスプレイ、モバイルソリューションなどを研究開発しているサムスンの日本研究所が存在し、実際に「Galaxy AI」と「Bixby」の日本語開発を担当された赤迫 貴行氏が「日本語特有の難しさ」について語りました。 

AIモデルの開発上、報告しなければいけない問題は以下のような項目が挙げられるとのことです。

・ほかの言語に比べて同音異義語が多い (「はし」という単語でも橋や箸など、文脈に伴って意味合いが変わってくる。)

・文脈で人名表記を特定しづらい(有名でない人物の人名を適切に表現するのが難しいため、特別な処理が必要になる。)

・アラビア数字・英語の読み方が一定ではない(Galaxy S25を例にしたとき、「Sニジュウゴ」「Sトゥエンティーファイブ」「Sニーゴー」等が挙げられ、人によって読み方が異なる。)

・同形異音語が多い(「その方」→「そのほう」または「そのかた」、文脈によって読み方が変わってくる。)

・ハイコンテクスト(日本語は説明的でなく主語が抜けていたり、正確に表現しない文化であるため、機械翻訳エンジンの開発において障壁となる。)

・スペースで単語を区切らない(日本語の場合、単語や文節単位で区切ることによって言語理解の精度に影響を及ぼしてくるため工夫が必要。)

あー、たしかにこれはややこしそう。ふだん日本語を話しているぶんには気づきませんが、いざこうやってまとめられると、日本語のAI開発がどれほど大変で複雑なのかがよくわかります。

Bixbyの日本語展開はまだ始まったばかりですが、背景には日々高品質な日本語AIの開発を目指すSamsung日本研究所の方々の姿がありました。

より自然な日本語でAIが使えるようになれば今より利便性はもっと増すことが期待できますが、この先Galaxy AIやBixbyが競合他者と比べてどのように進化していくのかとても楽しみになりました。

Source: Photo, Image: はらいさん

Source: Samsung

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