2025年3月31日、SpaceXの宇宙船「クルードラゴン」がNASAのケネディ宇宙センターから打ち上げられ、ついにスタートした有人宇宙飛行ミッション「フラム2」。
そのミッションの様子が、Xで続々と届けられています。
「地球の極軌道でのデータ採集」という人類初のミッションに挑むのは、4名の民間宇宙飛行士。彼らはすでに観測点に到達しており、調査を開始している様子。
Xでは、宇宙船に備わっている舷窓(げんそう)から、南極大陸を一望する映像も投稿されています。
目の前に広がるのは一面真っ白で、幻想的な世界。これを見るだけでも、このミッションに参加した意義は大いに感じられそう。
Hello, Antarctica.
Unlike previously anticipated, from 460 km above, it is only pure white, no human activity is visible. pic.twitter.com/i7JawFYzW2
ミッションのコマンダー(船長)は、実業家のチュン・ワン氏。ビットコインのマイニング企業であるf2poolやstakefishの創業者としても知られています。
他3名はノルウェーの映画カメラマン、オーストラリアの極地冒険家、ドイツのロボット工学研究者で、4名ともが今回宇宙初挑戦。
にもかかわらず、ワン氏は「軌道に到達するまでの宇宙船の乗り心地は、思っていたよりもずっとスムーズでした」と、宇宙船の打ち上げについて振り返っています。
こうしたミッションでは、宇宙船が無重力空間に突入したかどうかを確認するため、無重力インジケーターとしてぬいぐるみを船内に置くのがしきたり。今回のミッションでは、ホッキョクグマのぬいぐるみ「タイラーくん」が船内に置かれていました。
ワン氏は、そのタイラーくんが浮くまで、自身が無重力空間にいると気づかなかったほど、スムーズな打ち上げだったといいます。
一方で、初めて宇宙空間に滞在するなかで、過酷な瞬間も経験したそう。
ワン氏は「4人全員が宇宙酔いに悩まされました。吐き気をもよおし、何度か戻してしまいました」と報告しています。
またワン氏いわく、宇宙酔いはただの乗り物酔いとは違い、本を読んだり、iPadの画面を見ていたりしても吐き気は襲ってこなかったものの、なぜか水をほんの一口すするだけで吐いてしまったのだとか。考えるだけで、とても辛そう…。
4名はすでに極軌道上でのミッションに臨んでおり、先日宇宙空間で初めてX線検査を行なったそう。
The ride to orbit was much smoother than I had anticipated. Apart from the final minute before SECO, I barely felt any G-forces—it honestly felt like just another flight.
I had imagined it would feel like being in an elevator that suddenly drops, but that sensation never came.… pic.twitter.com/h7YMyPY9ld
またその他、SpaceX社の衛星インターネットアクセスサービス「スターリンク」のネットワークテストを極軌道上で行なったり、アマチュア無線でベルリンとの交信を図るミッション「フラム2ハム(Fram2Ham)」に挑んだりと、計22の調査に取り組む予定とのことです。
紫色に光るオーロラのような大気の発光現象「STEVE」を観測することもミッションの1つ。もしかすると、宇宙空間から捉えた発光する綺麗な「STEVE」の映像や写真を見ることが叶うかもしれません。
書籍(Kindle版もあります)