村の闇も撮影現場も、狂気がすぎる。笠松将が語る『ガンニバル』シーズン2

  • 2025年3月22日
  • Gizmodo Japan

村の闇も撮影現場も、狂気がすぎる。笠松将が語る『ガンニバル』シーズン2
Image: © 2025 Disney

人口300人程度の山間の「供花村」では古くからある噂があった。「この村では人が喰われるらしい…」そんな知的好奇心を刺激されまくりな漫画『ガンニバル』(二宮正明作・日本文芸社刊)。村を支配する後藤家と、村の秘密を暴こうとする駐在・大吾の激しい対立を描いた本作は、ディズニープラス スターによって実写ドラマ化されました。

原作を知っている方からすると、『ガンニバル』とディズニープラス スターの組み合わせはミスマッチだろうと感じられましたが、2022年に配信されたシーズン1は良い意味でファンを裏切ってくれて大ヒット。

もちろんシーズン2への期待が出てきましたが、その内容はシーズン1を凌駕する衝撃展開です。「今度こそ映像化は無理でしょう」と思っていたところに製作決定のニュース。それこそ期待と不安だらけで作品を鑑賞したら無茶苦茶面白かったわけです。どひゃー。

Photo: ギズモード・ジャパン

こうなるともちろん興味が湧いてくるのが作っている人たちの気持ち。幸いにも、村を支配する後藤家当主 後藤恵介役を演じた笠松将さんにお話を伺いました。

本心がわからない…。役者泣かせの「後藤恵介」

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──原作には衝撃的な表現が多いのですが、演じる立場としてどのように表現されるのか、気になった点はありますか。

笠松将さん(以下、笠松):シーズン2では特に過去の描写やクライマックスに向けての表現について考えさせられました。お話をいただいた時から、この役は自分にしかできないと確信していました。

──後藤恵介は一族繁栄の責任を背負いながら、忌まわしい因習への密かな疑念との間で葛藤する複雑なキャラクターです。演じるのが難しそうですが、この心理を表現する上で一番気をつけたことはありますか。

笠松:一番気をつけたのは、後藤恵介というキャラクターの本心の解釈です。

台本を読んでも原作漫画を読んでも本心が分からないんです。どれが本心で、どれが嘘で、どれが狙った出来事なのか、監督やプロデューサーと約5-6時間かけて徹底的に確認しました。台本に何度も書き込みを重ね、本質的な理解を深めていきました。

──その解釈でたどり着いた恵介の嘘と本心は、使い分けて演じられたのでしょうか。

笠松:周りのリアクション次第で変化させています。嘘をつく時のほうが自信に満ちた演技になり、逆に本当のことを言う時は抑制的な表現になりました。このキャラクターの行動は、周囲との関係性に強く影響されています。

シーズン2はアクションシーンが半端ない

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──ずばり、シーズン2の見どころとは。

笠松:アクションシーンが大幅にパワーアップしている一方で、人間関係や心理描写がより深く描かれています。

アクションシーンの撮影現場はシーズン1と比較しても人が増えて、撮影時間も伸びています。僕らは完成像が見えないまま演じているんですよ。完成したものを見た時には驚きましたね。

尋常じゃないカット数で、カットが次々と切り替わる。それらを計算して撮ったのか、それとも無限にある素材の中から選んで編集したのかはわかりません。どっちにしても途方もない作業量だったはずです。

──複数台のカメラが同時に回っていたのですか。

笠松:いや、カメラは1、2台とかなんです。だから余計にすごいと思っています。繋いだ編集マン、頭で描いて狙って撮った監督陣、それを現場で撮り切った撮影監督、信じてついていった俳優たちもすごい。その凄さはまさに狂気だと言えるでしょうね。

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──かなり作り込まれた絵コンテを使っていたのですか。

笠松:それがそんなことなくて、現場で色々と増えていきました。1対1の対峙シーンとかなら絵コンテで事細かく指示されることもありましたが、100対100みたいなシーンだと、作り込めないですよね。

──確かに入り乱れていましたよね。メリハリもあったし、あらゆる場所で激しい戦闘が展開されていました。

笠松:5〜10秒くらい、恵介だけをカメラが追いかけるシーンがあるのですが、そこはボディーマウントカメラを使って撮影したんです。僕の体にカメラを装着するんですよ。片山監督が、新しい撮影方法にすごく良い笑顔でした。

──色々な撮影技法が試されている作品だというのは見ていてわかりましたよ。

笠松:VFXも結構使われているんです。でも、芸が細かすぎて誰も気づかないかもしれません。

例えば現場では血糊は使っていても、血飛沫(ちしぶき)なんて出ていません。でも、完成した作品をみれば、かなり派手に飛んでいる。この作品、気づかれないレベルのVFXもすごいんです。

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──心理についても伺いたいです。後藤家のメンバーとの関係性や、精神的な葛藤のシーンは見応えがありました。笠松さんも、後藤恵介という人物をかなり掘り下げたと思いますが、笠松さんが恵介の立場だったらどうしたと思いますか。

笠松:柳楽優弥さん演じる駐在の大吾が来る前の後藤家だったら、ちょっとずつ因習を変えていくしかなかったと思います。

それしか選択肢がないと思いませんか? 大きく変えるパワーはないけれど、続けてはいきたくない。だから少しずつ変える。

恵介の気持ち、すごくわかるんです。

『ガンニバル』製作陣の狂気じみた情熱

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──配信ドラマと地上波のドラマで、制作現場で違うものですか。 

笠松:僕は地上波のドラマはそこまで多く出演しておらず詳しくないのですが、配信ドラマと地上波ドラマというより、監督次第じゃないでしょうか。本作はプロデューサーが大変だったほど、監督のこだわりが強く、徹底されていました。その狂気じみた情熱こそが、ガンニバルの源泉だと感じています。

──この原作を映像化するならそれくらいの狂気じみた情熱が必要ですよね。実写化できるとは思いませんでしたよ。

笠松:僕は実写化に向いている作品だと思ったんです。読んだ段階で「これならできる」と思いました。片山監督の作品は見ていたから凄さは知っていたし、柳楽さんが中心に立ってくれるという安心感もあったし。無理だなんて思いませんでしたよ。

俳優業に役立つテクノロジー?

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──やっぱり作る側の視点って違いますね。ところで、作り手側の話にはテクノロジーの話題もたくさん出てきますが、俳優業に役立つテックってあるのでしょうか。

笠松:テクノロジーですか? そこまで詳しくないのですが、たとえば、ノイズキャンセリングイヤホンでノイキャンだけオンにしてセリフの練習をしています。ノイキャンはとても使えますね。飛行機での長時間移動時にも環境音を流しています。

実はイヤホンが好きで、色々と試したんですよ。

あと、以前、AIにハマっていたことがあって「2025年に笠松将が活躍するためにはどうしたら良いか」といった質問をしたことがあります。

そうしたら、「ファンを大切にする」とか「現場でのコミュニケーションを円滑にする」といった内容が生成されました。「多くの観客に見てもらえる作品に出演する」というのもありましたが、その方法については教えてくれないんですよ。そこが一番知りたいのに(笑)。

──AIはありきたりな答えを出すのが得意ですから(笑)。

『ガンニバル』シーズン2、想像を超えたクオリティになっていると思いました。こだわった部分も、きちんと画面の向こうから伝わってきたし、笠松さんが激推しするアクションシーンもドラマシーンも本当に満足させられましたよ。

『ガンニバル』シーズン2

ディズニープラス△スターで2025 年3月19日(水)より独占配信。

© 2025 Disney

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