30億年後、「地球に海岸線の痕跡」ってどこかで騒がれたりして。
「火星に生命は存在するのか」というのは、ロマンあふれる人類永遠のトピック。生命が存在するためには、まずは水が不可欠です。1970年代にはNASAの探査機が火星の表面にかつて水が存在した痕跡を発見し、最近の衝突クレーターからは今も地中には氷が存在することが示唆されています。
そんななか、中国とアメリカの研究チームが2025年2月、火星に古代の海岸線が存在した証拠を発見しました。
今回、研究チームは 探査機「祝融号」で、 火星北半球にある広大なユートピア平原での探査を実施。最新の地中レーダー技術を駆使し、地表から最大80mの深さまでの地層構造を詳しく調査しました。そして、約30億年前に海洋が存在し、この場所がかつて海底であったことを明らかにしました。
これはつまり、火星にはかつて地球と同じように、雨が降ったり水が溜まったりしていたということ。その水が今どこに行ってしまったのか、はわかりません。地下に残っているのか、宇宙へ蒸発してしまったのか…。
発見された地層構造は15度の角度で傾斜する砂層で、地球の海岸線とそっくり。地球では、最古の生命の痕跡がこうした海岸線から発見されているので、似たような環境が火星にも存在するなら、同じく生命の痕跡が発見される可能性があります。
また、この古代海洋は、数百万年は維持していたとも言われ、これまで想定されていたよりも長い期間生命が存在可能な環境が火星にあったと言えるかもしれません。
今この瞬間も、火星のどこかに生命が残っていて私たちの様子を陰から見ているのでしょうか。そして、いつか地球から水が消えて、「地球に海の痕跡があった」なんて、どこか遠くの星でニュースになる日がくるのでしょうか。嗚呼、宇宙ってロマン。
Source: The Conversation
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