月への旅。こんな光景が見えるのかも

  • 2025年3月3日
  • Gizmodo Japan

月への旅。こんな光景が見えるのかも
ブルーゴーストは、楕円軌道に入りました Image:Firefly Aerospace

民間企業による月面探査は、また新たなステージへ。

ファイアフライ・エアロスペース社の「ブルーゴースト」は、米国時間2月18日早朝にエンジン噴射し、45日間の月の旅に向かいました。

Earth rise, Earth set, repeat! Blue Ghost's third and final lunar orbit maneuver is complete! Early this morning, our #GhostRiders performed a 16-second burn with our RCS thrusters to enter a near-circular low lunar orbit. Up next, we'll perform a 19-second Descent Orbit… pic.twitter.com/B8ptv1D0yv

— Firefly Aerospace (@Firefly_Space) February 24, 2025

この噴射は午前3時9分(米国時間東部標準時)に実施され、3分18秒続きました。2月13日以来、月を高い楕円軌道で周回していた探査機は、高度約120キロメートルの低軌道へと移行。

Our #GhostRiders completed another lunar orbit maneuver with a 3 minute, 18 second burn early this morning. This maneuver moved the lander from a high elliptical orbit to a much lower elliptical orbit around the Moon. Shortly after the burn, Blue Ghost captured incredible footage… pic.twitter.com/ygyMVpaBW4

— Firefly Aerospace (@Firefly_Space) February 18, 2025

これにより、月の裏側の貴重な画像を撮影し、地球へ送信することに成功しました。

月面着陸の準備と課題

計画通りに進めば、3月2日に月の「クレーターの海(Mare Crisium)」と呼ばれる地域に着陸予定です。この盆地は、古代の小惑星衝突によって形成され、かつては玄武岩質の溶岩で満たされていました。探査機には10種類の観測機器が搭載されており、月の熱流、磁場・電場、土壌の化学組成の分析を行うことができます。またこのミッションでは、NASAのアルテミス計画、972年以来となる人類の月面着陸を目指すための関連する技術試験も行なわれる予定です。

しかし、この軌道変更にはデメリットもあります。ブルーゴーストは、3月2日に「クレーターの海(Mare Crisium)」への着陸を目指していますが、テキサス州にあるファイアフライ社との通信が、一時的に途絶える時間帯が発生する可能性があるのです。

ブルーゴーストは、月面への旅に向けて、少し遠回りの航路をたどっています。ケネディ宇宙センターから月へ直接飛んでいくのではなく、1月15日の打ち上げ後、数週間にわたって地球の周回軌道を維持しました。その間、カメラは美しい地球の姿を撮り、さらには「自撮り」もしてました。

民間企業による月面探査の状況は ブルーゴーストの“自撮り” Image:Firefly Aerospace

近年、民間企業による月面探査への挑戦が続きますが、これまでの試みは成功と失敗が入り混じる結果となっています。2023年4月、日本のispace社の「HAKUTO-R M1」ランダーが着陸を試みましたが、残念ながら失敗、墜落しました。

アストロボティック社の「ペレグリン」は、アメリカ初の民間による月面着陸の試みでしたが、2024年1月の打ち上げ直後に致命的な故障に見舞われ、失敗。そしてその1か月後、インテュイティブ・マシンズ社の「オデュッセウス」は「ペレグリン」が果たせなかった月面着陸に成功したものの、着陸時に脚が破損し、機体が傾いた状態のままとなっています。

そして今、日本のispaceは「レジリエンス」ランダーで、再び月面着陸に挑戦中。この探査機はブルーゴーストと同じファルコン9ロケットで打ち上げられましたが、よりゆっくりとした軌道を辿って、5月から6月頃に着陸を試みる予定です。レジリエンスには「テナシャス」というローバー(探査車)が搭載されていて、月面の北極付近の着陸地点周辺で、月の土壌を調査する予定です。うまくいくといいなあ。

まだまだあって、インテュイティブ・マシンズ社の次のミッションは、早ければ来週にも打ち上げられるかもしれません。永久影(太陽の光が一切届かないクレーター)を探査するために設計された「ホッピング型ロボット」が含まれています。

今回のブルーゴーストの着陸が成功すれば、月面探査の新たな時代が一歩前進することになりますね。ブルーゴーストの着陸成功を祈ります!

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