生命の起源は宇宙かも。NASAの拾い物で新たな証拠

  • 2025年2月2日
  • Gizmodo Japan

生命の起源は宇宙かも。NASAの拾い物で新たな証拠
研究者Jason Dworkin氏が、NASAのOSIRIS-RExミッションで2023年に採取された小惑星ベンヌのサンプル入りの小瓶を持つ様子 Photo: NASA/James Tralie via Gizmodo US

私たちの生命はやはり宇宙が起源だったのでしょうか?

2023年、NASAの探査機「オサイリス・レックス」が地球近傍小惑星ベンヌからサンプルを持ち帰ったものの、なかなか開かなかったサンプルの入ったカプセルのフタが開いた、というニュースから約1年。

なんと、このサンプルから生命の素材と呼ばれる物質が検出されました。

RNA・DNAを構築する塩基も検出

今回Nature誌とNature Astronomy誌で掲載された2つの論文によると、小惑星ベンヌのサンプルには塩水の残滓が含まれており、またこの中から炭酸ナトリウム化合物を含む複数の化合物も検出。

これらの化合物のうち、一部の物質は、過去に採取できた小惑星や地球外の岩石のサンプルからは確認されたことがないものだということも明らかになっています。

化合物の中には、タンパク質を構成するアミノ酸のほか、RNAやDNAを構築する5つの塩基も検出されており、今回の発見により、地球に数多く存在する生命が、宇宙に起因するものである可能性がより高くなったそう。(ただ、まだ宇宙人は見つかってませんが。)

Image: NASA アーティストによるイメージ画像。オシリス・レックスがベンヌから掘削する様子

今回発表された論文の共著者であり、スミソニアン国立自然史博物館で隕石キュレーターを務めるTim McCoy氏は今回の論文公開に際し、「今回ベンヌのサンプル分析で、ベンヌの母天体(小惑星の元となる物質を放出する天体)に大変興味深く、複雑な形で、生命の基本的な成分が組み合わさっていたことが判明しました」と声明を発表。

また「生命の起源を知る次なる一歩を踏み出しました」と、なんだか歴史に残りそうなコメントも。

JAXAによるはやぶさ2ミッションで採取された小惑星リュウグウのサンプルと同様、ベンヌのサンプルは地球の化学物質に汚染されていないため、分析を行う上でとても有用なサンプルでもあります。

この小惑星は太陽系が誕生したとされる約45億年前から存在する母天体となる惑星の一部であることも判明しており、研究者の間ではこの母天体となる惑星に水たまりがあったと考えられています。今回のベンヌのサンプル分析結果はその仮説を裏付けることになりそうです。

ベンヌの表層にあったナトリウム濃度の高い水が蒸発し、ミネラルの残留物の塊が残された形になっていた様子。水はなくなり、ナトリウム、炭素、硫黄、リン、塩素、フッ素を豊富に含んだ鉱物のみが残されていました。

Image: Rob Wardell, Tim Gooding and Tim McCoy, Smithsonian. ベンヌのサンプル内にあるトロナ石、もしくは炭酸ナトリウムの走査電子顕微鏡の画像

またサンプル分析に参加した科学者は、土星の衛星エンケラドゥスや準惑星のケレスといった太陽系に存在するさまざまな天体で、今回のケース同様に生命の素材を含んだ塩水の残滓を発見できる可能性がある、と提言。

特にエンケラドゥスについては、液体水でできた海が地下にある可能性があり、さらに生命の素材でもあるシアン化水素やリンなどが間欠泉から噴出していることも観測されているため、地球外生命体の探索に適した場所として宇宙生物学の観点でも注目されています。

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