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こんなにも頼もしいGORE-TEX プロダクト。その謎を解明します

  • 2024年4月11日
  • Gizmodo Japan

こんなにも頼もしいGORE-TEX プロダクト。その謎を解明します
Photo: 千葉顕弥

キャンプや登山用のギア、梅雨対策グッズなどを見ると、多くのウェアやシューズに「GORE-TEX」のタグやマークがついています。「GORE-TEX」はどうしてこんなに多くのブランドに採用され、ユーザーに支持されているのでしょうか。

「GORE-TEX」とはゴア社が提供する素材ブランド

生地のことはGORE-TEXファブリクスと呼ばれ、その生地が採用された製品のことをGORE-TEX プロダクトと言います。GORE-TEX プロダクトは、防水性、防風性の高さによって風雨から着用者の体を守り、優れた透湿性によって衣服内の環境を快適に保ってくれるんです。

防水機能を備えた素材は数あれど、GORE-TEX プロダクトが抜群の認知度と人気を誇っている理由はどこにあるのでしょうか。それは信頼性にあると、GORE-TEXブランドのマーケティングを担当する平井真理子さんは言います。

今回、お話を聞かせていただいたGORE-TEX ブランド マーケティング コミュニケーションの平井真理子さん。

「“GORE-TEX”は素材のメーカーで、素材を提供しているだけと思われている方もいるかもしれませんが、実はそうではないんです。たとえば、アウトドアメーカーがGORE-TEXファブリクスを使ったアウターウェアを作るとき、防水性、防風性、透湿性がGORE-TEXプロダクトとしての基準を満たしているか、ゴア社が最終製品のテストを行なっています。

またウェアの縫製や縫製した部位にシームテープを貼るのはアウトドアメーカー側の工場ですが、その工場についても認定制度があります。労働者の働く環境も含めてチェックをし、ゴア社が認定した工場でのみGORE-TEXプロダクトを作ることができるんです」(平井さん)

最終製品にも工場にもゴア社のOKが必要とは…! GORE-TEXプロダクトを作るためのハードルはなかなかに高いようです。

たとえばシューズを作るとき、アッパー素材を用意し、ブーティ型のメンブレン(※)と組み合わせるのは、もちろんシューズブランド側。しかし、アッパー素材や設計によっては、ゴア社が求める透湿性が出ないことがあるそうです(ウェアの場合は、ポケットをたくさんつけようとすると透湿性の基準を満たせないことが起こりやすいのだとか)。

※GORE-TEXファブリクスの優れた防水・防風・透湿性を支えているのが、表生地と裏地の間にあるメンブレン。PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)を延伸加工したePTFE(延伸ポリテトラフルオロエチレン)という素材が元になっています。ちなみにこのePTFEは、ゴア社の創業者であるビル・ゴアとヴィーヴ・ゴア夫妻の息子であるボブ・ゴアさんが1969年に発見。

昨今では、ウェアのみならずビジネスシューズをはじめとする革靴にもGORE-TEXファブリクスが採用されています。

そうすれば、当然テストは不合格となり、製品作りはやり直し。GORE-TEXプロダクトを作るには、時間もリソースも必要というわけですね。

そして、この手間隙が製品の機能を担保し、信頼に繋がっているのでしょう。

「1インチ四方のGORE-TEXメンブレンには、90億個の孔があるのですが、水滴の20,000分の1という非常に小さな孔で、水滴は通ることができません。しかし、水蒸気は通り抜けることができるため、高い防水性能と透湿性が両立できるんです」(平井さん)

GORE-TEXファブリクスが高い防水透湿性を誇るワケ

左が一般的なビニール、右がGORE-TEXファブリクスを装着。それぞれにお湯を注ぐと…一目瞭然なのがお分かりだろうか。

GORE-TEXファブリクスの防水透湿性能をわかりやすく理解するための実験も見せてくれました。

2つカップを用意して、片方にはGORE-TEXファブリクス(上の画像右)を、もう一方には一般的なビニール素材(上の画像左)を被せます。そして、それぞれにお湯を注ぐと…。どちらもカップに水は漏れないのですが、GORE-TEXファブリクスを被せたカップだけが曇っていきます。

これは、ビニールは水も蒸気も通さないのに、GORE-TEXファブリクスは蒸気だけを通しているから。ビニールの雨合羽を着ると中が蒸れてしまうのに、GORE-TEXプロダクトの場合は汗をかいても蒸れにくいのは、この透湿性のおかげなんです。

Photo: GIZMODO こちらがGORE-TEXメンブレンの原料となる「蛍石」。

ちなみに高い防水透湿のキモとなっているメンブレンの原料は、蛍石という天然の鉱石なんですが(これもビックリ)、 蛍石から作るePTFEは、水に溶けず安定性が高く生分解もされず、環境に対して健全かつ安全です。ただし、 生産工程内で有機フッ素化合物が使われます。この有機フッ素化合物が空気中や水中に流出すると環境に悪影響を及ぼす可能性があるため、PFC(有機フッ素化合物)フリーの新しいメンブレンを開発。

2025年の秋冬シーズンには、すべてのGORE-TEXプロダクトがPFCフリーのメンブレンに切り替わるとのこと。高機能と環境配慮の両方が求められる時代に対応するというわけですね。

GORE-TEXファブリクスはいくつかの種類があります。生地見本を見ても明らか。

ここまでは、ひとまとめでGORE-TEXファブリクスと呼んできましたが、実はGORE-TEXファブリクスにもいろいろと種類があります。たとえば、アウターウェアなら、より丈夫で高い耐久性を持つGORE-TEX PRO プロダクト、軽量でしなやかなGORE-TEX PACLITE® プロダクト(一般的なGORE-TEXは3層、パックライトは2.5層)、軽量性と透湿性に優れたGORE-TEX active プロダクト(サイクリングやランニングなどに最適)などがあります。GORE-TEXプロダクトを買うときには、用途に合わせてぜひチェックしてみてください。

最後にメンテナンスについて。GORE-TEXプロダクトは洗わないほうがいいというのは都市伝説的なもので、洗濯をした方が機能も長持ちするそうですよ。自宅でも簡単にできますので、こまめなメンテナンスを。

「表地に汚れが残っていると撥水性や透湿性を損なう原因になります。また、皮脂などの汚れはシープテープを貼りつけている接着剤の劣化に繋がります。洗濯表示に従ってこまめに洗濯してください。その際、洗剤の成分が生地に残らないように念入りにすすいで下さい。表地の撥水性が落ちてきたなと感じたときは熱処理がおすすめ。当て布をして低温でアイロンをかけると撥水性が戻りますよ」 (平井さん)

詳しい方法はこちらでも紹介していますので、ぜひお試しを。

Photo: 千葉顕弥

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