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10万円以下で極上天体撮影体験。スマート望遠鏡「Dwarf II」レビュー

  • 2024年4月2日
  • Gizmodo Japan

10万円以下で極上天体撮影体験。スマート望遠鏡「Dwarf II」レビュー
Image: George Dvorsky - Gizmodo US

数万円で自宅がNASAに(言い過ぎ)。

なんとなく難しそうだった天体写真が比較的手軽に撮れる、スマート望遠鏡。なかでもDwarf IIは10万円を切るお値段で、サイズもちょっと大きい本くらいな感じです。米GizmodoのGeorge Dvorsky記者がいろいろ撮ってレビューしてますが、どんな使い勝手なんでしょうか?

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使いやすい天体望遠鏡が増えてきた今日この頃、アマチュア天体写真が人気になってます。ただネックになっているのは価格や持ち運びやすさの問題でしたが、コンパクトかつ手頃なDwarf IIはその課題をクリアしています。

Dwarf II

Image: George Dvorsky - Gizmodo US

コンパクトなサイズながら、できることは多彩。天体だけじゃなく日中の風景撮影にも使えて、広角レンズと望遠レンズもあります。ただ、アイピースがありません。価格も手頃で、天体を自動追跡するGOTO機能や、天体以外(鳥など)の被写体追跡機能もあり、月や太陽、銀河、星雲、星団などなどの天体を4Kで撮れます。

好きなところ:リーズナブルな価格、コンパクトでポータブル、サイズのわりに画質もよい、望遠と広角のデュアルレンズ、GOTO機能や被写体追跡機能も優秀。

好きじゃないところ:使い勝手、天体写真の基礎知識が必要、そのときに見やすいお勧め天体の情報がない、バッテリーライフは限定的、画像にウォーターマークが入らない。

Dwarf IIは広角レンズと望遠レンズも搭載し、柔軟に使えるのも魅力です。夜の天体だけじゃなく日中の風景撮影にも使えるし、スマホやタブレットといったモバイルデバイス(iOSでもAndroidでも)ともつながります。あとは、従来この手の望遠鏡には必須だったアイピースが(良くも悪くも)必要なくなっています。接続はWi-FiでもBluetoothでもできます。

デラックス・エディションにはキャリーバッグと充電式バッテリー、64GBのmicroSDカード、ミニ三脚、予備バッテリー、光害対策のUCHフィルター、ソーラーフィルター2枚(各レンズに1枚ずつ)、フィルターアダプターが付属 Image: George Dvorsky - Gizmodo US

普通の写真も撮れるといっても、やはりメインで想定してるのは天体写真で、銀河や星団、星雲といった深宇宙の天体を、サイズのわりに驚くほどのシャープさで撮ることができます。あとは日中の撮影でも、AIによる被写体追跡機能で、鳥などの動くものにフォーカスを合わせ続けられます。

Dwarf IIを作ったDWARFLABは、登記上は香港にありますが、運営は中国で行なっています。アプリは最近OS2.0にアップグレードされ、ビギナー向けガイドなども追加されて、インターフェースも機能もかなり拡張されました。

ただDwarf IIは、まったくの初心者向けではありません。うまく使えるのは、カメラのオート機能以上のことをするのに抵抗がなく、画像処理の経験もあるような人です。Dwarf IIのインターフェースはやや使いにくいんですが、慣れれば驚くほどよい写真が撮れるようになってきます。

価格は2パターン

Dwarf IIには2種類のパッケージがあります。クラシック・エディションは459ドル(日本価格7万4000円)で、キャリーバッグと充電式バッテリー、USB Type-Cの充電器、64GBのmicroSDカード、ミニ三脚が同梱されてます。デラックス・エディションは595ドル(日本価格9万5700円)で、それプラス予備バッテリーと、光害を抑えるUHCフィルター、ソーラーフィルター2枚(各レンズに1枚ずつ)、フィルターアダプターが付いてきます。

Dwarf IIで見た、2023年10月14日の日食。かなりのくもり空でしたがちゃんと撮れました Image: George Dvorsky - Gizmodo US

デラックス・エディションは少しお値段が上がりますが、その価値はあります。フィルターがあったほうが使いやすいし(4月には皆既日食があるし)、予備バッテリーも助かります。

Dwarf IIの外観は、スマートで特徴的です。ちょっとした本より少し大きい程度で、サイズは8×5.1×2.4インチ(204×130×62mm)。コンパクトだし、ペリスコープデザインで重心が低く、安定感もあります。ただ重量は2.4ポンド(1.1kg)なので、付属のミニ三脚(これもしっかりはしてますが)以外のものを使うなら、より頑丈なものを選んだほうがよさげです。

Dwarf IIは今買える中でも最小・最軽量なスマート望遠鏡のひとつなので、キャンプやハイキングなど、荷物を減らしたいときにはぴったりです。

Dwarf IIの一番の強みは、日中は機能豊富なカメラとして使え、夜にはスマート望遠鏡になることでしょう。広角レンズと望遠レンズはピクチャー・イン・ピクチャーで見られて、ワンクリックでビューを切り替えられます。ギガピクセルのパノラマや、バースト写真、タイムラプスも撮れます。

アプリ画面にはバーチャルなジョイスティックが表示され、カメラの動きを複数の軸で、いろんなスピードで変えられます。ただこのジョイスティックの反応が悪くて、イライラすることがありました。

ソーラーフィルターを使ってDwarf IIで撮った、大きな黒点を持つ太陽。外部ツールでの編集はしてません Image: George Dvorsky - Gizmodo US

Dwarf IIは「II」ですが、前バージョンはTinyscopeというやつで、それはもう販売終了しています。Tinyscopeは望遠レンズだけでしたが、Dwarf IIには広角レンズも付き、さらにいろんな機能も追加されました。

豊富な機能と使い方

Dwarf IIには天体撮影に役立ついろんな機能が入ってます。オートフォーカスで星をくっきり撮れるし、オートキャリブレーションで撮影方向をピンポイント指定できます。またワンクリックのGOTO機能があり、撮りたい天体をカタログから選べば、自動でその天体を追尾できます。

腕に覚えのある方は、マニュアル設定もできます。このUIの操作が直感的からはほど遠く、マニュアルを見なきゃいけないことが何回もありました。

Dwarf IIにはいくつかライトがあるんですが、撮影の邪魔にならないように消すこともできるのは気が利いてると思います。タイムラプス機能とオートトラッキングの合せ技は楽しくて、月が動いていく動画もきれいに撮れました。

アプリには撮れる天体のカタログが入ってて、その時点で撮れない天体(地平線の下にあるとかで)を選んだ場合はそれを教えてくれます。でもできれば「今日が撮り時の天体」みたいな感じで、タイミング的に撮りやすい順にソートしてあるとさらにナイスかなと思います。Dwarf IIアプリでは「星雲」とか「銀河」、「星団」「惑星」みたいなカテゴリ別にはなってるので、それは助かります。

あとは惑星を撮るときの注意なんですが、Dwarf IIでは火星や木星、土星の観察は可能ですが、すごくよくは撮れません。でも撮る価値はあって、僕も実際木星の大きいほうの月をなんとか撮りました。Dwarf IIは主に月と太陽と深宇宙、それから日中の天体以外の観測がメインになっています。

月のタイムラプスを撮るのはすごく楽しかったです。画像はくっきりとして美しく、肉眼では見えないディテールがしっかりと見えます。設定の調整には時間がかかりましたが、それだけの甲斐はありました。

Dwarf IIで撮ったM42星雲、編集なし Image: George Dvorsky - Gizmodo US

自動天体トラッキング・スタッキング機能で、深宇宙天体の長時間露光撮影が可能になり、銀河や星雲、星団といった天体もすぐ撮れます。通常だったら手がかかって難しい天体写真をもっとシンプルに撮れるんです。Dwarf IIだけじゃなく他のスマート望遠鏡もそうですが、この部分が自動化されたことで、天体写真そのものがだいぶ楽になりました。

Dwarf IIは、15分角(1分角=1度の60分の1)より大きく、見かけの等級が9等級以下の天体、つまり大きくてある程度明るい天体、たとえば風車銀河やオリオン星団、アンドロメダ座などなどの撮影に適しています。

といっても、Dwarf IIは焦点距離が望遠で675mm、広角で48mmなので、もっと小さくて暗い天体でも大丈夫です。デラックス・エディションに付属するソーラーフィルターを使えば、黒点や日食など太陽の撮影もできます。

Dwarf IIで捉えたM50星団。背景は深く暗く、星はシャープです。外部ツールでの編集ナシ Image: George Dvorsky - Gizmodo US

Dwarf IIでは最長15秒の露光が可能で、リアルタイムで最大999枚を自動スタックできます。これは一般に、サードパーティアプリを使って手動でする必要があったものです。

撮ったら編集も自由に

撮影中、僕はRGBチャネルの色を変えるために「カーブ」の設定を調整しました。このカーブの設定が画像編集の役割もするので、撮りながら編集・保存して、スマホのギャラリーで見られます。Dwarf IIがサポートするフォーマットはFITSとTIFFで、Adobe Lightroom、PixInsightエディター、GIMPといったアプリで扱えます。

中央に葉巻銀河、その上にボーデの銀河。Dwarf IIで撮影し、他のツールでの編集はナシ Image: George Dvorsky - Gizmodo US

撮影が終わったら、画像はアプリのアルバム上に表示されますが、そこからローカルにダウンロードして誰かと共有したり、別のツールで編集したりできます。ただウォーターマークが入らないので、後から特定の写真を見つけるのが困難でした。アプリ内ではラベルが付きますが、それはDwarf IIがオンになってアプリとリンクされているときだけです。

Dwarf IIはFITSとTIFFフォーマットをサポートし、他の編集アプリで編集できます。この炎星雲の画像はGIMPでクロップ・編集しました Image: George Dvorsky - Gizmodo US

Dwarf IIではメインのスマホと接続したまま、セカンダリーの接続も2本持てます。メインの接続ではDwarf IIを操作でき、セカンダリーの接続ではDwarf IIの動きを閲覧するだけですが、もっと増えてもよさそうですね。たとえばキャンプ場とかで、子どもたちがDwarf IIの撮る映像を自分のスマホで見たがってキャッキャする様子が目に浮かびます。

いい天体望遠鏡だけどある程度知識は必要

僕はDwarf IIはいいと思いますが、大好きとまではいきません。たしかに天体写真が撮りやすくはなってるんですが、カメラや天体写真の経験がない人には学習が必要になります。「露光時間」とか「ゲイン」とか「彩度」みたいな用語を聞いて戸惑う人は、まずそのへんを覚えてからのほうがスムースにDwarf IIを使えるはずです。

Dwarf IIで撮れる写真自体はとてもよかったのですが、最高!とまでは感じませんでした。Dwarf IIのサイズと焦点距離の短さからすると、画質面はそれでいいんだと思います。

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ちなみにDwarf II以外のスマート望遠鏡としては、Vespera Observation StationとかSeestar S50は(スマート望遠鏡の中では)手の届く価格帯で、コンパクトかつパワフルです。あとはCelestronのNexStar 130SLTとか、Sky Watcher 200P 8インチドブソニアン望遠鏡とかもあります。予算にもう少し余裕があれば、UnistellarのeQuinox 2とかOdyssey Proもすごく良い選択肢です。

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