「インターネット界のバンクシー」とも呼ばれ、型破りなアート集団として知られるMSCHF(ミスチーフ)が「Frankenstein」という名のハンドバッグを発表しました。
一見するとハイブランド風でありながら、何とも形容しがたいデザインの革製のハンドバッグ。実は奇妙でおもしろい創作プロセスによって生み出されたのです。
MSCHFはこのハンドバッグについて、オフィシャルサイトにて英語、スペイン語、ヒンディー語、中国語で説明をしています。
というのも、このバッグはニューヨークを拠点とするMSCHFから始まり、ペルー、ポルトガル、インド、中国と世界各国の4つの革加工工場を経由してデザインされて、そして製造されたものだからです。
この創作プロセスは、まずMSCHFがペルーの工場に「エルメスのバーキン風のバッグを作る」という不十分な企画説明と少しの参考画像とともにバッグの制作依頼を出します。
そうしてできたプロトタイプ1号のバッグを基に、今度はポルトガルの工場に「セリーヌのラゲージにより似せたものを作る」と依頼を出します。その後、インド、中国と同じようにディオールやバレンシアガの人気商品を掛け合わせていくように依頼を出してきます。
世界規模の伝言ゲームともいえるこのプロセスを通じてできあがったものが、この「Frankenstein」というバッグなのです。
Image: MSCHF最終的なデザインは、鋭く湾曲した底、ツイストした持ち手、それに沿うように歪んだ形状のフロントフラップなど奇妙で独特なものになりました。
湾曲した底はバレンシアガのアワーグラス、持ち手のラインはセリーヌのラゲージとディテールが若干残っているような部分もあります。ですが、結果的には前衛的なまったく別のバッグという印象のほうが強くなっていて、こういうセンスの創造性で作られたんだなあと思わせられます。
この伝言ゲームプロセスが単純におもしろいなあと思う一方で、MSCHFが今回のバッグにおいて意図したことは「工場側が持っている隠れた創造性をフォーカスする」ことなのです。
Image: MSCHFバッグに限らずあらゆる制作プロセスにおいて、デザインを作りプロダクトの製造を依頼するブランド側と実際に製造を請け負う工場側でギャップが生まれることはあります。プロダクトごとの小さなディテールが製造する工場によってほんのわずかな違いがあったりします。
こうしたギャップは、デザイナーが指定していない部分などを工場側が創造力を発揮して埋めているともいえるわけです。MSCHFはこのギャップを意図して大きくすることで、通常のプロセスであれば「隠されている」創造性を全面に押し出すようにしました。
これについてMSCHFは以下のように述べています。
製造業に真摯に向き合っている人々なら、工場が完璧な指示を受け取って完璧なアウトプットを実行するようなコンピューターではないことを理解しています。工場は目には見えない膨大な創造的労働を行なっているのです。
単に「おもしろいアイデアでおもしろいバッグを作る」ということではなく、世界的なサプライチェーンの相互関係に焦点を当てたこのプロジェクトは、奇妙なデザインのバッグとともに創造性に対する強いメッセージを発信したということです。
一着でデザインが七変化。液晶画面を取り入れたファッション ウロコだけでなく大きい星もキラキラしてる! 写真加工ソフト「Photoshop(フォトショップ)」やイラスト作成ソフト「Illustrator(イラストレーター)」などでお世話になっている人も多いAdobe(アドビ)。10月の発表会では、ソフトやアプリではなく、現実世界に存在する反射光拡散モジュール、「Project Primrose(プロジェクト・プリムローズ)」がキラキラに変化するドレスとし https://www.gizmodo.jp/2024/02/adobe_fashion.htmlSource: MSCHF, Global Supply Chain Telephone, dezeen