こちらは、ニューヨークを拠点に活動するアーティストのブラッドリー・ハート(Bradley Hart)が制作したアート作品。この緻密なモザイク画は、なんと再利用された気泡緩衝材(いわゆるプチプチ)を使って作られたのです。
子どもの頃に多くの人がつぶして遊んだであろうプチプチを使って、こうしたアート作品をどのように作ったのか、Hyperallegicが伝えています。
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ブラッドリー・ハートは、プチプチを大きなキャンバスとして使い、ひとつひとつの気泡に注射器でアクリル絵の具を注入することでモザイク画を制作しているといいます。
このモザイク画の制作には、ピクセルアートを作るような要領であらかじめ別のシート上でどの色をどこに配置するかを決めておきます。それに対応するようにそれぞれの気泡に番号を振り、その後絵の具を注入していくことで作品が作られていくのです。
このアートにおいては、先述のように再利用されたプチプチが使われています。さらに、現在では注射器も再利用しているといいます。別の作品では乾燥したアクリル絵の具を使ったり、樹脂のリサイクルも行なっているとのこと。
ブラッドリー・ハート自身が芸術活動においてサステナビリティへの強い関心を持っており、そのアイデアを活用して新たなアートを作ろうとしているのです。
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ブラッドリー・ハートによるアート作品は、プチプチによる緻密なモザイク画だけではありません。
先述の制作プロセスのなかで、彼はプチプチを固定するのにプラスチックなどのシートを使用します。そこから絵の具を注射していくとそのシートには絵の具が漏れ出ていき、完成後にそのシートを剥がすことで別の新たなアートが生まれるのです。
たとえばこちらのパブロ・ピカソの『夢』を描いた作品は、このようになります。
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『夢』のアウトラインを残しつつも、流れ落ちた絵の具によって抽象的になっていますね。「impression(印象)」を呼称するこちらの作品は、印象絵画のようなぼやけた雰囲気とアクションペインティングのような抽象化されたオブジェクトによってまったく別のアートに昇華されているのがわかります。
緻密なモザイク画と違った印象のこちらの作品もまた観る人に大きなインパクトを与えますね。
自画像、風景画、そして過去の芸術家による絵画、いくつものモザイク画が生まれると同時に抽象化されたペインティングも生まれる、こうしたおもしろさこそがブラッドリー・ハートの作品の良さなのでしょう。
彼のオフィシャルサイトやInstagramには、ほかにもたくさんの作品が掲載されているのでぜひ見ていただきたいと思います。
source: Bradley Hart, Hyperallegic, Instagram