現在880日超えてます。ロシア人が宇宙での滞在期間を更新中

ロシア勢、強し！

ロシアのオレグ・コノネンコ宇宙飛行士が、今月4日に宇宙滞在の最長記録879日を更新しました。これまでの最長記録保持者は、同じくロシア出身のゲンナジー・パダルカ宇宙飛行士で、通算878日11時間29分48秒でした。

現在もコノネンコ宇宙飛行士は宇宙に滞在し続けており、記録は880日を超えています。

ロシア宇宙飛行士たちが記録を樹立中

パダルカとコノネンコの両宇宙飛行士は、5つの軌道ミッションをこなしながら、この最長滞在期間という偉業を成し遂げています。パダルカ宇宙飛行士は、2015年6月28日に宇宙滞在期間の最長記録を更新。その後9月に地球に帰るまで、878日を宇宙で過ごしていました。

また、ロシアの宇宙飛行士ワレリー・ポリャコフ氏は、ロシアのミール宇宙ステーションに437日間（1994年1月から1995年3月まで）滞在、1回の宇宙滞在の最長記録を保持しています。

宇宙滞在は1,100日となる見込み

現在59歳のコノネンコ宇宙飛行士が初めて宇宙へ旅立ったのは2008年。そして今回のこのまま滞在すると、今年の6月5日に1,000日の記録を達成する予定です。そしてコノネンコ宇宙飛行士のミッションが正式に終了するのは9月なので、そうなると1,100日の記録となります。

コノネンコ宇宙飛行士の参加する今回のミッションには、2023年9月15日にロシアの宇宙飛行士ニコライ・チュブとNASAの宇宙飛行士ローラル・オハラと共に国際宇宙ステーションへと向かったものです。

コノネンコ宇宙飛行士はこう語っています。

「私は記録を打ち立てるために宇宙にいるのではなく、好きなことをするために宇宙にいるのです。子供の頃から宇宙飛行士になることを夢見てきました。その頃の宇宙へ飛び立ち、宇宙で生活し働くという夢が、私が宇宙へと飛び続けるモチベーションです」

ただ、長期にわたる無重力の状態は健康リスクを伴うと言われています。コノネンコ宇宙飛行士は重力の影響を防ぐために、厳格な運動ルーティンを維持しているそうです。また「地球からの遠く離れた場所であるにもかかわらず、テクノロジーのおかげで地球にいる愛する人たちと繋がることができるので、孤立は感じません」とコメントしています。

コノネンコ宇宙飛行士はざまざまなミッションを達成してきていますが、やはり誇りに思っていることは、宇宙で人類が滞在した時間の記録がロシア人の宇宙飛行士であること、なんだそうです。

NASAは放射能リスクから滞在時間を制限

確かに宇宙滞在時間の記録に関しては、ロシアはかなり強いんですよね。NASAのジェフリー・ウィリアムズ宇宙飛行士は、4つのミッションで合計534日間宇宙に滞在。これはアメリカの累積滞在記録となっています。

一方、NASAのフランク・ルビオ宇宙飛行士は371日間連続滞在をしていて、こちらはアメリカの単一滞在記録となっています。NASAは、放射線被曝のリスクを管理するために宇宙飛行士に宇宙で過ごす時間の制限を設けているのです。

宇宙飛行士はタイムトラベラー？

ちなみになんですが、宇宙飛行士が実はちょっとだけタイムトラベルしているって知っていました？

宇宙飛行士が軌道上にいるとき、地球上の人たちにと比べて高速で移動しています。国際宇宙ステーションは、時速2万8160kmの速さで地球を約90分ごとに周回しています。高速の移動なので、地球の人たちと比べて宇宙飛行士には時間がわずかに遅く流れることになります（正確には、時間の経過の主観的感覚は一定ですが）。物理学者アルバート・アインシュタインの特殊相対性理論（1905年）がこの現象を示しています。

1916年にアインシュタインは特殊相対性理論をさらに発展させた一般相対性理論を発表。これを使って考えると、弱い重力場が地表と比べると、国際宇宙ステーションでの時間をわずかに速める逆の効果をもたらすことになります。その結果、国際宇宙ステーションの宇宙飛行士たちにとって、地球の人たちよりもわずかに時間が遅くなっているのですが、6カ月でわずかに0.005秒という微細な遅れです。

したがって、パダルカ宇宙飛行士が2015年に5回目の最後のミッションを終えて地球に帰還したとき、パダルカ宇宙飛行士は、地球上での生活から0.02秒の時間を失っていることがわかりました。これは感知できないほど一瞬なので、映画で見るようなタイムトラベルとは言えないほどの微細な遅れですね。

コノネンコ宇宙飛行士は地球に帰還するまでさらに長い1,100日以上を過ごすことになるので、もう少しだけタイムトラベルの時間も増えます。なので言ってみれば、歴史上で最も長いタイムトラベルをした人類ってことになりますね。