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街灯に群がる虫、光が好きで群がってるわけじゃなかった

  • 2024年2月6日
  • Gizmodo Japan

街灯に群がる虫、光が好きで群がってるわけじゃなかった
Image: Shutterstock

光に向かってるわけじゃなかった。

人類は2000年も前から光を使って虫を捕まえてきました。「飛んで火に入る夏の虫」っていうことわざもあるくらいです。でもなぜ、虫って光に引き寄せられるんでしょう? その秘密をある研究チームが解明しました。

光を好んでいるわけじゃなかった

私たちが使っている虫取り器は、実は約100年前から存在しています。光を使って虫を捕まえていますが、最新の研究で、虫は光に引き寄せられているわけでなはいとの研究結果が出ています。

虫は飛行調整をするために光を使っていて、でも人工的な光のせいで虫が方向感覚を失い、光にぶつかって死ぬという結果につながっているだけなんだそう。研究結果はNature Communicationsで発表されています。

研究の共著者であるフロリダ国際大学の生物学者Jamie Theobald氏は、フロリダ博物館の発表で以下のように述べています。

文字がない時代からずっとある疑問でした。そして火に虫が寄ってくることを気づいたことについても初期の文献に記されています。しかし、虫が光に集まる理由の推測すべてが間違っていたことが判明しました。

研究チームは南米コスタリカの森で、人工光を点灯させ、集まってきた虫の野外録音を行ないました。

チームは光の下で、虫たちが「軌道を描く」(光源の周りに円弧を描く)、 「停止する」(上昇し、速度を落とすけれど反転はしない)、そして「反転する」(完全に反転する)の3つの動きを観察。そして野外調査と実験室での実験を組み合わせて動きをさらに見ていきます。

昼行性のトンボの種、および夜行性の蛾、全部で4つの種の538の飛行軌道を記録しました。

光に背を向けて飛んで方向感覚を失っていただけ

結果は、なんと、虫が光に向かって進行する様子は観察されなかったのです。むしろ、背中を光に向けてながら飛んでいたのです。研究チームは、「自然の空の下では、背部を明るい上に向けて飛ぶことは正常な飛行姿勢ですし、飛行をコントロールしやすいです。でも、人工的な光源の近くでは、背中を光に向けて飛ぶので光の周りをぐるぐると連続的に飛ぶことになり、罠にかかってしまうのです」と述べています。

したがって、光の周りを飛ぶ虫の乱れた飛行パターンは、実際には虫が本来なら上から来る光なのに、違う方向から差す人工の光に対応しようとがんばって失敗している姿ということ。

しかも光を好んで集まっているわけではなく、その光を頼りに飛んでいただけなのに、ジィッと焼かれて死んでしまうというなんともかわいそうな罠にハマっている虫さんたちでした...。

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