ドラマティックな作業風景。
引退したNASAのスペースシャトルの縦向き展示に、ようやくオービター「エンデバー号」(宇宙船の本体部分)が取り付けられました。まだ作業は残っているものの、これで6ヵ月に及んだ大がかりな輸送・設置のプロセスはひとまず無事に終了となります。
現在建設中のサミュエル・オシン航空宇宙センターでの展示に向けて、全長37mのオービターは高さ137mのクレーンによって慎重に垂直姿勢へと吊り上げられ、巨大な外部燃料タンクに結合されました。
打ち上げ態勢に組み上げる複雑なプロセスがNASAの施設以外で行なわれるのは今回が初めて。この象徴的なスペースシャトルは10年以上ぶりに発射準備ができているかのようにそびえ立ったのです。
エンデバー号はこれまで11年間、カリフォルニア・サイエンス・センターで展示されていましたが、打ち上げ態勢ではなく横向きの配置でした。
有翼のオービターは現地時間の29日(月)に新たな展示場所へと輸送されたとcollectSPACEは報じており、夜間に行なわれた設置作業は31日(水)未明までかかったそう。
2023年7月20日に始まった同博物館の「Go for Stack」は、世界で唯一“打ち上げ態勢”に組み立てるスペースシャトルの縦向き展示のための複雑なプロセスで、完成時の高さは20階建てに相当します。
このプロセスではまず、シャトルの後部スカート(固体ロケットブースターの土台を構成する2つのスカート型底部セグメントのこと)を設置。11月には、その上に全長35mの固体ロケットブースター2基が載せられ、展示の土台をつくられました。そして1月初旬には、外部燃料タンク「ET-94」が巨大クレーンで持ち上げられ固体ロケットブースターの間に設置され、最後のピースを待っていたのです。
NASAのスペースシャトル「エンデバー」の最後の着陸は2011年6月1日のことで、国際宇宙ステーションへの16日間のミッションを終えフロリダ州ケネディ宇宙センターに降り立っています。
その後に実施されたスペースシャトルのミッションは「アトランティス号」のSTS-135ミッションのみで、NASAの30年間に及ぶシャトル時代は終わりを迎えました。
オービター「エンデバー号」は全展示物の目玉であり、建設される航空宇宙センター最大の見どころとなるでしょう。
同センターの建設作業は続いているので、落ちてくる砕片などからエンデバーを保護するため鋼板の骨組みが組まれる、とcollectSPACEには書かれていました。
宇宙機及び航空機をさらに100機ほど建物に搬入するため、建設はもう18ヶ月続くと見込まれているものの、どれもスペースシャトルほどの時間と労力を要するわけではなさそうです。
新・サミュエル・オシン航空宇宙センターの開館日は未定ですが、今後数年のうちにスペースシャトルの展示を見られるようになるとのこと。
Source: collectSPACE, prnewswire,