「ニキビを作って現場に入ると怒られる時代だった」“美のカリスマ”君島十和子が「腸活」と出合うまで

  • 2025年4月23日
  • CREA WEB

君島十和子さん。

 アラ還にして想像を遥かに超える美しさを誇る君島十和子さんが絶大な人気を集めるのは、天から授かった美貌を甘やかすことなく、肌や身体に関する膨大な知識を深め、それを自らプロデュースするスキンケアブランドの開発へと情熱を持って注ぎ込むその姿勢や、SNSなどで見せてくださる飾らない人柄ゆえ。

 そんな十和子さんが新しくレシピ本『君島十和子のおいしい美容「腸活レシピ」』を今年2月に上梓。彼女が外からのお手入れ以上に心血を注いでいる、内側からのケア「腸活」を簡単に正しく進められるようにと、誰でもトライできるレシピが数多く掲載されています。十和子さんに腸活を始めるに至った経緯や、効果などについて伺いました。


お通じがあるからと、安心してはダメ


君島十和子さん。

――20代の頃はお肌にコンプレックスがあったと書籍にありました。腸活と肌のコンプレックスが交差したタイミングやきっかけについて教えてください。

 私が20代の頃は情報を得るのが難しく、自分の肌が紫外線によって変わってしまったことを何とかするために、やみくもにいろんなものを肌に塗っていました。それが原因で肌トラブルを起こしてしまい……。そこから編集の方やヘアメイクさんに情報収集をした中に、「ヨーグルトを食べると肌がキレイになる」というのがあったんです。

 当時はインターネットもないので、それを信じて、ひたすらお砂糖の入っていないヨーグルトを食べ続けました。同時にもちろん紫外線の防御をしたり、水分をたっぷり肌に与えたり、手探りで続けていくうちに、20代後半になってやっと「お肌、キレイね」と言われるようになってきたんです。でも“腸内環境”なんてことはまったく考えずに、ひたすらヨーグルトを食べていました。

 当時は、肌の状態でモデルの仕事の量が決まるような時代(笑)。ニキビを作って現場に入ろうものなら、編集の方に烈火のごとく怒られていましたから、本当に必死でした。


君島十和子さん。

――そこが腸活との最初の出合いだったんですね。

 もともと腸は強いほうだと思っていました。腸とメンタルの関係に何となく気が付いたのは、30代後半です。子どもの試験や発表会、受験となるとお腹が痛くなることに気が付いて。

 自分自身に対してはわりと図太い性格なのですが、子どものこととなると途端に。みんなで同じものを食べているのに私だけお腹が壊れるみたいな感じだったので、「腸はメンタルと繋がっているんじゃないかな」と思い始めました。

 腸が大切なんだと世間的にも言われ始めたのは多分2000年前後だと思います。近年では『腸活』という言葉も生まれて、取りあげられるようになりましたが、ここ4〜5年ですよね。コロナ禍が始まり、皆が“健康”に関してもっと注目し始めた頃です。薬もないから、自分の免疫を上げるしかないとなったときに、初めてちゃんと注目されたのだと思います。

――目で見て分かる肌などと比べると、腸の状態の良し悪しは判断しづらいですね。

「毎日お通じがあるし、私に腸活は必要ないです」と言われる方も多いです。しかし、私たちは毎日違うものを食べていますし、いろんなところへ行き、様々な菌を体内に取り込んでいるわけですから、実は腸内環境は毎日同じではないんです。だかこそ、お通じがある=腸内環境がいい、とは限りません。

 逆に言うならば、便秘だからといって、腸内環境がすこぶるよくないというわけでもないんです。一週間お通じがないのは困りますが、3日間くらいなら、それを気にするほうが腸にとってはよくない。すごく奥深くて面白い臓器です。

早い人なら1カ月くらいで効果を実感。肌の変化には目を見張るものが!


君島十和子さん。

――腸活開始初期の頃、ヨーグルト以外に「やってみよう」とトライしたものはありましたか?

 ヨーグルト単体で食べるだけでなく、きな粉を入れました。今でこそヨーグルトにもいろんなタイプがありますが、当時は水っぽくて乳清がたっぷりあるヨーグルトばかりだったので、そこに大さじ2杯ほど加えていました。食べ応えも出ますし、風味も上がる。きな粉自体の甘さでお砂糖を加えなくても美味しく食べられました。

 あとから聞いたら、きな粉には食物繊維や天然のオリゴ糖も入っていいるので、腸活には持ってこいの組み合わせだったんです。あとはバナナを加えたりもしました。それ以外では海藻類が大好きだったので、海藻サラダや糸寒天も食べていました。

――先ほど、継続するうちに「肌がキレイになった」と言われたとおっしゃっていましたが、ご自身では具体的にはどのような変化を感じられましたか?

 実は40代後半くらいまで季節の変わり目やあと疲れが溜まったときに必ず大きなニキビを作ってしまっていたんです。若いときは、もうしょっちゅう。アゴなんかに、もう脈打つような吹き出物が出るタイプだったのですが、それがなくなりました。

 まずは肌の水分量が上がってきたこと、あとは肌の揺らぎが少なくなりました。肌の水分量が上がるので透明感も出ましたし、毛穴が目立ちにくくなったのも実感しましたね。

――それくらいの変化を感じるには、どのくらい継続することが必要でしょう?

 早い人なら一カ月も経たないうちに変化を感じると思います。

 腸は栄養分を吸収するのも仕事のうち。腸内に不要なものが滞留してしまうと、そこから有害物質を吸収し、それが血液に取り込まれて体内を巡るので、お肌の調子が悪くなるのは当たり前です。

 一方で、腸内環境が整えば、そういった有害物質が身体中を巡ることがないので、肌はもちろんキレイに。あとは睡眠の質が上がるのも実感できると思います。

 お通じがないと、下剤などで無理矢理出そうとする人がまだまだ多いのですが、そうすると腸内環境が荒れてしまいます。全部の菌が一掃されてしまうので、「便秘薬でも何でもいいから何とか出そう」というのは、できればやめてほしいですね。


君島十和子さん。

――腸の機能をちゃんと働かせるようにするのが一番大事ということですね。

 腸は消化や排泄に関わるだけでなく、ビタミンを作ったりもします。“幸せホルモン”と言われるセロトニンの95%は腸で作られるんです。

 ということは、腸が働いていないと、「美味しい」と感じたり、「わぁ、キレイ!」と思ったり、そういったことを感じるために必要な物質が作られないことになるので、人生の時間そのものが楽しめないということになってしまいます。

 専門用語になりますが、“脳腸相関”という言葉があります。腸は“第二の脳”と呼ばれていますが、腸から迷走神経を通じて、脳へ「私、不安かも」という信号を送ると言われるほどです。

 腸は大きい臓器なので、交感神経がオンになって緊張したり、不安なことがあるとキュッと全体の血管が締まり、血流が悪くなります。学校に行きたくない、明日嫌な上司と話さないといけない、これからプレゼンがある……。そういったときにお腹が痛くなるのは、まず腸がキュッと締まって血流が悪くなるから。腸が先に感じるんです。

――なるほど! きっと読者の皆さんも思い当たる節があると思います!

 旅行に行って便秘になるのはそのせい。環境が違うということを、脳より先に身体=腸が緊張することで、委縮して動かなくなるからです。「食べるものが変わるから」とか「お水が変わるから」というのは後からついてくることで、先にアドレナリンが出過ぎて興奮することで交感神経がオンになるんです。それが腸の緊張を誘発して、便秘になるという仕組み。

 それが分かるだけでも、便秘との向き合い方、腸との向き合い方が変わってくると思うので、まずは小さな一歩からスタートしてみましょう!

》インタビュー後篇に続く

君島十和子 Towako Kimijima

1966年5月30日生まれ、東京都出身。FTCクリエイティブディレクター、美容家。2人の娘をもつ母。ファッション誌の専属モデルや女優として活躍後、結婚を機に芸能界を引退。2005年に化粧品ブランド『フェリーチェトワコ・コスメ』(現:FTC)を立ち上げ、自らプロデュースを行う。美容成分などへの見識も深く、身体や肌の仕組みをしっかりと理解したうえで発売する自社のアイテムは美容界からも信頼が厚い。現在は自身のスキンケアブランドの仕事のほか、テレビや雑誌でも活躍。著書も多数。最新刊、『君島十和子のおいしい美容「腸活レシピ」』を2月21日に上梓。

文=前田美保
写真=深野未季

あわせて読みたい

キーワードからさがす

gooIDで新規登録・ログイン

ログインして問題を解くと自然保護ポイントが
たまって環境に貢献できます。

掲載情報の著作権は提供元企業等に帰属します。
Copyright (c) Bungeishunju ltd. All Rights Reserved.