「自分の居場所で、仕事を一生懸命頑張って、他人の鑑になれる人」チョン・へインが考える理想の“ベテラン”とは

  • 2025年4月12日
  • CREA WEB

チョン・へイン。

 韓国の理想の息子と言われる、チョン・ヘインが来日。2月には「徹子の部屋」の出演を機に、日本でもその人気が高まる中、新作『ベテラン 凶悪犯罪捜査班』では、善悪の境界に挑む新人刑事パク・ソヌを演じている。韓国で昨年観客動員数5週連続第1位を記録した本作は、大ヒット犯罪アクション映画『ベテラン』(2015)の第二弾で、主演のファン・ジョンミンはじめ、オ・ダルス、チャン・ユンジュら主要キャストが前作から続投する中、ヘインは新たにチームに加わった。当初はプレッシャーを感じていたものの、先輩や仲間たちのおかげで撮影を楽しめたという。


カンヌ国際映画祭でも盛り上がりをみせた『ベテラン 凶悪犯罪捜査班』


昨年のカンヌ国際映画祭にて。© 2024 CJ ENM Co., Ltd., Filmmakers R&K ALL RIGHTS RESERVED

――昨年のカンヌ国際映画祭ミッドナイト・スクリーニング部門でのこの映画の上映に私も参加していたのですが、素晴らしい盛り上がりでした。深夜とは思えぬあの興奮を経験してどんなお気持ちでしたか?

チョン・ヘイン 一生忘れられない記憶に残る瞬間でした。また、母が同行していたのですが、感激して幸せそうでした。その姿を見て一緒に来て本当によかったと思いました。


『ベテラン 凶悪犯罪捜査班』© 2024 CJ ENM Co., Ltd., Filmmakers R&K ALL RIGHTS RESERVED

――ベテラン刑事ソ・ドチョルを演じた韓国を代表する俳優であるファン・ジョンミンさんとの共演の感想を教えてください。

チョン・ヘイン ファン・ジョンミン先輩との撮影は、一瞬一瞬がエネルギーに溢れていて楽しかったです。いつも後輩たちの面倒をよく見てくれて、気楽に演技できるように、先輩の方から近づいてくれて本当にありがたかったです。

 特にアクション演技がとても上手で驚きましたし、初日の撮影が終わった後、一緒に食事しようと言ってくれて、リラックスした関係になっていきました。1作目が大変多くの方に愛された作品でしたので、僕は撮影前はとても緊張していたんですね。でもファン・ジョンミン先輩のおかげで早く現場に溶け込むことができたと思います。プレッシャーをあまり感じることなく、演技だけに集中できるように助けていただいたので、先輩には心から感謝しています。

 そして1日1日、楽しんで撮影をするうちに当初感じていたプレッシャーは自然と消えていき、今するべきこと、撮るべきシーンに集中することができました。目の前にある越えねばならない山は非常に大きかったんですが、とにかく今日はベストを尽くし撮影に集中して頑張ろうという気持ちで撮影していました。

「パク・ソヌという人物にとって、実は正義はそれほど重要ではない」


『ベテラン 凶悪犯罪捜査班』© 2024 CJ ENM Co., Ltd., Filmmakers R&K ALL RIGHTS RESERVED

――新人刑事パク・ソヌという役柄について、どのような印象を受けましたか? 演じていて難しかった点はどこですか?

チョン・ヘイン パク・ソヌというキャラクターは平面的なわかりやすい人物ではないため、理解して分析するのが容易ではありませんでした。演じるにあたり複雑で表現しにくい部分が多かったですが、撮影に入る前から監督と意見をたくさん交わし、次第に彼のキャラクターが鮮明になっていきました。

――新人のパク・ソヌもベテランのソ・ドチョルも、正義のためには行きすぎるところがあり、クリント・イーストウッドが演じたダーティハリーを思い出しました。その部分をどのように理解して、演じられたのでしょうか?

チョン・ヘイン 結果的にパク・ソヌという人物にとって、実は正義はそれほど重要ではないと思います。自分が望むことをしなければならず、状況と環境を自分の思い通りに操縦したいという欲求が強い人物です。それを重点的に考えて演技しました。


チョン・へイン。

――リュ・スンワン監督の映画に出演が決まった時、どのようなお気持ちでしたか?『ベテラン』という大ヒット作の続編ということでプレッシャーなどはありましたか?

チョン・ヘイン リュ・スンワン監督の映画を観て育った人間として、俳優として、監督の作品に出演することは大きな幸運であり、光栄でした。大ヒット作の続編への合流なのでプレッシャーはありましたが、実際に撮影が始まってからは毎日撮影に集中したため、負担感は消えてうまくやってみようという気持ちだけでした。


左からリュ・スンワン監督、ファン・ジョンミン、チョン・へイン。

――リュ・スンワン監督の撮影現場というのはどんなものなのでしょう?

チョン・ヘイン 撮影現場はいつも情熱に満ちていました。アクションシーンが多かったですが、常にリハーサルを十分に行い、安全点検も細心に気を使ってくださって、安心して演技することができました。監督は俳優が持っている長所をうまく引き出してくれる方で、大変感謝しています。

チョン・へインが考える理想のベテランとは


チョン・へイン。

――もし俳優になっていなかったら、何になっていたと思いますか?

チョン・ヘイン 俳優になっていなかったとしても、やはり俳優の道に挑戦していると思います。

――今後、挑戦してみたい役はありますか? また、どのような役者になっていきたいですか?

チョン・ヘイン 経験したことのない役柄なら、どんなものでも挑戦してみたいです。これからも感謝を忘れない俳優でありたいですし、皆さんを楽しませることができる俳優になりたいです。


『ベテラン 凶悪犯罪捜査班』© 2024 CJ ENM Co., Ltd., Filmmakers R&K ALL RIGHTS RESERVED

――日本の観客の方々には、どんなところに注目して映画を観てほしいですか。

チョン・ヘイン 今回の映画は連続殺人事件を追う刑事たちの話ではありますが、実は社会的な現象についても描いているというところがあって、そこを重点的に観てほしいです。そして映画をご覧になった後で、観客の皆さんがそれぞれ考える正義についてもう一度考えてみてほしいです。そして僕の新しい姿にも期待してくださったらうれしいです。

――アクションシーンがとても激しいですが、ヘインさん自身の印象に残っているアクションはどの場面ですか?

チョン・ヘイン とにかくアクションシーンが多かったのですが、特にインパクトのあるアクションと言えば、やはり階段でのシーンですね。そして個人的に印象に残っているのは、私が演じたパク・ソヌが、ファン・ジョンミン先輩が演じるソ・ドチョル刑事に、男性の非常に大切な部分を思い切り攻撃されるところですね。あのシーンは撮影していて、本当にもう困ってしまった記憶があります。今思い出しても、すごく辛いですね(笑)。

――では、あなたが考える理想のベテランとは?

チョン・ヘイン 僕が思うに2つのかたちがあるような気がします。1つは、映画人としての理想のベテラン。それは韓国映画ならではのアクションができ、犯罪ものを引っ張っていくスターと言えるような人が、理想的なベテランです(筆者註: つまりファン・ジョンミンのことを指していると思われます)。この映画『ベテラン』がまさにそうですし、シリーズとしてこれからも多くの人に愛されてほしいと思っています。もう1つの意味では、自分の居場所で、自分の仕事を一生懸命頑張って、他人の鑑になれる人。そして他の人を助けられるような人が理想のベテランと言えると思います。

文=石津文子
写真=細田 忠

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