映画『花まんま』で、愛する人たちに秘密を抱えている役を演じた、有村架純さん。「いつもフラット」だという普段の過ごし方や、大人になってからより仲良くなったというお姉さんのことを伺いました。
――有村さんが演じるフミ子の「私は私や」というセリフが印象に残っています。「有村架純」が持つパブリックイメージと実際の自分との違いに悩むことはありますか?
うーん。逆に私は、皆さんにどんなキャラクターだと思われているのか、お伺いしてみたいです。「私服でもワンピースを着てそう」なんて言われがちなのですが、実際にそんなことはなくて、パンツルックのほうがしっくりきます。ほかの人が「有村架純」に持つイメージって案外適当なもの。だからイメージを気にしていても、しょうがないかなって思っています。
――たしかに写真集などではマニッシュなお洋服もよく着ていらっしゃいますよね。ファッションがお好きで、フミ子の衣装についても監督と相談して決めたと伺いました。
最初の予定だと、もう少しレトロな雰囲気の洋服が多かったのですが、大学で働いているという設定なので、色々と話し合って当初よりトラッドな雰囲気の衣装になりました。
――有村さんはご自身のことをどのような人物だと自己分析されていますか?
特別いい人でもなければ、わざといじわるをするような悪い人でもないと思ってます。
――例えば、どんな場面でそう感じますか?
現場でも特別に明るくできるようなタイプじゃないんです。よく、その人が現場に入ったらすぐにわかるくらいに周囲をハッピーにさせる声で挨拶をしてくださる方っているじゃないですか。私はそんなことはできない。
底抜けの明るさを持っていて、周りを幸せなオーラに包める人って素敵だなぁと憧れはするのですが、真似するのは難しいですね。基本、テンションは常にフラットです。
フラットだと、気持ちの切り替えがあまりないから自然でいられます。オンとオフの落差に疲れちゃうこともないですし。心も健やかでいられます。周りに気を遣わせないくらいの普通のテンションでいるのが私にはちょうどいいのかもしれません。
今回初共演したファーストサマーウイカさんも、ギャップがあまりなくてバラエティ番組でみるパワフルな印象のままの方。本番以外も快活で姉御肌タイプでした。
――鈴木亮平さん演じる兄の俊樹は、亡き父との約束を守ろうと常に懸命ですね。有村さんが実際に、妹のフミ子の立場だったら兄にどんな言葉をかけますか?
私だったらもうちょっと距離を保ってしまうかも。姉とはお互いの家に遊びに行ったり、一緒に買い物をしたりするくらい仲はいいですけど、このような関係になったのも大人になってから。なので、男兄弟だったらもっと遠慮しちゃうかもしれないです。実際にお兄ちゃんはいないのでわからないですけどね。
――お姉さんとは、子どもの頃より今のほうが仲良くされているんですね。
そうですね。今のほうが居心地の良い関係です。奔放に自由に育ててもらってはいましたが、子どもの頃は同性だということもあったからか、比べられて悔しい思いもしましたし。それは姉も同じだと思います。大人になってお互い社会に出てからの方が心地良いコミュニケーションがとれるようになりました。
有村架純(ありむら・かすみ)
1993年、兵庫県生まれ。2010年に俳優デビュー。’17年NHK連続テレビ小説「ひよっこ」、’21年「花束みたいな恋をした」、’24年Netflixシリーズ「さよならのつづき」など多数出演。今年は「ブラック・ショーマン」の公開が控えている。
文=高田真莉絵
写真=佐藤 亘
ヘアメイク=尾曲いずみ
スタイリスト=瀬川結美子