「鈴木亮平さんに身を委ねながら、本当の兄妹のように…」有村架純がオール関西弁で挑んだ“兄妹の絆”物語

  • 2025年4月16日
  • CREA WEB

有村架純さん。

 直木賞受賞作を映画化した『花まんま』で、面倒見の良い兄・俊樹と二人きりで暮らす妹・フミ子を演じた有村架純さん。セリフはオール関西弁、そして兄役の鈴木亮平さんと息の合った掛け合いを見せています。人情とファンタジー、そして大きな家族愛が見事なバランスで合わさった物語に出演したからこそ気づいたこととは?


「鈴木亮平さんとはお互い身を委ねながら自然に演技が出来た」


有村架純さん。

――兄妹の絆、そして人情あふれる東大阪の街を描いた直木賞受賞作が原作です。この物語をはじめて読んだ感想を教えてください。

 関西出身なので、セリフがすべて関西弁ということにまず親和性を感じました。「いいな」と心に響くセリフが随所にあったり、関西ならではのテンポ感にわくわくしたり。昔から家族をテーマにした作品が好きなこともあり、楽しみながら読み進めました。どこか懐かしい東大阪の雰囲気とファンタジー要素がうまく融合しているので、どの世代にも刺さるお話だと思います。

 関西弁って、シリアスな雰囲気を絶妙に崩してくれますよね。兄役を演じた鈴木亮平さんも同じく関西出身なので、方言が持つどこか温かい雰囲気を表現できたような気がします。

 どの現場でも、撮影前に共演者の方と演技の相談などはしないようにしているんです。言葉をつくしてしまうと、自分の中で消化しきってしまう感覚があって。

 だから今回も、鈴木さんとは演技について話し合うことはなかったのですが、本番ではぐっと距離感を縮めて、お互いに身を委ねながら、本当の兄妹のような関係性を出せたと思います。


©2025「花まんま」製作委員会

――フミ子の小さな頃の様子も、物語の大事な要素の一つとなっています。有村さんはどのようなお子さんでしたか?

 おてんばで、よく怪我をして帰ってくるような子でした(笑)。スーパーで転んで、頭から血を流したことも。熱もしょっちゅう出ていましたし、母には心配をかけたんじゃないかな。

 地元は田舎でおおらかな雰囲気だったので、近所の子たちと家の前でドッジボールやキックボードをして遊んでました。当時はYouTubeなどもなかったですし、劇中のフミ子と、遊んでいる内容はあまり変わらないかもしれませんね。

――有村さんと『花まんま』の親和性の高さを伺えるエピソードですね。他にも、フミ子との共通点はありますか?

 私は姉妹で、今回は兄妹。そこの違いはきっとあると思うんですが、私もフミ子も妹なのである種の奔放さみたいなところは似ている気がします。鈴木亮平さん演じる俊樹のように、私の姉もきっと色々我慢していたんだろうな、と姉の気持ちに寄り添えました。

 お兄ちゃんを上手に手のひらで転がしてきたちゃっかり者のフミ子が、恋人である太郎さんの前では、少し気が抜けているような面をみせているのがかわいいですよね。妹としてのもフミ子と、一人の女性としてのフミ子。どちらも演じていて楽しかったです。

「家族という形に血の繋がりは関係ない。大切なことを改めて教えてくれる物語」


©2025「花まんま」製作委員会

――映画『花まんま』では、血縁関係のある家族だけでなく、もっと広い意味で家族を捉えていますよね。有村さんの家族観を教えていただけますか?

 血が繋がっていようといまいと、自分たちがこの形が家族だと思えば、それは立派な家族ですし、唯一無二の存在になっていくのだと思います。婚姻関係がなくたって家族ですし、家事を女親がやるなんて決まりもない。世間が持つ「家族」というイメージも、時代によって変わっていきそうですよね。

――フミ子は手を取り合って暮らしてきた兄にたいしても大きな秘密を抱えているという役柄です。有村さんは、親しい人に秘密を打ち明けるタイプですか?

 すぐには言わないです。一人で秘密を抱え込んでいられるタイプなのかもしれません。全部終わった後に事後報告的な感じで話すことはありますが、細かく説明はしないです。ある程度自分の中で解決してから、友人らがこれでちょっと笑ってくれたらいいな、とエピソードトークとして使っちゃいます。


衣装提供:エンフォルド

――秘密をずっと抱えていられる強さをお持ちなんですね。はじめに、「家族をテーマにした作品が好き」とおっしゃっていました。どんな作品がお好きですか?

 昔からフランスのダルデンヌ兄弟(映画『ロゼッタ』や『ある子供』で知られるフランスの映画監督)の作品が好きでよく観ています。特に『少年と自転車』という作品が好き。

 日本の映画は感情の繋がりを大切にしていて、感情移入しやすいようなカット割りになっているものが多いんですが、ダルデンヌ兄弟の作品は社会的な重いテーマを扱っているのに、カット割が斬新。ズバっと切ってくれてから気持ちをずるずると引きずらせないんですよね。そんなクールさにも魅力を感じています。

――もし、ダルデンヌ兄弟からオファーされたら?

 絶対にありえない話ですけど、通行人Aのようなエキストラみたいな役なら出たいですね。どのような感覚で撮影しているのか覗いてみたいです。

有村架純(ありむら・かすみ)

1993年、兵庫県生まれ。2010年に俳優デビュー。’17年NHK連続テレビ小説「ひよっこ」、’21年「花束みたいな恋をした」、’24年Netflixシリーズ「さよならのつづき」など多数出演。今年は「ブラック・ショーマン」の公開が控えている。

文=高田真莉絵
写真=佐藤 亘
ヘアメイク=尾曲いずみ
スタイリスト=瀬川結美子

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