ソウルから足をのばして訪れたい【韓国カルチャーの街、坡州(パジュ)】軍事境界線と接する地域がグルメ、書店、クラフト、美術館の集まる街に

  • 2025年5月9日
  • CREA WEB

 好評発売中の「CREA」2025年春号では、韓国の伝統を再解釈し、モダンにアップデートした食や韓屋宿をはじめ、癒しの「済州島」やカルチャーの街「坡州」まで、2025年の韓国をたっぷりと取材しました。グルメ・カルチャー・ファッション・コスメまで、全108ページの大ボリュームでお届けする本誌から一部を抜粋してご紹介。



ヴィーガンレストランnokduのエゴマのパスタ。エゴマのパウダーにエゴマオイルたっぷりで香ばしく美味。W19,000。パスタは旬の野菜を使うので、季節で具材が変わる。

 ソウルの北西部、軍事境界線と接する地域にある坡州市。在韓米軍や韓国軍の基地があり、歓楽街などもみられたが、基地の縮小に伴い2000年代に入って主に南部エリアがソウルのベッドタウンに。緑豊かで広大な土地を活かして、高層マンションが林立するエリアになった。

 巨大なアウトレットモールやサッカーのトレーニングセンター、芸術家のアトリエやギャラリーが集まるヘイリ芸術村など、土地の持つイメージを覆す健全で文化的な施設が続々と造成されていく。

 さらに首都ソウルから200社を超える出版関連企業が移転し、出版エコシステムを構築。パジュブックシティと銘打った。国内外の著名な建築家が手がけた社屋も多数みられ、個性的なミュージアムやギャラリー、書店、カフェなどを展開中だ。

 瀟洒な建築を巡るのも楽しく、魅力的なクラフトショップやレストランなども点在するので、ソウルとはひと味違う躍動する韓国カルチャーの一面を発見しに出かけてみては。

【アクセス】

ソウル駅より首都圏広域急行鉄道(GTX)で約35分の雲井(ウンジョン)中央駅下車。バスかタクシーで各施設へ。


パジュ産の米や野菜を中心に満足感のあるヴィーガン料理を提供

菜食空間 nokdu(チェシッゴンガン ノッドゥ/채식공간 녹두)


調理中の音や香りが漂う店内。

 肉や魚介などの動物性のタンパク質は一切使わずに、地元で採れる新鮮な素材の持ち味を活かして沁みる一皿に仕上げるのは、料理研究家のパク・ギョンヒさん。


玄米ホットックW7,000。薄い玄米生地に緑野菜のナムル、ピーナッツ、ゴマ、エゴマパウダー、砂糖をトッピングした店オリジナルのデザート。美味!

ナズナのおむすび W15,000。ゴマ油を効かせたひと口おむすび。

 ひと口ごとに洗練された韓国を感じるのは、ゴマ油やエゴマ油使いの妙。醤油や味噌などの調味料も自家製だ。営業日が限られているけれど、ぜひ足を運んでほしい名店。


菜食空間 nokduの外観。

菜食空間 nokdu(チェシッゴンガン ノッドゥ/채식공간 녹두)

所在地 京畿道坡州市山南路107ギル35-35(경기도 파주시 산남로 107길 35-35)
電話番号 0507-1367-1730
営業時間 11:00〜15:00、17:00〜20:00(L.O 19:20)、土曜11:00〜15:30、17:30〜20:30(L.O 19:50)
定休日 日〜水曜
Instagram @nokdu35_35

オーガニック鰻をセルフでカリッと炭火焼きに。サムして食べるのが韓国流

ガリラヤ農園 本館(ガリルリノンウォンボングァン/갈릴리농원 본관)


サンチュ、エゴマの葉、白菜、ケール、青唐辛子は食べ放題。サムジャン(味噌ダレ)か特製のシナモン風味のタレをつけて。

 大きくて肉厚の鰻を自ら炭火で焼くこと自体ワクワクするが、サンチュやエゴマの葉で包み、特製のタレをつけて頬張る至福。


1kg(約2人前)W68,000。全体が焼けてきたらハサミで切り、断面も焼き付けて。

 環境にやさしい高密度循環ろ過養殖システムを導入して育てた立派な鰻を、皮目から網にのせるのがカリッと香ばしく焼く秘訣なのだそう。

 鰻は蒲焼が王道という思い込みが覆されるおいしさと楽しさだ。


ご飯や麺の持ち込みはOK。肉と海鮮はNG。

ガリラヤ農園 本館(ガリルリノンウォンボングァン/갈릴리농원 본관)

所在地 京畿道坡州市炭県面厖村路1196(경기도 파주시 탄현면 방촌로 1196)
電話番号 031-942-8400
営業時間 11:00〜21:00、土・日曜10:30〜22:00
定休日 無休
Instagram @gllfarm

洗練された美しき小盤 日本の民藝をきっかけに開眼

bangim craft(パンギムクレプトゥ/반김 크래프트)


白漆で仕上げた小盤はほかではあまり見られない珍しいもの。W600,000〜。

 李氏朝鮮時代に普及した脚付きの御膳、小盤を再解釈し、制作するヤン・ビョンヨンさん。

 日本の民藝運動の父、柳宗悦が朝鮮伝統工芸の中でも小盤の機能性と美しさを高く評価していたことを知り、この道を目指したという。


ガラスの急須は日本製。W250,000〜。

薄いリネンで作られる韓国の布、ポジャギのディスプレイで日差しに表情が生まれる。小盤以外の雑貨はヤンさんの妻のセレクト。

長方形、花形など形もサイズもさまざまな小盤。オーダーから完成まで約半年待ち。W1,500,000〜。

 昨年春に現在の場所に移転し、眩い光が射し込む美しいギャラリーも予約なしで訪問できるようになった。


bangim craft。

bangim craft(パンギムクレプトゥ/반김 크래프트)

所在地 京畿道坡州市トルゴジギル180-16(경기도 파주시 돌곶이길 180-16)
電話番号 031-944-0776
営業時間 11:00〜17:00
定休日 木〜日曜
Instagram @bangim.craft

希望や悩みにぴったりの本を処方してくれる個人的書店

sajeokinbookshop(サチョギンソジョム/사적인서점)


半地下ながら明るい店内。

 気になることや悩みに応じて訪問者に合う本を探す、そんなコンセプトで仲良し姉妹がこの地にオープン。2016年にソウルで開業し、春夏が美しい坡州に魅せられて約1年半前に移転した。


奥の棚には、姉妹がそれぞれ最近読んだお薦めの書籍に、付箋やコメントを付けてディスプレイしている。

 新旧刊問わず小説やエッセイなどをセレクトしているが、ハングルが読めなくてもバラエティに富む装丁を眺めるだけで幸せな時が過ごせそう。


昨年ノーベル文学賞を受けたハン・ガンの著書も並ぶ。手前の青い表紙は『菜食主義者』。

sajeokinbookshop(サチョギンソジョム/사적인서점)

所在地 京畿道坡州市トルゴジギル180-38(경기도 파주시 돌곶이길 180-38)
電話番号 070-4151-1001
営業時間 12:00〜18:00
定休日 水・木曜
Instagram @sajeokinbookshop

美術中心の総合出版社が運営する自然光がやさしく射し込む美術館

Mimesis Art Museum(ミメシスアトゥミュジオム/미메시스 아트 뮤지엄)


図書館のように壁一面に並ぶ本は販売用。

ウッドボックスに入った本で試し読みして購入する仕組み。入り口すぐはカフェスペース、奥の受付で企画展の入場券を販売。

 モダニズム建築の巨匠と呼ばれるポルトガル人建築家、アルヴァロ・シザが手がけたことでも有名。建物は流麗な曲線を描き、美術館としては珍しく自然光がたっぷりと入る仕掛けが施されている。


天窓から採る光が館内にふんわり広がる。

 館内は温かみのある白とウッドをベースに開放感たっぷり。

 居心地のいいカフェも備えているので坡州を訪れたらぜひ立ち寄って。


五味子茶 W6,000。カフェメニューも充実。

Mimesis Art Museum(ミメシスアトゥミュジオム/미메시스 아트 뮤지엄)

所在地 京畿道坡州市文発路253(경기도 파주시 문발로 253)
電話番号 031-955-4100
営業時間 10:00〜18:00
定休日 月曜
料金 W10,000
https://www.mimesisartmuseum.co.kr/


 ご紹介したお店を含む、ソウル&済州島の観光スポットがまるわかりのGoogle Mapはこちら! 続きは「CREA」2025年春号でお読みいただけます。

写真=衛藤キヨコ
コーディネート=安藤菜那(TANO INTERNATIONAL)

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