香川県「丸亀市猪熊弦一郎現代美術館(MIMOCA)」で、猪熊さんの作品と現代アートを鑑賞

  • 2025年5月22日
  • ことりっぷ


猫や顔を題材とした線描画や、大胆な色使いの抽象画などで人気の世界的画家・猪熊弦一郎。「美術館は心の病院」という猪熊さんの想いが込められた「丸亀市猪熊弦一郎現代美術館(MIMOCA)」では、猪熊作品による常設展に加え、現代美術を紹介する企画展にも力を入れています。展示室の作品だけでなく、建築から立地、屋外展示に至るまで、細部に宿る猪熊さんの想いが感じられるアート鑑賞へ出かけてみませんか。
美術館が建つのはJR丸亀駅前。当初は郊外や静かな公園に建てられる計画でしたが、「気軽に立ち寄れる場所であるように」という猪熊さんの想いから、人が行き交うまちなかの駅前に1991年に開館しました。設計を手がけたのは美術館建築の巨匠・谷口吉生。まるで額縁のようにデザインされたファサードと猪熊さんによる屋外アート。「人々がこの広場に立ったとき、空間の広さと美しさを感じて創造力をかきたてられるように」と、猪熊さんが描いた巨大壁画や、黄色、黒色、赤色3つの立体作品が並びます。美術館だけでなく駅前広場を含めた周辺一体が、ひとつのコミュニティー・スペースを構成するようデザインされています。
巨大壁画は、まるで子どものいたずら書きのような、楽しく温かみのあるタッチが印象的。描かれているのは、猪熊さんが生き物の中で姿が一番美しいと思っていたという馬を中心に、ヘリコプターや自動車など。馬や乗り物を、○×と同じような抽象形態の集合体として描くことで、親しみやすく、温かさのある作品に仕上げています。美術館に親しみをもって気軽に訪れてほしいという猪熊さんの気持ちが、ここにも表れています。
館内の常設展では、猪熊さんから寄贈された約2万点の所蔵作品を、テーマごとに内容を変えて紹介しています。猪熊さんは東京、パリ、ニューヨーク、ハワイと住む場所を変え、約70年の画業の間に次々と作風を変えてきました。それは「絵として美しいこと」を真に求め続けてきたから。常設展では猪熊さんの作品の変遷も楽しむことができます。世界を渡り歩いた猪熊さんが旅先で買い集めた雑貨などのコレクション品が展示品に加わることも。猪熊さんの作品に通ずる世界観を垣間見ることができるかもしれません。
画家の名を冠した美術館にもかかわらず、コレクション展示のみならず、現代アートの企画展にも力を入れています。2~3か月ごとにテーマを変えて開催するほか、現代美術の公募展を行うなど、新しいものを積極的に紹介する「現代美術館」であることを強く希望した猪熊さんの想いを受け継いでいます。また、エントランスホールやカフェへと続く大階段、カフェ前広場「カスケードプラザ」にはオブジェなどの作品が展示されていて、誰でも自由に鑑賞できます。
3階には高松で人気のライフスタイルショップ「まちのシューレ963」がプロデュースしたカフェ「Café MIMOCA」があります。店内には猪熊さんの作品も2点飾られていて、アート鑑賞後の余韻に浸るのにぴったりの空間です。おすすめは季節の食材を取り入れたミモカのランチ。オリジナルのケーキや、自家製ジャムを溶かしながら飲む木苺のソーダも人気です。
滝のある広場「カスケードプラザ」に面した窓は全面ガラス張りの開放的な空間。広場に展示されているオブジェも店内から鑑賞することができます。また併設のショップには、香川を中心とした四国のおいしい食材をはじめ、上質な生活雑貨、讃岐ゆかりの伝統工芸品なども並びます。
1階のミュージアムショップでは、猪熊作品をモチーフにしたオリジナルグッズ約200点が販売されています。「街では売っていないもの、美術館だからあるもの」をテーマに、猪熊さん本人が商品の企画から製作に携わった商品もたくさん。猪熊さんが愛した猫モチーフや人気の顔シリーズなど、シンプルな線描が生み出す愛嬌あるグッズであふれています。

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