
金沢を代表する観光地、ひがし茶屋街。歴史あるこの地には、金澤町屋が軒を連ねます。そんな町屋をリノベーションしたカフェも多く、人気も上々。かくいう「大正浪漫喫茶 金魚庵」もそのひとつです。他とは一線を画すのは、「大正時代への時間旅行」がコンセプトであること。西洋文化が定着し始めた大正時代らしく、洋の要素を取り入れた和洋折衷の世界が広がっています。
ひがし茶屋街のメインストリートから少し離れた住宅街にひっそり佇む「大正浪漫喫茶 金魚庵」。金魚のランプがぶら下がった紅殻格子の建物が目印です。喫茶店へ足を踏み入れた先はもう別世界。時間旅行の始まりです。
時は大正111年。扉を開けた先は、大正時代そのもの。蓄音機から流れるレトロなBGMが店内を包み込み、古き良き時代の香りがふわりと漂ってきます。着物にふりふりのエプロンをまとったかわいい女給さんたちがいそいそと行き交う姿や、カラフルなランプが灯るようすはまさに時間旅行。まるでタイムスリップしたかのような気分を味わえます。
店名にもなっている金魚は、店内のあちこちにひっそりと隠れています。見つけた瞬間、思わず笑顔になる嬉しさがたまりません。
アンティーク調の電話は、装飾品かと思いきや今も使われているというから驚きです。
「ハイカラポンチ」は、ゼリーをビー玉のように見立てたフルーツポンチです。ゼリーの中にはお花やフルーツが閉じ込められており、宝石のような美しさが魅力的。それぞれのゼリーが異なる味わいで、口に運ぶたびに新しいおいしさを楽しめるのがうれしいポイントです。
レトロな器に乗って運ばれてくる「自家製プディング」は、昔懐かしい固めのプリン。卵の風味を生かした濃厚プリンは、ほろ苦いカラメルとの相性も抜群です。むっちりとなめらかな食感を味わってくださいね。
「大正レシピの白いハットケーキ」は、砂糖を使わずに焼いた真っ白な仕上がりが特徴。大正時代から伝わるレシピを参考にして作られた一品です。ハチミツとバターをかけてシンプルにいただくのがおすすめです。さらにアクセントがほしい方はジャムをプラスしてみてくださいね。
毎年6月から9月末の期間限定で登場する大人気の「金魚鉢ソーダ」。金魚鉢に見立てた器は、特別にオリジナルで作ってもらったものです。金魚が気持ちよさそうに泳ぐ姿は、まるで本物の金魚鉢のよう。
真上から見ると、ソーダの泡のぷくぷく感や、水草のように見える飾りがとてもリアル。底には小石そっくりなチョコレートも入っていて、細部までこだわったデザインに感動します。爽やかなゼリーとソーダの組み合わせは、夏にぴったりの一品。ジュルッとひと口味わえば、まるで涼しい夏の風を感じるかのような爽快感が広がります。
「大正浪漫喫茶 金魚庵」では、席を立っての撮影や他の席での撮影は厳禁。その代わり、1階奥に撮影スポットが設けられています。インパクト抜群な振り子時計やアンティークなソファが配された空間で、着物やレトロなファッションを身にまとえば、さらに没入感が高まります。混雑時は90分制となりますが、時間が許される限りはゆっくりとした時間の流れに身を委ねたいもの。非日常の世界にどっぷりと浸り、タイムスリップしたような特別なひとときをぜひ楽しんでくださいね。