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オムライスなど、さまざまな洋食の元祖といわれる東京・銀座の洋食店「煉瓦亭」

  • 2024年1月20日
  • ことりっぷ


百貨店や海外の高級ブランド店が軒を連ねる銀座の一等地に、そこだけ時が止まったかのように古き良き佇まいを残す洋食店「煉瓦亭」。ガス灯通り沿いにあり、ランチやディナーの時間には多くの人で賑わう人気の老舗店です。ポークカツレツやオムライスの元祖としても知られ、創業時から愛され続ける味を時代に寄り添わせつつ、今に残しています。
「煉瓦亭」が創業したのは1895(明治28)年。今から130年近くも前にオープンしました。初代ご主人の「西洋料理を気軽に味わってほしい」という想いから、現在の洋食店の礎を築き、今ではすっかりおなじみとなったポークカツレツやオムライス、カキフライ、ハヤシライスなどさまざまなメニューがこの煉瓦亭で生み出されました。
料理レシピだけでなく、添え物としてのキャベツの千切りや、メインの料理にパンではなくライスを付けるスタイルも煉瓦亭が発祥といわれています。キャベツの千切りは、日露戦争のさなかに人手不足で温野菜を作れなかったことから、生のまま添えられて、かつおいしいものをと考えて考案されたそうです。
銀座3丁目にある現在の「煉瓦亭」は、実は2店舗目で、1店舗目は銀座4丁目で創業しました。当時の銀座4丁目付近は、「銀座の大火」という大火災に見舞われたばかり。政府はその一帯に火事に負けない「煉瓦街」をつくり、いろいろなものを招致して、銀座を盛り上げようとしていました。そこにいち早く目をつけた創業者の木田元次郎氏が、煉瓦街にお店をつくろうと決断。煉瓦街にちなんで「煉瓦亭」と名付けたそうです。
その後、3丁目に2店舗目をオープン。「煉瓦亭」は2店舗体制となりましたが、本店だった1店舗めが戦火に見舞われ、現在の3丁目の店舗が本店となりました。建物は1964(昭和39)年に東京オリンピックの開催に合わせて建て直されました。その際に、当時の煉瓦街で使われていた煉瓦が流用されており、店内でその名残を見ることができます。
お店は3階まであり、調理場がある1階、広々と開放的な空間にテーブルと椅子が並ぶ2階、そして3階は座敷席になっています。
現在のご主人のコレクションだという年代物のカメラや、昔懐かしい硬貨のみが使える公衆電話もインテリアとしてなじんでいて、レトロな雰囲気を一層色濃くしています。
初代ご主人が、スライスした仔牛肉にパン粉をつけて揚げ焼きするフランス料理「コートレット」(仔牛肉のカツレツ)をもとに生み出したのが「ポークカツレツ」です。よく叩いて筋を切り、軟らかくした豚肉と、生パン粉を使用したサクッと軽やか食感の衣の組みあわせで、ボリューミーながらさらりと食べられてしまうひと品です。
また、茶巾ずしにヒントを得たというオムライスは、合いびき肉や玉ねぎなどを使って甘辛く炒めたケチャップライスを卵でくるりと巻いた王道スタイル。卵は、外側はしっかり、内側は半生に焼くことで中のケチャップライスと優しく絡み、絶妙な食感に仕上がっています。
ハムを使った料理が多いのも「煉瓦亭」のメニューの特徴のひとつです。「ハムステーキ」は、厚切りされたハムのステーキにパイナップルの輪切りがドンと乗った、ビジュアル的にもインパクトがあるひと品。さらにキャベツ、レタス、トマト、甘味のあるポテトサラダが添えられています。パイナップルには、肉の繊維をやわらかくする効果がありますが、それだけでなく、パイナップルの甘味がハムの塩味に加わることで、独特の甘じょっぱい味わいに仕上がっています。
ドリンクの種類も充実。写真の「メロンクリームソーダ」や果汁100%の「生ジュース(オレンジ)」、「レモネード」や「レモンスカッシュ」、「コーヒーフロート」など、古き良き"喫茶店”を思わせるメニューが揃います。
ドリンク兼食後のスイーツといっていい濃厚な味わいのメロンソーダは、老舗のアイス店から50年以上も変わらず仕入れ続けているというこだわりのバニラアイスを使用。チェリーがコップの底から赤みを添えています。
色濃く残る創業当時のレトロな趣と、気さくな4代目ご主人やお店のスタッフさんたちが醸すアットホームな雰囲気の中、銀座が誇る"元祖”の洋食の数々を、ぜひ味わってみて。

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