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金沢の街の片隅に佇む「Wineshop Brücke」と「iomare」でナチュラルワインを堪能する

  • 2023年6月8日
  • ことりっぷ


ステンドグラスが美しい尾山神社の神門から参道を真っ直ぐ進んだところにある高岡町。その一角にワインが楽しめる場所が2軒隣り合っています。ナチュラルワインを専門に取り扱う「Wineshop Brücke(ワインショップ ブリュッケ)」とワインに合う食事が味わえるレストラン「iomare(イオマレ)」。2つの店舗は、系列店としてゆるやかにつながりながらもそれぞれに熱いファンを持つ、金沢で存在感を発揮しているお店です。
オーナーは、この2軒の他にも実力派の和食店「酒屋 彌三郎」を経営する荒木和男さん。金沢でいち早く和食とワインのペアリングを提案したお店です。その基盤もあり、2019年にこの2店舗が開業する際は、地元で大きな話題となりました。
ナチュラルワインのある食卓や暮らしごと提案したいという気持ちから、「Wineshop Brücke」の店内にはワインに合うおつまみや調味料もずらり。ワインとセットにした贅沢なギフトとしても喜ばれるはずです。また、「iomare」では食のジャンルを問わない形での料理を提供。メニューを見ると、白和えに水餃子、フォーの文字まで。ナチュラルワインがいかに幅広いかを感じることができます。
この2軒が隣り合う意義として欠かせないのは「Wineshop Brücke」の運営を担当する荒木佐保里さんの存在。和男さんの奥さまであり、JSA認定のソムリエです。
大学でドイツの勉強をしているとき、現地に渡った際に出合ったワインに感銘を受け、その業界へ。東京の洋酒輸入元で働く中で様々なワインを味わったそうですが、ナチュラルワインと出合ったのは10年前金沢に移住してから。液体からエネルギーや躍動感を感じ、その熱量に感銘を受けたことで魅力にとりつかれてしまったといいます。
佐保里さんの存在があるからこそ、ワインを購入する際はじっくりと相談をするのがおすすめ。他のワインショップでは味わえない佐保里さんとの会話には、豊かな表現力と生産者の魅力を伝えようという想いがつまっていて、必ず好みの一本を見つけ出してくれるのです。
今回は佐保里さんが直接会ったことがある生産者のナチュラルワインを、ことりっぷ世代に向けて4本おすすめしていただきました。
左から
オリオル・アルティガス「ラ・ベーヤ2018」スペイン カタルーニャ 6270円
「バルセロナの作り手です。市街を見下ろせる、元々海の底だった場所に畑があります。そのためワインにも塩気やミネラルが含まれているんです。作り手の話を聞くと、その土地ならではのブドウを守るという意味でもパンサ・ブランカという土着の品種への想いがとても強い方でした。」
コンティ「オリージニ2020」イタリア ピエモンテ 3960円
「ピエモンテは赤ワインの銘醸地でネッビオーロという品種を多く生産しています。割と強靭なワインが多い中で、この作り手のワインは若いうちからとてもエレガント。温かくて気配りができる生産者の3姉妹に実際お会いして、このワインの味わいの理由が分かったようでした。」
ルーシーマルゴー「メルロ2021」オーストラリア アデレードヒルズ 6050円
「作りたいワインに向かって様々な生産経路を選択する柔軟な作り手だと思います。エチケットを自分で書いたり元料理人だったりと天才肌なイメージがありましたが、お会いすると優しい目をした方。彼の作るワインは果実の明るい部分を取り出したような軽やかさがあるんですよ。」
ドメーヌモン「ドングリ2021」北海道 余市 4400円
「余市の中でもピノグリという品種しか植えられていない畑を育てている生産者です。皮を外さないで作るオレンジワインで、彼の素敵な笑顔と兄貴肌な人柄が全面に出た穏やかな味わいになっています。自分たちの土地の特徴と畑や品種名を掛け合わせたネーミングセンスも素敵です。」
佐保里さんの話を聞いたらその場でワインを楽しみたいという方もいらっしゃるかもしれません。そういう時はぜひお隣の「iomare」へ。ディナーがメインですが、土日祝日はアペロも行っているので旅の途中でふらりと立ち寄ってみるのもおすすめです。
「iomare」は2023年4月にリニューアルを終えたばかり。1階にカウンター席ができ、より幅広い楽しみ方ができるようになりました。築100年ほどの民家を、建物の良さを活かしながらモダンに設えた空間は、安心感を生む心地良さがあります。
アペロ使いでお酒を嗜む程度なら、シャルキュトリーの盛り合わせはいかがでしょうか。今回合わせたワインは北海道・余市の山田堂「ナイアガラスパークリング2022」。食用ブドウを使った微発泡スパークリングで、アロマティックなナイアガラを香り高くでも爽やかに楽しめるワインです。旨みが詰まっているシャルキュトリーに合わせた時、ドライなワインは膨らみに欠けるため、香りがボリューミーなこのワインをチョイスしたといいます。
ナチュラルワインには澱が絡んだ旨みがあるため、旨みの掛け合わせとしてもシャルキュトリーとの相性は抜群だとか。
アペロでもディナーでも楽しめる「iomare」の代表的な料理、ブイヤベース。北陸の旬のものを中心に魚介の贅沢なおいしさをギュッと閉じ込めたスープ・ド・ポワソンを味わえます。白身魚やイカ、金沢名産のバイ貝などボリュームもたっぷり。追加で頼むなら、自家製パンをスープに浸して食べるか、スープに〆のご飯を入れて濃厚なリゾットをじっくり味わうか…はずれのない選択肢2つで迷ってしまいますね。
ナチュラルワインはぜひボトルで楽しんで欲しいと話すオーナーの和男さん。ナチュラルワインは特にボトルの開けたてと、栓を開けて1時間経ったボトルの底の方では大きく味が変化するそうで、ぜひその違いを感じてもらえたらといいます。
また、食を通して楽しいシーンをより多く生み出したいという想いも強いそう。一つのテーブルを囲みながらわいわいと会話する風景には、美味しい料理と注ぎ合うためのワインボトルがよく似合うと話します。「iomare」と「Wineshop Brücke」が作り出す世界は、その想いに真っすぐに向き合った、最高の食卓。旅のクライマックスにぜひ訪れてほしい素敵な場所です。

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