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祇園にたたずむ京都最古の禅寺・建仁寺で、新旧のアート&美しいお庭を鑑賞

  • 2023年5月16日
  • ことりっぷ


建仁寺は、臨済宗とお茶の文化を日本に伝えた栄西(ようさい)禅師によって鎌倉時代に開かれた、京都でもっとも古い禅寺です。観光客でにぎわう花街・祇園にありながら静けさが漂う境内は、ホッとひと息つきたいときに訪れたいとっておきの場所。端正な枯山水庭園、四季の彩に富むもみじとみずみずしい苔が共演する庭園、襖や天井、掛軸に描かれた新旧のアートなど、見どころのたくさんあるお寺です。
建仁寺へのアクセスは、市バス、京阪電車、阪急電車のいずれかを利用すると便利。市バスの場合は「東山安井」から徒歩5分、京阪電車の祇園四条駅からは徒歩7分、阪急電車の京都河原町駅からは徒歩10分でたどり着けます。祇園のメインストリート・花見小路通の南端に建つ北門をくぐれば、静けさに包まれた建仁寺の境内が広がります。創建は1202(建仁2)年。鎌倉幕府2代将軍の源頼家がお寺を建て、栄西が初代の住職を務めました。栄西は中国から茶種を持ち帰って日本に喫茶の文化を広め、日本初のお茶の専門書『喫茶養生記』を記した人物。境内には栄西をしのぶ茶碑が立っています。
堂内で最初に迎えてくれるアートは、建仁寺が所蔵する『風神雷神図屏風』。琳派の祖として日本の絵画史に名を刻んだ俵屋宗達の作品です。国宝であるオリジナルは文化財保存のため京都国立博物館に寄託されていますが、金箔や表装という伝統工芸と最新デジタル技術を融合させた高精細複製画が展示されています。42億画素(!)もあるため、細部の質感まで再現されていて、オリジナルと見分けがつかないほど。いまにも動き出しそうな躍動感に魅せられます。
方丈の南側には、白砂や苔、石組で中国百丈山の景色を模した枯山水庭園「大雄苑(だいおうえん)」、方丈東側には禅の教えを示す「○△□乃庭」、小書院と大書院の間には苔庭ともみじが共演する「潮音庭(ちょうおんてい)」が広がります。
「潮音庭は心を映す庭。360度どの角度からでも眺めることができるので、お気に入りの場所を見つけてくださいね」と広報の浅野俊道さん。
方丈では、桃山時代に活躍した海北友松(かいほうゆうしょう)の障壁画全50面が見られます。雲の間から現れた2匹の龍が睨みをきかせる礼の間は、かつて建仁寺を訪れたお客が最初に通された部屋。待っている間、鋭い龍の視線に身がすくみそうですが、それがこの部屋に龍を描いた狙いなのだとか。ほかに、花鳥図、山水図など、部屋の役割に合わせた水墨画が楽しめます。
「水墨画は、色を付けるとしたらどんな色になるだろうと想像するのも楽しみのひとつ。博物館で見るというのももちろん素晴らしいことですが、本来あるべき場所で見て、その時代に思いを馳せることが、伝統や文化を継承していくということにつながるのでは」と浅野さん。
小書院の西側、唐子の間では明治~大正時代に活躍した画僧・田村月樵(げっしょう)による『唐子遊戯図』が見られます。襖だけでなく湖上に浮かぶ小舟や月が描かれた床の間や、無邪気に遊ぶ子どもたちの楽しそうな表情にも注目です。
本坊奥の大書院では、建仁寺と縁の深い芸術家・細川護熙氏(第79代内閣総理大臣)による24面におよぶ襖絵も見られます。中国湖南省の景勝地である洞庭湖一帯の風景を描いた『瀟湘(しょうしょう)八景図』で、水墨画の中に表現された季節や時間、天候などを感じてみてはいかが。
方丈の南側に建つ法堂(はっとう)は、修行僧が仏さまの教えを学ぶ場所。天井の双龍図は、建仁寺の開創800年を迎えた2002(平成14)年、日本画家・小泉淳作氏が畳108枚分の麻紙(麻を合わせた和紙)に描いたもので、思わず息をのむほど壮大なスケールです。海北友松が描いた龍はギロッと鋭い視線であるのに対し、こちらの龍はどこか親しみやすい雰囲気。向かって右側の龍の鼻のあたりに注目しながら堂内を右へと歩いていくと鼻が長―く伸びていき、左に進むと短くなっていくのでお試しを。命が吹き込まれているような見応えのある龍です。
拝観受付には、風神雷神図や○△□乃庭をデザインしたオリジナルのお守りがあり、○△□のモチーフをあしらったお守りは全8種。縁結び、厄除け、勝運、合格など8種のご利益を授けてくれるそう。また、ショップにはバラエティに富んだオリジナルアイテムも。手ぬぐい、ハンカチ、缶バッジ、ステーショナリーなどがあり、絵画を屏風に仕立てる表具師の技を体験できる本格派の風神雷神図ミニ屏風キットが人気です。
見どころたっぷりの堂内を拝観したあとは、境内をぶらりと散策したり、勝運の神様を祀る塔頭の両足院へ足をのばしたり。心静まるお寺へ出かけてみませんか。

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