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江戸時代の伝統技を受け継ぐ革小物がかわいい♪ 浅草・文庫屋 「大関」

  • 2021年3月26日
  • ことりっぷ


浅草のシンボル、浅草寺の大提灯から延びる仲見世通り。そこから1本入った路地にある文庫屋 「大関」(ぶんこや おおぜき)は、創業90年以上の歴史をもつ革小物の店です。型押しの後、ひと筆ずつ手描きで彩色された模様は100種類以上。色鮮やかな小花、愛らしい動物たち、幾何学模様などが描かれた財布や小物は、どれもギュッと抱きしめたくなるかわいらしさ。自分だけのお気に入りがきっと見つかります。
「文庫革」という革細工の伝統工芸品を知っていますか? 江戸時代の中期から後期に、革の加工業が盛んだった播州姫路(現在の兵庫県姫路市)で発達した姫路革細工という技術が、江戸に伝わったとされています。日本では大切な手紙などを文庫箱に入れて保管する習慣があり、その箱を装飾するために革を貼ったことが、名前の由来なのだとか。
現在、東京で唯一、文庫革製品を製造・販売しているのが仲見世通り近くに直営店を構える文庫屋 「大関」です。創業は1927(昭和2)年。大正時代に横浜で修業をした初代・大関卯三郎さんが、墨田区向島に工房を構えたのが始まりです。
ひと目で心を奪われる、色鮮やかで愛らしい模様が生まれる工程を知りたくて、工房内の制作風景を見せていただきました。
型押しした模様に、職人の手で彩色を施す文庫革。まず、それぞれの製品に合わせた大きさに裁断した革に、プレス機を使って銅版の絵柄を型押しします。
「初期には、木製の型も使っていました。空襲で燃えてしまわないよう、池に投げ込んで避難したと聞いています」と、大切に保管している古い型を見せてくれたのは、販売統括の田中萌子さん。
彩色の工程では、先端が針のように細い筆を使い、皮革用の塗料でひと筆ずつ色を差していきます。柄のパターンは100種類以上。季節によって色の組み合わせを変えているため、無数のバリエーションが生まれるのだとか。すべて手描きなので、ぼかし具合などが異なり、まったく同じものはありません。
彩色が終わると表面に漆を塗り、仕上げに真菰(まこも)と呼ばれる植物の粉を振って定着させます。すると、白く残した部分に真菰の茶色が入り込み、使い古したような風合いに。「錆(さび)入れ」と呼ばれるこの作業で、新しい革に文庫革独特の風合いが生まれます。
ひとつの商品ができあがるまでに、20人以上の職人の手がかかっています。工房には20~30代の若い職人さんが多いことに驚きました。彩色職人の師匠は、創業者の末娘にあたる大関春子さん(73歳)。ネットなどにより彼女の技術と文庫革の美しさに憧れ、技術習得を希望する人たちが集まってきたといいます。なかにはハンガリー、台湾など海外からやってきた人も。伝統技と若い世代の感覚が融合し、文庫革の新たな魅力が生まれているのが分かりました。
浅草の直営店に並ぶアイテムは、財布をはじめ、キーケース、スマホケースなど30種類以上。店内にディスプレイされている商品のほかに、引き出しを開けるとアイテム別にぎっしり並べられていて、柄を見比べながら選べるようになっています。
いちばんの人気は、がま口タイプの財布。女性の手になじみのいい大きさで、厚みがないにもかかわらずたくさん入るのが特徴。ほかに、長財布、三つ折り、札入れなどあり、どれも魅力的でひとつに決めるのが大変。4月後半からは、扇子や扇子袋も登場します。和装にも合わせやすく、この夏の浴衣用に選ぶのもいいですね。
文庫革の魅力は、鮮やかな柄の美しさに加え、独特の風合いと、しっくり馴染む革の手ざわり。使い込むほど、味わいが増してくるのも特長です。金具交換や、色落ちした部分を彩色するメンテナンスにも、できる限り対応してくれるとのこと。
年に何回か新柄が登場し、定期的にオンライン予約会も開かれます。かわいさと実用性を兼ね備えた文庫革の小物。愛用品のひとつに加えてみませんか。

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