2012年から2016年まで、コロカルで不定期で連載されていた「水尻自子の方言アニメ」。全国の方言をショートアニメーションで紹介する隠れた人気コンテンツでしたが、一連のアニメを制作してくれた水尻自子さんの作品『普通の生活』が、第75回ベルリン国際映画祭の短編映画コンペティション部門で、最高賞に次ぐ「銀熊賞」を受賞。これまでも海外のアニメーション映画祭などで高く評価されてきましたが、世界3大映画祭といわれる大舞台で快挙を成し遂げました。
そこで過去のシリーズから選りすぐりの方言アニメを紹介。いろいろな地域の方言を、意外なシチュエーションで展開される水尻さんのアニメと一緒に楽しんでみて。
福島 Ver.「たんまげたべちた!」びっくりしすぎて思わず出る、福島のやさしくて味わい深いことば。「たんまげた」は“魂が消える”ほど驚いたときの表現で、「べちた」は“しちゃった”の福島弁。語尾の「〜べ」「〜だべした」もクセになるリズム感。福島らしい方言には、驚きも笑いもツッコミも、まるっと包み込んでくれるようなあったかさがあります。
北海道 Ver.「なまら元気だわ〜!」北海道民の元気は、スケールもテンションも“なまら”でかい!「なまら」は北海道弁の王道表現で、「とっても」「すごく」の意味。語尾の「〜だわ」「〜さ」「〜でねえかい?」も、道民のやさしさとテンポを感じさせるリズム。別れ際の「したらまたね〜」「したっけね〜」まで、気づけば全部クセになってる。北海道のことばは、広くてあったかい空気を運んできてくれます。
大阪 Ver.「ほんま久しぶりやな〜」大阪弁の魅力は、テンポとノリ、そして感情が乗った言い回し。「げんきやで」「変わってへんよ」「あんたもやろ〜」って、軽快な掛け合いが止まりません。否定形の「〜へん」や、別れ際の「ほなまたね」「さいなら」など、大阪弁はテンポも響きもユニーク。大阪のことばは、まるで会話そのものがエンタメみたい。大阪の言葉には、そんな楽しい力があるんです。
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Yoriko Mizushiri
水尻自子
みずしり・よりこ●1984年青森県十和田市生まれ。映像作家/アニメーター。『不安定な体』(2021)でアヌシー国際アニメーション映画祭審査員特別表彰など、数々の賞を受賞。『普通の生活』(2024)でベルリン国際映画祭短編コンペティション部門銀熊賞受賞。/@yorik0